入門試験
そのあとアミトンさん(リーダー)が『グリムザ・アサシネイション』 略して 〈グリアサ〉 での生活や規則を僕に教えてくれる言わばパートナーを呼び出した。
ノック音の後にどこかで聞いたような声が聞こえた。
「失礼します。リーダー、お呼びでしょうか?」
僕は入ってきた声の主をみて固まった。
うそ!?何で彼がこんなところにいるわけ!そんな素振り一切なかったはずだよね?其れなのになぜ彼がここに?
僕が困惑している間も二人は普通に会話していた
「うん、呼んだよ~~。呼んだけど~『ハクハ』~ その方苦しいの止めない?」
「出来ません。例え命令であっても、貴方は私の師匠ですからこれだけは譲れません。それより、要件は何でしょうか?」
「つれないな~でもそこがまた良いんだけどね~~。えっとね、ハクハ は君にはパートナーっていなかったよね~?」
「はい。いませんがなにか。」
「彼が君のパートナーね~」
と言って僕に視線を向けた
「彼のコードネーム(名前)は デア・ザラーム あだ名は デア ちゃん。新入りチャンだから優しく接してあげてね~。それと」
一瞬にして空気が重くなりアミトン?グアザ?さんの表情が真剣になった。
「彼は、俺の分身《大蛇》を殺ったから初歩試験はパス。」
それだけ伝えると表情が戻り
「分かった~?じゃあ 後はよろしくね~ハ・ク・ハ・チャ・ン。」
と語尾に音符かハートがついてそうな言葉を残し部屋から消えた。
僕は呆然と立ち尽くしているハクハ《彼》に向かって 丁寧に
「先程リーダーから紹介していただきました、デア・ザラーム と申します。
ハクハさん ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。」
彼は、僕の方を向き学園であったときと同じ笑みを浮かべながら
「これは、ご丁寧にありがとうございます。リーダー《グアザ》も仰いましたが改めて『ハクハ・リュイ』と申します。これから末長くよろしく頼みますエリー《デア》さん。お疲れだと思いますので、私達の部屋に案内します。」
「はい。お願いいたします『ハクハ様』」
そう言うと彼は苦笑いを浮かべながら
「戻ってからお話しします。」
と言ってこれから使う部屋に案内してくれた。
隠し扉を使迷路のように歩くこと10分ぐらい経過したところで1つの部屋の前でハクハ様が歩みを止めた。
「デア、ここが私達の部屋になります。」
扉には顔認証と指紋識別認証の2重ロック式の鍵が掛かっていた。
「あの、ハクハさん何故2重ロックなんですか?他の部屋も同じなんですか?」
とロックを外しているハクハ様に問いかけると
「私の部屋だけですよ。他の方々の部屋はここに来る前の建物が与えられています。お話しは、部屋の中で。」
と言って部屋の中へ促された。
「へぇ~まるで貴族の屋敷そのものだね。」
部屋の中は
入ると広々とした空間があり花瓶に花が生けられその奥には2つの扉があった。
「右が私の部屋で、これからは左側がデアの部屋です。部屋の中には更に部屋が別れています。お風呂場・お手洗い場・寝室・炊事場 等に別れています。それとクローゼットの中にある洋服類は、リーダー《グアザ》がデア用に用意したものですから自由に着て欲しいそうです。」
自分の与えられた部屋に入りながら
「炊事場があると言うことは、自分で作れば良いのですか?」
「基本は、食堂が在りますのでそこでお食事をとります。しかし自分で作りたいなら自炊してもいいです。」
「そうなんですね。」
「他に分からないことはありますか?」
「この事に関しては、有りません。」
「そうですか。では、そろそろ食事に向かいましょう。仲間の皆さんに紹介しないと行けませんから。」
「はい。」
部屋を出て食堂に向かうとそこは、学園で使われている食堂に似ていた。まるで某魔法アニメの食堂のようだった。
本当にここは、裏社会の所なのかな?どう考えても貴族学校の様にしか思えないんだけど?
ハクハ様はそんな僕の様子に気づかないまま、真ん中の列で最前列に腰を下ろした。ハクハ様に促され僕もその横に座った直後リーダー《グアザ》さんが台の上に上がり食堂全体に響き渡る威圧のある声で
「この場を借りて、本日から皆の仲間になった者を紹介する。デア、こちらに。」
「はい。」
僕がグアザさんの横に並ぶとグアザさんは、誰かに一瞬目配りをした。
「この者が本日から仲間になった デア・ザラーム だ。」
「デア・ザラーム と申します。皆さんこれからよろしくお願いいたします。」
と言ってお辞儀をすると顔をあげる前に何かが飛んでくる気配がした。
僕は懐から短剣を取り出し飛んできた暗器を弾き落とした。さらにまた何処からともなく暗器を投げられそれを全て足下に弾き落とた。そして僕は、麻痺薬が塗ってある暗器を飛んできた方向にいる方々に投げた。
しかしそれが当たったのは極僅かだったようで、飛んでくる量が先程より少し減っただけだった。
チッ 流石に暗殺部隊が混じってるだけあるな。
暗器が雨のように容赦なく降り注ぐなか僕は動きを止め自分に向かってくる方角を全て見定め、次に相手がとる行動や呼吸・感情・血の流れる音までもが聞こえるぐらい集中した。
いた!
相手の位置次の行動が分かった瞬間、相手がまばたきをしたときにはその人の腕にに剣が刺さり傷を作っていた。その他の10人も1秒と満たない間に麻痺薬が塗ってある短剣によって動きを停められた。
全滅させて集中を止めようとしたとき足下に何かが来る予感がした。
っ!まさかあの大蛇!
僕足下から自分を包むように青い炎で繭を作り出した。完成したのが一瞬遅かった。大蛇が足に噛みついていた。急いで包む炎の火力を上げ解毒《治癒魔法》を唱えた。完全に体に回っていた毒素が消えたのを確認し、炎のカーテンの中を歩いて台へ戻った。
台の上にいたグアザさんは、驚愕の表情を0.01秒ほど見せたあと
「デアのことはハクハに任すことにした。
さぁ 食事を始めよう。」
グアザさんのこの言葉で目の前に食事が運ばれてきた。




