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忠義の儀式

そしてルークが眠ってから3週間と2日たったある日。


僕はいつも通り悲しみの後悔の念を抱えながら学園で剣技の授業を受けていた。僕の相手をしてくれているのはリアムだった。


僕たちにとっては剣を交わしているだけでも先生や他の人達から見たら高度な駆け引きに見える。

「エリー、大丈夫か?」

「何が?」

リアムは、煮えきらない態度で

「……いや、気にしなくていい。」

「そう言えばノアをこの頃見かけてないけど?」

苦笑いしながら

「なにやら父上に与えられた試練が、中々終わらないらしい。」


たぶんグリアサの事かな?

「……その試練って?」

「それが、父上もノアも教えてくれないんだよな。」


ますますグリアサの可能性が高いね


「服装とかはみた?」

「確か全身真っ黒の服を着ていたな。」

「それのほかに黒いローブに青いラインが入ってなかった?」

「あ ああ。左右の袖口に青いラインが入っていたと思うが…それがどうした?」


やっぱりグリアサの任務なんだね。

はぁ~僕も終わらさないといけないんだけどね……。今、長時間ルークの側を離れたくないんだよな。本当は学園にも行かずに四六時中側にいて目が覚めたら一目散に誰よりも早く『おはよう』って言いたいんだけど、父さんに諭されて来ているもののルークの事が気になってしょうがない。


リアムの問いかけに

「えっ?ただ、黒い上下とローブ。ローブの袖には青いラインが入っている人を何人か見かけたことがあるから、聞いてみただけだよ。ノアの情報ではなくでごめんねリアム。」

「いいや。はぁー本当あいつは何をやっているんだか。危険な目に遇っていなければいいんだけどな。」

「さて、そろそろけりを着けようかリアム?皆、うずうずしているようだしね。」

「そうだな、終らすか。」


お互いに激しく剣をぶつけ後ろに飛び退き開始と同じ位置で、それぞれの構えをとった。リアムは額の上に平行に構えを守りの姿勢。


へぇ~カウンターで勝つつもりなんだね。


僕は剣を下ろしラフな構えで彼が動くのを待つことにした。


回りは響動めいていた。

『隙だらけじゃないか。あれなら俺でも簡単に勝てるぞ!』

『王子!やっちまえ。相手はやる気がねぇぞ!』

『ユイセントのやつはやる気がねぇぞ!』

『…………逆だ。』

『はあ?逆ってどういう事だ?』

『良く見てみろよ!ユイセントのやつを。全く付け入る隙が一ミリもない。それに……』

『貴方ディライトは気付いたようですね。』

『先生、あの構えはまさか!』

『先生それはどういう事なんですか?』

『彼女は良くも悪くもユイセント家のご令嬢です。』

『?だからなんですか。それとこれがどう関係してくるのですか先生?』

『あなた方は、ユイセント家の歴史を知っていますか?』

『いいえ。それが関係してくるのですか?先生』

『ディライト君。貴方は、知っていますか?』

『はい。騎士を目指す者はユイセント家の歴史を両親から語り継がれますから。』

『そうですね。簡単に説明すると、あの構えは卑怯な真似をしない。正々堂々と戦う と言う徴です。普通ではね。それではユイセント家の歴史の話を少ししましょう。』


「リアム、暫くこのまま進められそうにないね。」

「……あ あぁ。それより何故あの構えをとった?」

「? ……。!あぁ~あれね。そろそろ国王様から教えて貰えるよ。それまで教えられないね。」

「チッ!また父上が抑えているのか。」

「それでどうする?」

「そうだな。話を聞きに行くか。」

「……分かった。」

先生の元へ近づいた。


「ユイセント家は、元を辿れば普通の農民の家系でした。その時代は隣国との争いが絶えずこの国は、食材も減り人々の間に不安と不満が渦巻き始めたある時。当時の国王様が民に義勇兵を募集しました。一人の男性が『この町にいたら助かる。だから行くな!盾にされて無駄死にするだけだぞ!』と言ったが誰も聞く耳持ちませんでした。この男性こそがこのあと初代ユイセント家の主だったのです。

誰もが食べ物が欲しいため城に集り、食べるために戦いました。しかし兵の盾にされ民が次々に殺されていった。初代ユイセント家の主が言ったことが正しかったと知った彼らは、一晩に7人ずつ義勇兵のテントから抜け出し初代ユイセント家の主に助けを求めた。」


先生がこちらを向いたので続きを引き継いだ。


「初代ユイセント家の主の名は『アンソニー』主に剣が得意で使用できた魔法は 防御結界・炎魔法 の2種類だった。それでもこの時代は魔法が使える人は一握りしかいなかったため、魔力を持っているものは王の御抱え魔道師として戦場に連れていかれていた。唯一王に知られなかったのが アンソニー だけだった。彼は、彼らが傷つくのを見ていられなくなり自分の隠していた愛剣を世界初の魔剣に作り変えた。

彼は3日後王に直談判しに王城に向かった。


『我が国の王よ。我ら民の声を聞き届けてくだされ。』

城門の前で彼はずっと王に届くように語り始めた。

『我ら民はこの長期の戦により食する物がなくなり子も育たなく、日に日に死者が増えるばかり。次は誰が死ぬのか、私の番かもしれない と常に死の恐怖で怯えています。王よ賢国の王ならば、我らの声を聞き届けたまえ。』


と語りついに王が城門を開けた。王は、アンソニーを見るなり


『そなたは、この戦を止めることができるのか?このままでは、例え撤退し負けを認めようが彼の者たちはこの民がにげおおせた王都までもが焼けて灰になる。この状況で、民を守る方法があるのか?魔道師はみな前線に送り込み一人も残っていないこの状況で?』


と自嘲するように言った

しかしアンソニーは笑みを浮かべ


『我らの賢国よ。兵を今宵のうちに撤退させたもう。その願いを聞き届けてくださるなら、王の願い この国を民を私が守って見せましょう。』

『本当に可能なのか!?』

『私は幼い頃から父により剣を習い、魔法も使えます。私の願いを聞き届けてくださるなら防御結界をはり、彼の者達を追い払って見せましょう。』


王は藁にもすがる思いで、一か八かの賭けにでた。その日の夜のうちに全兵たちは王都に引き上げた。そして変わりにアンソニーが愛剣を持ち戦場の中心地で夜明けを待った。 と言われている」


僕はリアムに視線を送ると


「初代ユイセント家の主 アンソニーが戦場の中心地に向かっているとき王は、彼の言葉を信じ城の食糧庫に溜めてある食材を民や兵たちに振るまい謝罪と労いをしていた。そうすることで、王への信頼が少しずつもとに戻り始めた。

この出来事は、王城に日記として今も残っている。」


リアムから視線が向けられたので再び話を続けた


「明け方に隣国は一斉に攻めてきたが、アンソニーが立っている位置から前に進めず足掻く彼の者を見ながら


『そちらのこの戦での指揮幹殿は、居られるだろうか?私の名はアンソニーと申すもの。大将殿でも構わぬ、私の話を聞いてほしい。』

『お前がアンソニーと言う者か?我はこの戦での大将を務めておる。一人で戦場にたつなど侮辱しているのか?』

『侮辱ではありません。私は、これ以上お互いに民を亡くしたくないのです。お互いにこれ以上は無意味と言うもの ですから兵を退いてほしい。』

『ふん!そんなこと信じるかよ。お前ら、こいつを殺せ!そして城を落とすぞ!』

『話し合いは無駄でしたか。私は忠告しましたよ。』

『いけ!』


アンソニーは、これからより多くの血が流れることに虚しさを感じながらせめてもの礼儀として直立不動で剣を抜き出した。あくまでも剣先は下げたまま。一部だけ防御結界に隙間を開けたがアンソニーには隙が一つもなかった。

目の前から騎兵が来ようと矢が雨のように降ろうと魔剣1つで全てを切り裂き はたき落とした。そして赤い海の中で一人その場を一歩も動くことなく43万の兵を一人で全滅させた。」


僕は最後の話を先生に促した


「そのまま彼は隣国の王城に向った。

そして彼は、城でも殺されそうになるが誰の刃も届かず王の元へ辿り着いた。

『隣国の王よ。あなた様が差し向けた何の罪もない民は皆あの世に旅立たれた。まだ、仕掛けるのであればこの場であなた様も旅立つことになるでしょう。最後の判断を間違われるな。私は、愚王ではなく賢国だと信じたい。』


隣国の王は敗戦を認め、この出来事から115年隣国との戦は起こらなかったと言われている。」

「その為 我が家の家家は、赤き死神・神の使者・裏の支配者 なんて一部では書かれているらしいけどね。

まぁそれから忠誠を誓うときは僕の家系では、ああやって剣先を下ろし相手に先手を撃たせる事が最大の礼儀と言われている。」

「とても驚きました。まさか目の前で忠誠の義を見ることができるなんて!!一生忘れません!両親にも、騎士の方々にも自慢できます!ありがとうございます。それに女性で忠誠の義をしたのはエリーさんが初めてではないのですか?」


僕は苦笑いを浮かべ


「えっと…ディライト君だったっけ?」

彼は目を輝かせながら

「名前まで覚えてくださったのですか!?光栄です!!」

「ディライト君の言った通り、ユイセント家で忠誠の義をするのは男性のみだったんだ。しかしある時に女性しか産まれなくて、婿養子として血筋を守られてきたんだ。その時に女性でもユイセント家の本家の血筋のみが赦されるようになったんだ。でも、女性で剣を振るう者が居なかったため女性ではどんなに遡っても僕が初めて女性で忠誠の義することになる。」


リアムと元の位置に戻ると僕は同じ剣先を下ろし、リアムは攻撃の構えをとった。


「俺は本気で行く。お前も本気でこい!」

「分かってるよ。この義で、手を抜く事はお互い死ぬ事と変わらないからね。」

「どういう事だ?」

「神聖なる義を汚すものは、何故か知らないけど早死にするらしい。」

「なるほどな。赤き死神 って言う意味はこっちが正しいかもな。行くぞ!」

「どこからでもどうぞ。僕は負けないからね。」


リアムが渾身の一撃を仕掛けてきた

彼の動きを直感で反応し剣を振るった。

キーンと言う金属同士がぶつかった音が響き直ぐに剣が宙に舞った。


「僕の勝ちだね。」

「くっ!俺の敗けだ。お前本当に一歩も動いてないんだな。」

「この義はそう言うものだからね。」

「そうだな。」


リアムと話していたら光のカーテンの揺らぎを感じた。


ルーク!?目が覚めそうなんだ!急いで帰らないと。


早口で

「じゃあ失礼します。」

と言って移動魔法でルークの部屋へ移動した。


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