荒行事は必要?
静かに洗いものに徹していたノアが
「エリー。どうしてそこまで、僕らを守ろうとするのです?」
エリーは、調理中の手止めずに
「僕自身は守ってるつもりはないよ。友達として、一緒に居るだけだよ。」
「ですが、エリーがジェフって言う彼から夢を見せられているのですよね。」
「確かに、夢は見ているよ。でもそれで、僕がどう行動するかは僕の勝手だよ。それが、結果的に君たちの未来を変える事になってもね。」
ノアがエリーの方を向いたがエリーはそのまま調理を続けた。
「では、私がどう行動しても勝手ですよね。例えば、貴女の仕事を手伝ったとしてもね。」
「うんそうだね。ノアが僕の仕事を手伝ってもそれは、貴方の勝手だね。その代わり、防げない大量の被害が出ても僕は自分の使命を先に全うするだけだしね。」
「どう言う事ですか!?防げない大量の被害 って!何を知っているのです。」
ノアはエリーの肩を掴み自分の方に体を向かせた。
エリーは包丁をまな板に置き
「そのままの意味だよ。君が・・“第2王子“〈トワニス・コルノ・ノア〉で有ることで出来ることがある。僕なんかに構ってる時間が勿体無いよ。」
「どう言う事だ!」
ノアは珍しく声を荒げたが、エリーは落ち着くように促し
「絶対に彼の力を借りずに耐えてほしい。
一回目の嵐が来るそれを堪えて! それが、今言える最大限の事だよ。」
ノアは何かを考えるように黙った
「エリーどう言う事だ?『一回目の嵐が来るそれを堪えろ』ってどう言う事なんだ!」
二人して目を丸くした。
声の方を向くと調理場の扉の前にいるリアムとルークがいた。
はぁー聞かれたくないことをよりにもよってあの二人に聞かれたね。下手に誤魔化して不信感を抱くより、巻き込んだ方が守れて安全かな?
「おい!ノア・エリー今の話はどう言う事なんだ!」
「エリー教えてくれるよな?」
「兄さん。私もその言葉の意味が分かっていないのです。魔物の大量発生を意味するのか、開戦を意味するのかもね。」
三人の視線がエリーに集まった
これを教えたら彼を喜ばすことに繋がりそうで嫌なんだけど・・下手に動かれるよりましだよね。
「エリーどう言う事なんだ。」
「エリー嬢もう少しヒントか何かを下さい。」
「お前はまた、俺たちの事で悩んでいるのか?」
…………ルーク相変わらず鋭いね。これが野性の勘なのかな。
「エリー。今、酷いことを思っただろう!」
「思ってないよルーク。」
侮れないな~味方ならば心強いけど、この状態は僕の方が不利だね。でも、試すことぐらいは許されるよね。
エリーは両手をあげ
「分かったよ。リアム達にも分かりやすく話すよ。……………これに対応できたらね。」
『ドラガオン・アニータ先程同様にお願いね。』
『分かった。』『了解~』
「ノア、料理に戻るよ。リアムとルークは、外の果実を採ってきて。」
「エリー。さっき何か呟かなかったか?」
「いいや。何も言ってないよ。それよりも早く採ってきてね。」
「あぁ。」
エリーの一番近くにいたノアは、最後の呟きが聞こえたらしく青褪め ルークは不思議ながらもリアムの後をついていった。
さて早めに仕度を終わらせて様子を見に行こう。
固まったままのノアを放置してきぱきと中華風料理を作り上げた。
40分以上固まったままのノアがエリーの胸ぐらを乱暴に掴みあげるなり、怒鳴り始めた。
「お前正気か!?あんな事をすれば、兄さんやルークも死ぬぞ!!僕なら回避できるが兄さん達は違うんだぞ!何考えてるんだ!?」
エリーさ冷やかな視線を彼に送り
「この手を離してくれる。ちゃんと死なない様に手は打ってあるし、このままだったら彼らは一回目の嵐で身を滅ぼす。それを回避するための荒行事だよ。」
「荒行事にも程があるだろう!」
「では、ノア皇子は生き残れなくても良いと仰るのですか?」
「そんなことは言っていない!」
「ノア。感情的になりすぎですよ、少し落ち着いてください。」
ノアは深呼吸をしてどうにか感情を押さえ込んだ。
「声を荒げてしまい申し訳ない。エリー嬢。」
「いいえ。こちらこそ何の相談も無しに決行してしまい申し訳ありませんでした。」
「兄さん達に荒行事させなくても僕達が守れば、良かったのでは?」
「一度申した通り、ノアはノア皇子としての役割があります。そして僕には僕の仕事がある。だから彼らを守っている時間がないのです。」
「では、その仕事中側においては?」
「不可能です。彼らに僕らの裏仕事を暴露するようなものです。例え、そうしても結果は同じだと言えましょう。」
「兄さんとルークがお互いに協力することで、生き残れると?」
「そうです。そのための荒行事ですからね。」
「・・・・」
「見に行きますか?」
「私達が行っても邪魔になりませんか?」
「大丈夫だよ。見えないようになってるから。」
「そうですか。それなら行きます。」
「分かった。ついてきて。」
エリーはノアを連れて森が空いた所へ向かった。




