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悪夢①

僕はあの時の夢を思い出していた。


エリーはこの日胸騒ぎがして、王城に宰相であるカールとともに馬車に乗り向かった。

いつもと同じ景色や民の笑顔。

そう始めはそうだった。

城に近づくにつれてエリーもカールの顔が険しくなっていった。


『父さん。一体何が起こっているのですか?』


『私にも分からん。連絡も一切来てない。』


二人は再び窓の外に視線を向けた。


城の上には黒い分厚い雲が渦巻き状に覆っている。


エリーはこっそり、暗器の確認と魔力封じのイヤリングに触れた。


『到着いたしました。』


『分かった。……ティック、お前達は自分の家に帰った方がいい。』


『……そうさせてもらいます。ですが、お迎えが必要とあらばお呼びください。』


『分かった。ありがとう。』


『いえ。お気を付けて旦那様、エリーお嬢様。』


『あぁ。ティック、お前も気を付けてな。』


『ありがとう、ティック。また、会いましょうね。』


『はい。お嬢様』


『そうだ。ティック悪いが一度公爵家に戻り、使用人に自宅へ帰るように伝えといてくれ。』


『……宜しいのですか?』


『あぁ。嫌な胸騒ぎがするからな。』


『しかし!奥様 や マリーお嬢様 のお世話と護衛の者がいなくなります!』


『大丈夫ですよ。僕の信頼のおける者に頼んでありますので。』


『そう言うことだ。』


『私達では、役不足だとおっしゃりたいのですか?』


『そうでわない。今回ばかりは、無駄に死者を増やしたくないのだ。ティック、お前達は大切な家族なんだからな。』


『旦那様……。分かりました。屋敷にいる皆にそうお伝えしておきます。』


エリーとカールは従者であるティックが見えなくなるまで王城の前で見送った。


『エリーこのさいだ。お前の意見を聞かせてほしい。』


『僕の意見ですか?答えられる範囲なら。』


エリーはカールに促され誰もいない王城の廊下を進んだ。


『今の、この状況をどう思う?』


『……そうですね。』


僕は意識を城内に向けた


『族にでも入られたのでしょうか?

と 考えたいところですね。』


『では、お前はどう考えた。』


『僕の考えは、王子同士の戦いだと思います。』


『……ほう。何故そう思う?』


『一つ目の理由を上げるなら、誰も居ないことです。』


『誰もいないなら、なおさら 族の疑いが強いんじゃ無いのか。』


『そうですね、普通ならば。しかし族が入っているならば、切り伏せられた者達の死体が残っているのです。ですが、ここまで死体の1つも有りませんでした。』


『どこかの部屋に隠したのではないか』


『それならば、血痕が残っているはずです。それもないので、族ではなく王子同士の戦いだと思い始めたのです。』


『中々見ているな。それで、次の理由は?』


僕は父さんの前を歩き庭に出た


『これが最後の理由です。』


エリーは渦巻く黒い雲を指差しながら


『父さんには、どう見えますか?』


カールはエリーの指差す方を見ながら


『どんよりとした黒い雲だな。』


『僕には、この城を中心に黒い雲が渦巻き状に広がっているように見えます。

そしてこう言う見え方の違いが出ると言うことは、世界の破滅 または 再生 を意味します。』


『成る程な。あの言い伝えと同じと言うことか。』


『その様です。』


『では、エリーと王子方のどちらかが 守護者持ちと言うことか。』


『はい。今までお教えできなくて申し訳ございません父さん。』


『いや いい。 お前には辛い事をさせてしまうな。』


『大丈夫です。さぁ、カール宰相殿。私わたくしにお申し付け下さい。《民を守れ》と。』


『………申し訳ないエリー。私は、如何なる時もお前を愛してる。私の大切な娘。』


『お父様……。わたくしもお父様が大好きですわ。全ての終焉を閉ざしましょう。そして新たな世界を共に見ましょうね。お父様。』


『そうだな。

宰相として、影のデア・ザラームに命じる。終焉を閉ざし、民を守れ!』


エリーは宰相の前に黒い服装で膝をついた


『はっ。仰せのままに。』


『これをそなたに預ける。生きて戻って来い。エリー』


カールが懐から取り出した魔力制御のネックレスをつけ


『必ずや成し遂げて見せましょう。』


『いけ!』


エリーは、その場から姿を消し終焉を終わらすために駆け出した。


残されたカールは、暫く空を見ていたが王の元へ駆け出した。



エリーは迷わず王城の最上階にある儀式の間に向かった。


そこに居たのは、顔は見えないが、白いシルクに金の刺繍が施された王家の紋章をつけている男性がいた。


『やはり貴女が来ましたか。』


『まさか 貴方が終焉を導く者でしたか。』


『ご存知でしたか。デア・ザラーム いえ。ユイセント・エリー嬢。』


『知られていましたか。・・様。』


『まぁ良いでしょう。貴女には、私の駒になって貰いますよ。』


『ふふふ。私わたくしが貴方の言いなりになると思って?』


『ならないでしょうね。ですが これを見てもそう言えるでしょうか?』


連れてこられたのは、生け捕りにされた国王陛下と女王陛下


『この方々を殺されたくなければ、言うことを聞け。』


エリーは、リュミエールに連絡をとろうとするが繋がらなかった。


『あぁ~。言うの忘れていたけど、守護者と会話出来なくしてあるから無駄だよ。』


『……なんの事でしょうか?それよりもあなた様は、ただの使いでしか無いのでしょう。』


『あはは~。流石だね。だけど彼も操られてる一人にしか過ぎないよ。』


『そうですか。』


『簡単なことだよ。エリー嬢の婚約者を殺れば良いのだからね。』


『………。殺れば、両陛下を解放してくれますか?』


『う~ん。彼次第だからね。進言はしておくけど、100%の保証はないよ。』


『……………可能性があるなら。』


『1週間以内に殺ればいいよ。またここで会おうねエリー嬢。』


『一つだけ聞いても良いかしら?』


『僕に答えられることならね。』


『ノア王子は、何処に居られますか?』


『…………。普通なら言ってはいけないんだけど、エリー嬢は特別に教えてあげる。聖霊塔に事が進むのを見ているよ。』


『そうですか。では、失礼します。』


エリーは聖霊塔に向った。

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