演奏
二時間目が始まるまで練習をしたけど……なんと言うか独特の演奏で、お世辞でも上手とは到底言えないほどの出来映えだった。
リアムのリードを得意とする強い演奏 ノアの落ち着いた優しい演奏 ラウロの自由気ままな演奏 僕の揺ったりとした演奏。
お互いの良いところを打ち消すような演奏の仕方なためどうしても綺麗には聞こえない。 そんな不安を抱えたままついに授業開始のチャイムが鳴った。ふ
始めは、一人づつ得意とする楽器での演奏。その楽器によってもちろん曲も違うし教師が依怙贔屓しないようにくじで決める。例えば、ピアノならピアノと書いてあるボックスの中から番号札を取り出す。その番号によって曲が決まる。そこから一人10分の練習時間がもうけられる。一番目の人が終れば直ぐに隣の部屋にいる二番手が演奏する。その間三番手は別室で練習する。と言う流れだ。
演奏順は自由で演奏したい人がら挙手しくじを引く。
今回もリアムがトップバッターで演奏するだろうしその次は、ノアが演奏するかな?それじゃあ4番目位に演奏しようかな。
僕の予想は正しかった。
「トップバッターで演奏をしたい人いますでしょうか?」
と音楽の教師が聞いた。その問いかけに
(音楽教師は、女性で3・40代でシルバーの艶やかな髪色をしているお淑やかな先生。)
「はい。私がトップバッターを勤めさせてもらいます。」
とリアムが言い出し、自前の楽器であるバイオリンを持ちボックスのところへ行きくじを引いた。教師から楽譜を貰いリアムは第二音楽室に行った。
リアムが練習している10分間は、団体演奏の話し相手をしたり別室で音合わせをしたりしている。
僕たちもノアとラウロ 3人で話し合った結果個人で点を稼いだ方がいいと言うことで、僕はピアノに変更することにした。
理由は簡単で、強弱やテンポが変えやすく感情が入りやすいと言うことで二胡を止めようとしたときだった。
一人の生徒……良く見るとエゴイズム姫が先生に話をしていたのが聞こえた。
「私わたくし2種類の楽器で演奏をしたいのよ。よろしいですわね!」
と先生を睨み付けながら言っていた。
それでも表情を変えずに
「練習で与える時間は代わりませんが、それでも良いのですね。」
とエゴイズム姫の目を見て言うと
「えぇ、構いませんことよ。」
と言ってグループの輪に戻っていった。
僕が
「へぇ~僕も2種類の楽器で演奏をしようかな。」
と言うと直ぐ様
「およしになった方がよろしいかと思ういますけど。」
と相変わらず真面目口調のノアが言うそれをラウロが
「別に良いんじゃない~。凄さを見せて牽制しておくのも手段だし。」
が言うとそれに
「もしも、間違えでもすれば減点です!危険をおかす必要は、今のところありません。」
「ノアは甘いな~少しでも自分の実力を知らしめれば、バカにしてきたり突っ掛かってくる奴も居なくなると俺は思うけどな~。」
と相変わらず目線や態度で相手をイラつかせながら僕にとんでもないことを言ってきた
「なあ~エリー。お前足でピアノを弾けるか?」
「?足でかい?やった事はないけど…練習したら出来ると想うけど。それがどうした?」
「いや~足で弾けるなら手で二胡を引けば2重奏でより綺麗に聞こえると思うな~と思っただけだ。まあそのあと二胡かピアノで別の曲を弾かなければいけないが。」
とどうでも良さそうにラウロが言った。
僕は苦笑いをしながら
「まぁ今回は、ピアノだけにしておくよ。それより団体の方、このままだと危険な気がするけど大丈夫かな?」
この問いかけに
「俺らは本番が得意だからどうにかなるだろう。」
「いやいや、なんでそんなに適当なんだい?リアム」
「適当?信頼と言え」
「分かったから、リアムの演奏楽しみにしてるよ。」
「俺様の演奏を聞いて感動するぞ!」
「ハイハイ 分かったから行ってきなよ」
「お前!?」
「兄さん早く行ってきてください。」
「チッ エリー後で覚えとけ。」
と言って演奏のステージにリアムが立った
リアムにしては優しく聴き心地の良い穏やかな曲をすんなりと弾きこなした。
余韻に浸りながら練習の時あんなに俺様風でやってた人がこんなに綺麗に弾けるなら団体も大丈夫な気がした。
続いてノアがステージに立った。
リアムとは真逆の曲で、時には力強く時には優しくと強弱の激しい曲だった。
兄弟だから似たようにも弾けるんだな。これならお互いを尊重しながらリアムとノアだけなら弾きこなすだろうな。僕も二人を見習わないといけないね。
次はいつの間にか消えていたラウロがステージに居た。
ラウロの曲は、水の流れのようなリズム自然を思い浮かべ指すような曲だった。
僕は2・3分だけ聴いてからボックスに入ってる紙を取り先生に渡すと元は二重奏デュエットの曲でピアノだけで表すのは難しいと一般ではされている曲だった。
でも、僕はこの曲を幼い頃から弾いていたから簡単にもう1つの楽器をホローしながらでも弾けるんだ。けど久しぶりだからクレッシェンドやデクレッシェンド・メッゾ ピアノ・メゾフォレテ・アッチェレランド 等 を注意したら簡単に弾けるはず。
集中して7分間練習していたらリアムが呼びに来た。
「今の曲は、難関と言われてるあの曲か?」
頷いてから
「そうだよ。でも僕の場合幼い頃に何度も弾いた曲だから、難関と言うよりも馴染んだ曲かな。」
「そうか、頑張れよ。」
と言ってリアムは戻っていった
「素直に応援してくれるのは嬉しいけど、何か企んでそうで怖いんだよな~」
と呟いてから楽譜をもって教室に戻った。
ステージに立つと深呼吸してから鍵盤に指を走らせた。
始めはゆっくりで徐々に早く穏やかにして激しくと言う感じでこの曲に込められた思いを使えるように弾いた。
最後に余韻を残すようにして終わらした瞬間辺りは静まり返り僕を見ていた。
なので礼をしてステージから降りようとしたとき教室に割れんばかりの喝采と拍手が響きわたった。
僕はもう一度礼をしてからステージから今度こそ降りた。そこに待ち受けていたリアム・ノア・ラウロから賛美の言葉をくれた。
「お前二胡よりピアノの方があってるな。」
「エリーは天才てすね。あんなに難易度が高い曲の二重奏を単体で奏でるなんて流石ですね。」
「ピアノだけでもう1つの楽器を補佐しながら弾く人を初めてみたよ。」
「ありがとう。だけどただ当たった曲が良かっただけだよ。あの曲は、幼い頃に何度も弾いた懐かしい曲で今でも時々弾いているからだよ。それよりも団体の練習に行こう?」
「そうだな。」「はい。」「えぇ~」
と言いながら別の練習室に向かおうとすると
「ユイセント嬢少し良いかな?」
と先生が話しかけてきた。
僕は二人に目配りし先に行って貰うことにした。
「はい。構いませんわ。」
先生に連れられ音楽教官室に入り示されたソファーに腰を下ろした。
「単刀直入に言いますね。再来週の土曜日にトワニス国で演奏舞踏会と言うものが開催されるのはご存知ですか?」
そう言えば招待状が来ていたっけ。王家主催の物は全て参加させられてるから、机の上に内容を読まずに放置してたかも。
「はい。知っておりますわ。」
「それに学園の生徒としても出て貰いたいのです。もちろんユイセント家のご令嬢としてご参加されると思うのですがもし良ければお願いします。でも無理にとは言わないので、断ってもらっても構わないです。」
「一度検討するお時間を貰っても構わないでしょうか?それと学園の生徒として出るのは、団体でも構わないでしょうか?」
「直ぐにとは言いませんので、十分に検討してください。それと、団体でもソロでもどちらでも構いません。」
「では、早めにご返答させて貰いますわ。」
と言って教官室から先生と出ると先生は教壇にたち
「今日は、ソロの演奏だけにします。終わった方々は、演奏を聞くか次の科目に移動してください。」
回りはざわめき喜びと不満を言っている人も居た。
それを聞いた僕は、リアム達がいる第七練習室に行き団体は次回になった事を伝えると
「んじゃ~俺達は帰るか!」
「そうですね。3・4は郊外学習にしていますからね。」
「そう言えばリアムの郊学場所は何処にしたんだよ?」
「ふん!俺は自国の魔術騎士の視察だ。そう言うお前は何にしたんだ?」
「うん~俺はね。ギルドの視察かな。」
「エリーはどうしましたか?」
「僕はトワニス国の近衛魔術騎士の訓練に参加することにしてる。そう言うノアはどうしたんだい?」
「私は、父上からの頼まれ事がありますのでそこでの学習かと。」
「ノアも父上から仕事を渡されたのか!?」
「そうですが…まさか兄さんもそうだったとは。父上からの仕事だったなんて驚きです。」
なんか嫌な予感がするんだけどな、気のせいだよね。
「じゃな!エリーまた後で」
「また明日お会いしましょう。」
「またね。」
「明日な。」
と別れを告げるとノアが
「エリーに伝え忘れてたことが。」
と言って耳打ちで
『父上からの伝言で、贈ってある服装をするようにとのことです。』
内心苦笑いをしながら
「教えてくれてありがとうノア。助かるよ。」
「お役に立てて何よりです。」
と言ってお互い逆方向に向かった。
僕は寮に戻ると届けられたと言う物の包装を解き中を確認した。
黒色服とズボン・羽織ローブ・暗器が入っていた。
なるほどね。完璧に僕を影にしたいわけだ。と黒い笑みを浮かべ魔術騎士の服の下に黒服黒ズボン隠し暗器を装着して魔術騎士団の訓練場に向かった。
次回は、郊外学習!




