守護者の信頼
亜空間にベンを放り込んだものの、所々隙間が出来はじめてきた。
エリーは、複数の防御結界陣を白いチョーク状の魔法道具・・・別名:魔具 で書きながらもしもの場合に備え始めた。
これ、どうしよう……。僕の今の状態だったら後一つが限度だね。残り1つになったら亜空間が壊れるね……確実に。
書き終わると、ベンを放り込んだ亜空間に足を踏み入れた。
◆◆◆◆◆ その頃 アゼルは ◇◇◇◇◇
「………流石に先輩方相手に3連続勝負はキツイな。」
頬に流れる汗を拭いながら視線を動かしエリックを探し始めた。
何だろう………この嫌な胸騒ぎは。
アゼルは、胸に手を当て急いで無性にエリックとベンを探し出さなければいけない気がした。まるでそうしなければ、二度と会えないような喪失感を感じた。
「ダニエル、エリックとベンを見なかった?」
「いいや。見ていないけど、お前と話終わった後ベンと話していたぞ。」
ベンと一緒に居る可能性が高いな。
アゼルは更に彼に問いかけた
「その後、二人はどこへ行った!?」
ダニエルが険しい顔をしながら
「いったいどうしたんだ?そんなに慌てて」
俺の勘違いなら良いがもし違ったら、こいつを巻き込むことになる。だけど、今は人手が欲しい。
「嫌な予感がする。まるで二人が消えてしまうような。だからエリックとベンを探している。」
「わかった。俺は、トレーニング室を見て回るからアゼルは訓練所を見て回って欲しい。」
「助かる。バタリオン団長を見つけたら、伝えておいて欲しい。」
「わかった。気をつけろよ」
「分かってる。ダニエルも気をつけろよ!」
そう言って、アゼルは訓練所を2から探し始めた。
「……その予感正しいと俺は思う」
出て行くアゼルの姿を見ながらダニエルがポツリと呟いたが誰にも聞こえなかった
アゼルは、一つ一つ訓練所を回りながら自分の守護者に話しかけていた
『なぁ。お前ならエリーとベンの居場所分かるか?』
脳内に直接声が届いた
『いつもなら分かるんだけどね……。誰かが隔離魔法を発動させているせいか、建物内に入れないから確信は無いけど……それでも聞く?』
『教えてくれ!』
『三点の頂点にある第3訓練所に妙な気配を感じるよ。彼の龍王様やリュミエール様 までもが阻まれ外に出ている。』
『阻まれて?中に入っていないだけじゃないのか?』
『それはないよ。だって龍王様の弟君までもが外に居るんだから。そして、必然的に中に居る二人のどちらかが隔離魔法を発動させている可能性が大だね。』
第3訓練所に着くとマルタの言っていた3体が彷徨いていた
「エリーとベンはここにいますか?」
龍王様がこちらに振り向くと
『アゼルか。二人はこの中に居る。』
「何があったのか教えてください。」
『教えてやる。』
龍王様から一通りの話を聞くとアゼルは、ほんの僅かな隙間から焔の糸を滑り込ませた。それを媒介にし中の様子を把握することにした。
「………」
この隔離魔法を発動させたのは、エリックで間違いないけどこれは人を入れないためのもの。彼らを追い出しているのは……………ベンの魔法。
更に中央に向かうと
これは!エリックが書いた複数防御結界陣!?書いた者が魔力を尽きても危害が及ばなくなるまで、発動し続けるあの高位魔法陣!! それに、エリックの奴念には念をってことか?亜空間の中にベンと入って魔力暴走を押さえようとしているのか!?これだけ魔力を使っても亜空間に揺らぎがないのは流石だよ。
『何か分かったか?』
「……はい。隔離魔法は、エリックが人を中に入れないために発動させたものです。貴殿方が入れないのは、ベンが多分無意識に発動させているからだと思います。」
『妾のエリーは何処に居るのじゃ!』
「エリーがこの世界に影響が少しでも少いようにと、亜空間を開きその中に二人とも居るみたいです。」
『エリー!!今、助けるからの。』
リュミエールは経たり込んでいるマルタを睨みながら
『妾達の力で開けるのじゃ!』
『それをすれば、エリーに相当負担がかかるぞ!』
『じゃが!そうしなければ、エリーは奴を庇うか共に果てるじゃろう!!』
『エリーが1つでも外せば良いのだか、あの娘の事だきっと外さないだろうな。』
『どう言うとこだマルタ。』
『彼女の側にいたから分かるだろう?エリーは、人の領域を出ることを嫌う。いや、恐れているの方が正しいだろうな。』
『じゃが!』
『違うぞマルタ。エリーは、賢いから我らに上手く力を流す。そうするには、魔力が安定していなければ操れない。安定するのを待っているのだろう。』
龍王様が訓練所に視線を向けた。
◇◇◇◇◇ エリーはと言うと ◆◆◆◆◆
亜空間に椅子とテーブル。紅茶にクッキーを何処からか取り出し寛いでいた。
始めからこうすれば良かったのかな?まぁ、これも一時的にしかならないけどね。
亜空間にクッションの良い白いベッドに寝ている男子がいた。
「さてと、一つ外してベンの魔力をコントロールしないとね。」
エリーがソーサーにカップを置く音と声だけが亜空間に響き渡った。




