グリムザ・アサシネイション
リアムを部屋まで送り届けてから今まで着ていた魔術騎士団の服装を脱ぎ移転魔法で自室に送った。その後 市街地から小道に入り、くねくねとした迷路の先にある古びた家や襤褸切れを着た人々が住む貧困層の場所。治安が悪く殺人や引っ手繰り、人身売買・遊郭……などがあり情報を掴んだりするにはもってこいの場所。
『グリムザ・アサシネイション』の本部はその遊郭の奥にこのスラム街では、不似合いの聳え立つ豪華な建物が本部である。
僕は 気配を消しながら遊郭の奥にある豪邸に足を踏み入れた。
内装は、ほぼ黒か赤で壁は赤色下は黒い絨毯が敷かれていた。先程から誰一人すれ違うこともなく、なんとなく一番奥の部屋に向かっていた。
その部屋につき律儀にノックをしたが返事がなく、人の気配もしてないが入ってみることにした。
扉を回し開けた瞬間危険を察知した。左後ろへ移動すると、さっき自分が立っていたところに暗器が刺さっていた。
危なかった~あと一秒遅かったら蜂の巣に成るところだったよ。それにさっきから僕の魔法を抑えられてるから防壁も発動させれなかったしね。
次は後ろと左側から微かに殺気と物が飛んでくる気配がした。
右へ移動するが僕の動きを読んでいるかのように行くところに容赦なく暗器が飛んできた。
チッ!このままだとらちが明かない。彼らの気配を読み取って殺るのが一番早いか?それともボスを見つける方が早いか?
僕は、次々飛んでくる暗器を避けながら相手の居場所を特定するため動きを一瞬止めた。暗殺集団は、その隙を絶好のチャンスとばかりに こめかみ ・脛椎・心臓・肺・目・腎臓 と一斉に狙ってきた。
僕は、暗器が飛んでくる方向を逆算して居場所を探した。
見つけた!
隠れ蓑を使ったって暗器の芳香から判るってーの!僕を試すならもっとましな奴にした方が良いんじゃないかなっ!
間一髪で全ての暗器を叩き落とし殺ったと安心しきっていた彼等に催眠薬が塗られた僕の暗器を足を目掛けて投げた。
それが当たった彼らは ボタ ボタ っと言う音と共に倒れた。そして僕は、今度こそ開けた扉の中へ入っていった。
その部屋の中にいた人は、ロングヘアーで優しげな人で見た目は女性だった。声は中性的でチャイ声だった。
「やぁ!君が今回の入門者 デア ちゃんかい?」
「そうです。」
見た目はこのチャラ男の癖に隙1つも見つからない。下手に行動すればこっちが殺られるイメージしか出来ない!くっ いきなりなんなんだよ!この体を締め付ける大蛇は。まるで今にも獲物を食い殺さんとしているように徐々に身動きを閉ざされて来てるなんて!今までなら直ぐに気づけたのに、こいつ なんの術も一定の言葉や行動もしていないのにどうやって!
「アハハハ~デアちゃん君は気づくのが早いね~。」
いきなり回りの空気が重くなり
「僕の大蛇に食われる前に気づいたのは、君だけだよ~。」
と同じちゃらさなのに圧倒的な威圧感
ヤバイ!このままだと絞め殺される!
そのとき頭のなかで声が響いた
『エリー!俺をお前の元に呼べ!声に出さなくても助けろと言うだけでいい!』
僕は心のなかで
『ライアンお願い助けて!』
とさっきの声の主に頼んだ。
体が温かくなり今まで抑えられていた魔力がライアンの力の融合した。それを感じた僕は、力強く
『プラーミア・インフィジャール』
と唱えると体に巻き付いていた大蛇が木端微塵となって消えた。
『ふぅ、助かったよライアン ありがとう。』
『相変わらず変なことに巻き込まれてるなエリーは。』
『うっ~面目ない。』
『しばらくは近くにいるから、何かあれば呼べよ!』
『うん。本当にありがとう。』
『じゃあな。』
「お前、何者だ!誰一人俺の大蛇から逃げ切ったやつはいなかった!それなのに何故!魔力だって俺の最大限の力で抑え付けていた筈なのに何故だ!」
と怒鳴り散らし始めた。
「答えろ!デア・ザラーム お前は何をした!」
僕は事務的に
「ただ体内にある魔力を増加させながら押し付けさせそれを一気に開放しただけです。」
「嘘をつくな!そのんなもんで俺の最大限の力を越えるわけがねぇだろ!」
「俗に言う 火事場の バカ 力 と言うものです。」
と説明しながら
この人もリアムと同じなんだと思った。
魔力が強いがゆえに畏怖をなし誰も逆らう事も意見を言う人も居なかったんだろうな。だから久しぶり?初めて?自分より魔力が強い人に大蛇を倒され、分かっていることを理解したくない故に問い続けてるんだろうな。
それから同じ様な問い掛けを丁寧に答え続け彼が納得?落ち着いたのが夕方前だった。
「みっともないところを曝して悪かった。」
「いいえ、僕の方こそ驚かせてしまい申し訳ありませんでした。」
と丁寧に受け答えすると
相手は頭をガシガシかきながら
「……俺の名は―――「名を明かしてもいいのですか?何のためのコードネームですか?」」
と彼が名前を言う前に被せると
苦笑いをしながら
「お前だけには知ってもらいたいんだ。だから聞いてくれ名は『アミント・ビクター』今は、暗殺団のリーダーと男遊郭と女遊郭の亭主をやっている。」
僕は後半部分がどうでも良かったために
「ふぅ~ん。そうなんだ。」
と適当に返事をするとビクターが慌てだし
「ちっ 違う!俺は誰一人抱いてないからな!本当だ!信じてくれよ、今からでも証明してやる。それでいいだろう!?」
「あの!僕は男として生きているんです!そんなことは、僕には関係ありませんから。それに女性であるまいし証明のしようがありませんよ。」
「そ そうだった。今のは忘れてくれ」
と膝をつき項垂れた。そして気を取り戻したのか
「そうだ!デアの本当の名をおしえろ!」
僕はため息を1つついてから偽名で
「『モルテ・イブリース』だよ。」
と言ってから付け足しに背筋がゾッとする悪魔の笑みをうかべた。
それに気づいていないビクターは、後々に偽名の意味を知るはめになったのはまだ先のはなし




