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戦禮のアンジェクルス  作者: 黒須かいと
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第九章「叛逆者」 (5)

 Ⅴ

 西暦時代も有名なセレブシティだったドバイは、宗教上の都合などで本格的なカジノは意外と存在しなかった。しかし、政暦である現在、観光客向けに数店舗公的ギャンブルが行える店が存在している。

 その中でも一番規模の大きい施設に一人、チャイナドレスに身を包んだ悩ましくも真っ赤な口紅を引いた美脚の女性が、つかつかと唇と同じ色のハイヒールで闊歩していた。

 こういった場所には、自分たちだけは世界の混乱とは無関係とばかりの裕福な人々が集まっている。

 当然その客人たちも大変めかしこんだ衣装であったが、突然現れた彼女の艶やかな黒髪と、健康的な肌に自然と視線が集まる。

「やあ、君。初めてかな? 良ければ僕と一緒に回らないかい?」

 いかにも軽薄そうな若者が近付いてくると、女はにこりと微笑んで「ええ、簡単なゲームを教えてくれないかしら」と、少し首を傾げた。その仕草が女性らしい色気を醸し出し、若者はにんまりとだらしない表情で彼女をエスコートした。

 二人はルーレットに興じることにすると、女の方がふと店の奥を眺める。

「ん? どうかしたのかい?」

「何人かカーテンの内側に入って行きましたけど、あちらの部屋には何があるんですの?」

「ああ、あっちはBIPルームだよ。決まった会員しか入れないのさ」

「あら、貴方は入れないの?」

 その言葉に、男はけらけらと笑うと、まいったなと頬杖をつく。

「あそこは店のオーナーの縁者じゃないと入れないって話だ。残念ながら、僕は石油王の息子ではないからね」

 女はその言葉に関心深げに相槌を打ちながら、さっとどこかへ視線を投げる。

「あ、こら君!」

 カーテン付近にいた黒服が、さっと中へ入ってしまった少女を見て慌てて追いかける。

「お母様ぁ? どこぉ?」

「おや、どうしたのかなお嬢さん?」

 カーテンの向こう側にいたのは、カンドゥーラに身を包んだ長身の男性だった。髭を蓄えた顎を撫でる腕には、ちらりとアラビア語の刺青が見える。

「お母様を探していたの……」

「そうかい。でも、ここには来ていないよ。外を探してみようか? 放送で呼び掛けても良いよ?」

 優しい声音は若々しく明朗である。

「ナジブ様、すみません」

 黒服の男が謝罪すると、ナジブはひらひらと手を振り「お母さんはそのお兄さんと見つけなさい。もうここに来ちゃいけないよ」と念を押した。

 少女はしょんぼりとしながら黒服の男に手を引かれ、カーテンから出て来ると、すぐに「あっ!」と声を上げ、ぱたぱたと先ほどの黒髪の女性のもとへと走り出して行ってしまう。

「な、なんだい君はっ?」

「お母様!」

「はぁっ?」

 軽薄な若者は愕然と少女と女性を交互に見合う。

「まあ、紅花(ホンファ)! 貴女どこへ行っていたの?」

「ごめんねお母様。ちょっと迷っちゃったの……」

「ちょ、ちょっとまってくれ……。君、本当にこの子の母親なのかい?」

 若者がうろたえたのも当然だ。何しろ目の前の妖艶な女性は、まだいっていたとしても二十代半ば程の外見なのに対し、娘はどう見ても十歳は確実に超えている。

 しかし、目の前の女性はさも当たり前のようにこう告げる。

「ええ? 何か問題でも?」

 完全に彼女はフリーだと思い込んでいた若者は、見た目に反してこの女は年増なのだと肩を落とす。

「勘弁してくれよ……」

 若者はそそくさとその場を後にし、そのなんとも情けない姿を見た女性と少女は、人知れずくすくすと笑い合った。



「ただ今戻りました」

 砂漠に月光が降り注ぐ頃、あらかじめ貴翔が自身のアンジェクルス、ラファエルで構築していた塹壕内に帰還すると、テントの中でエルンストが丁度アルバート学長と連絡を取っているところであった。

「おお、帰ったか。丁度連絡手段が回復したところだ。ダナンも無事か?」

「ええ、どうにか、ですが……」

「すみません、ご迷惑をおかけしました」

 満身創痍の状態にも関わらず、ダナンは深々と反省の色を示す。

「本来ならば自身の働きで返せと言いたいところだが……、その様子じゃそれも難しそうだな。貴翔、とりあえずそこに寝かせておけ。レニー、お前は貴翔とかわってダナンを看病してやれ」

「は、はい」

 祖父の世話で多少看護医療に明るいレニーは、手早く簡易なエアーベッドを敷くと、ダナンをその上に寝かせてもらい、血の滲む包帯を解き始める。

 傷の状態を確認するたびに、レニーの表情が暗く悲痛なものになっていくのを、貴翔は申し訳ないと思うと同時に彼女の肩に手を添えた。

「大丈夫ですか? 無理そうなら……」

「いいえ、やらせてください。でも……、酷いです。どうしてご家族なのにここまで……」

 顔にかかる包帯を最後に取ろうとした彼女の手は、ダナンにそっと拒絶された。

「さすがに見せられるものではない。こちらは自分で……」

「でも……っ」

「レニー、ダナンのしたいようにさせてやってはくれませんか?」

 貴翔に言われ、レニーは渋々ピンセットや消毒薬、ガーゼなどといった道具と共に、手鏡をダナンへと手渡した。

「むしろ、家族だから辛うじて生かしてもらえていたといった方が正解だろう。……皮肉でしかないがな」

 エルンストは自身の通信用のヘッドフォンを貴翔に手渡し、パイプ椅子の席を譲りながら、眉間に深い皺を作る。

「学長……なんだか随分と久しい気すらします」

 貴翔が通信を代わり画面を見ると、少し画像は荒れていたが、そこには確かにアルバートの柔和なまなざしがあった。

 束の間だがほっとした様子を見せる貴翔に、アルバートは息子たちに語りかけるような口調で返す。

『大変だったね。ダナンも生存を確認出来て良かった。こちらも独自に通信手段を構築したりするのに奔走したのだけども、時間がかかってしまって申し訳ない』

「いえ、それよりも学長が無事で何よりです」

 出雲の学長マキ・テイラー・イリノは、国のトップである国家総参謀議会会議長、ブランドン・バシェットと共に斬首された。

 “あそこにいたのがもしアルバート学長であったなら”そう思っただけで、貴翔の全身が粟立つような感覚に襲われる。

『アキラがまさかこんな大々的なクーデターを起こすとはね……。それに辰巳まで組織に組み込まれてしまうとは……、迂闊だったですまされる問題ではないね』

 ただの噂話と、本気の画策。両者がどこからどこまでなのかと線引することは、その対象が子供と呼ばれる年代に近ければ近いほど分かりづらく判断に苦しむものだ。もしこうなる事が明白だったのなら、やはりあの時に辰巳を保護出来ていればと内心アルバートは酷く後悔した。

 様々な思いが巡り、歯噛みする学長に同情を覚えつつも、貴翔は今後の方針を固めねばならぬ旨を伝える。

『エルンストからそちらの状況は聞いたよ。君がダナンを救出したことはすぐに関係者全体に伝わるだろう。そうなればパンデミックももはや隠れきれまいと打って出て来るに違いない。そこにいれば間違いなく君たちは狙われる』

「私たちはむしろこちらの数を出来るだけ減らせまいかと思っています」

『それも聞いた……。けれどそれはあまりに無謀だ』

 きっぱりと言い放つ学長に、貴翔はいくらか語尾を荒げる。

「しかし、このまま革命軍とパンデミックを相手とする三つ巴となってはますます場は混乱します! ここで足止めをさせてください!」

『貴翔……君のその勇気は認めよう。だが、事態は君のがんばりで何とかなる問題ではない。三つ巴の戦いはすでに幕を切って落とされた』

「な……っ? どういう……ことです?」

 アルバートはその普段穏やかな表情に、いくらか険しい色を付けくわえ語る。

『あちらもワープ技術を使用してくることは予測していた。もうそろそろこちらに到着してもおかしくない頃だろう。地球軍はクーデターのおかげでちりじり……掻き集めて再編成するには時間がかかる。今こちらが緊急に動かせる駒は宇宙軍と政府の守備隊のみ。今ほとんどの戦力を地球外側からの攻撃に備えなくては、あっというまにこの星は敵に占領されてしまう』

「それでは、宇宙に出兵したのは一体なんだったのですかっ!」

 怒りの色を濃くする貴翔に、アルバートも苦悶の表情を浮かべる。

『作戦は失敗だよ。たった今前線基地ガニアンとも連絡が辛うじて取れ始めた。あちらの状況もなかなかに悲惨なようだ』

「そんな……では、結局政府がプロパガンダのために仕組んだデモンストレーションの為に、多くの命が犠牲となったということですか? それも、敵の真の狙いも塞ぎ止めておくことも出来ず、ただ地球に向けて素通りさせたと?」

 貴翔はあまりの情けなさと悔しさに拳を握りしめ、肩を震わせる。

 当然の反応だ。状況は彼が考えているよりも遥か上の絶望を映していたのだ。

『政府の無意味且、無謀な作戦を止められなかった私も罪深い事は重々承知しているつもりだ。けれど、ここでもう駄目だと嘆いているだけでは一般人と変わらない。我々は職業軍人としての務めを果たす。そのためにも君たちは一刻も早くそこから移動し、クーデターの制圧の方へ協力してほしい』

 つまり、貴翔たちに求めているのはパンデミックの脅威を未然に抑えることではなく、身内の鎮圧の方が先だと、アルバートは言っているのだ。

 即ち、政府の守備隊に加わり協力しろということである。

 貴翔は一度自分の頭の中から切り捨てた選択肢を提示され、何やら無性にイライラとした感情を抱いてしまう。

 何も自分の思い通りにならないからというだけではない。

 こんな結果を招き入れた政府に、ここに来てまで助力してやらなければならないのかという憤りももちろんであったが、こんな自分たちの様なちっぽけな戦力をも投入しなければならないほど、革命軍が脅威となりえる政府の組織像だということである。

 頼りない。こんな頼りない国家を作り上げるために、父や兄は政府高官を務めていたのだろうか。

 正直、こんなことではアキラ達が奮起するのも頷けてしまうのだから、余計腹立たしい。

「ええ……確かに今の私たちは少人数であっても反革命の為の軍事力には違いありません。しかし――っ!」

 これ以上こんな状況に振り回されて堪るかと、憤怒の言葉を浴びせんばかりの姿勢をとった時であった。

 後ろの方からばたばたとテントに駆け込んで来る人物たちがいた。

「貴翔、やったわ! 奴らのアジトを捉えた!」

 それは唇にまだほんのりと化粧の色を残した丹花と、偵察用超小型ドローンの発信をキャッチするコントローラーを握ったアリスだった。

 実に簡潔な報告であったが、貴翔はふっと笑みをこぼす。

「学長……いえ、アルバート元帥閣下。今の報告は聞こえましたでしょうか? 御命令に逆らい、なお且つ具申することを許していただけるのであれば、我々には勝機のある作戦があります。どうかここは、私たちに賭けてみてくれませんか?」

 その挑発的とも取れる発言に、アルバートはなぜかいつもの柔和な顔に戻る。

『頼もしいね。私からはとても提案できる作戦ではなさそうだ』

 貴翔はアルバートの考えにぴんと来た。彼の今まで自分たちに向けられたの台詞は全て“建前”であったのだ。

『そこまで言うなら好きにすると良いだろう。しかし、政府の守備隊は君たちほど頼りになるかは分からない。迅速な対応を期待する』

「了解です」

『ただ、好きにしろといった手前だけど、この命令だけはしっかり聞いてもらうよ』

 アルバートは一呼吸置いてから告げる。

『“死ぬな”以上だ』

 簡潔な指令に、画面に向ってきっちりと敬礼で返すと「勿論です閣下」と頷いて見せた。

 通信が途切れると、貴翔は静かにヘッドフォンを下ろし、立ち上がる。

「隊長、勝手を許して下さいますか?」

「閣下が了承されたのだ。ここに来る前から貴様に一任もしている。今更聞くな」

「はい……、ありがとうございます」

 貴翔は皆の顔を順に見渡し、最後にダナンに向って頷く。もはや後戻りは出来ない。いや、むしろ自分たちがここで怯むわけにはいかないのだ。

「皆さん、これから私たちがすることは大きく分けて二つです。まず第一に丹花たちが持ち帰った情報を元にパンデミックのアジトに忍び込み、出来うる限り速やかに兵器及び施設の破壊を行います。次に、その足で政府守備隊がいる国会議事堂前へと向かい、クーデター阻止に協力します。もはや正規軍が頼れない以上、ここのパンデミックを抑えるには私たちが動くしかありません。どうか、私に力を貸して下さい」

 彼の改まった申出に、一番怖がりだったはずのレニーが初めに声を発した。

「も、もちろんです! そのためにここまでついてきたんです!」

 彼女の言葉に皆同意の反応を示す。

「ほら、貴様が言い始めたんだ。こういう時は一先ずどうまとめるんだ?」

 エルンストがそう茶化すと、貴翔はごほんと一つ咳きこんで、手の平を前へ突き出す。

「……あまりこういうのは慣れていないのですが……その、形だけでも一応取っておいてもいいかと……」

 急に照れくさそうな態度の貴翔に、エルンスト、丹花、アリス、レニー……そして最後に遅れて、ダナンも包帯の巻かれた手の平を、皆に合わせて乗せる。

 さすがに驚いた貴翔がダナンの顔をのぞくと、彼は「仲間はずれは好かない」と苦笑いした。

「ええ……皆で成功させ、そして、必ず生き残って見せましょう!」

 仲間の威勢のいい声が上がる。

 もちろん、不安がないわけではない。けれど、彼らの全面的に信頼を寄せ、協力してくれる姿勢に、貴翔は背中を押されるような心強さを覚えるのだった。



 砂漠の中心部にそれは存在していた。

 朝焼けがまだ身を潜めている中、本来出口であるその場所から、貴翔、丹花、アリス、レニーの四人は、ダナンとエルンストを外に残し、アンジェクルスで潜入を試みる。

 暗がりの中、最小の明りで道を照らしつつ進んでいく。

 その広さと急ごしらえではけして出来ないであろう内壁の設備に、この施設が前々から存在していたのにも関わらず、今まで誰の目にも触れられてこなかった事実に驚愕と落胆の気持ちが渦巻いた。

 なんとしてでもレニーがイスラフィルでセンサー類を狂わせているうちに、中枢部にある武器庫にたどり着きたい。

 そこさえ見つけてしまえば、ラファエルの爆弾工作で内部から破壊し、作戦の第一段階はクリア出来る。

 道筋はアリスがカジノのカーテン裏に飛び込んだ隙に、投げ入れたドローンによってすでに算出済みだ。

「それにしても、よくカジノがこの施設への入口だとつきとめましたね?」

 ラファエルのモニター越しに、ふいに貴翔に話しかけられ、丹花は少し驚いた。

「アヴドゥル氏一家の管理下で出入りのある場所に限定して、その付近の一般市民への聞き込みをしてみたの。そしたらいつも観光客がたくさん来るカジノがあるけど、入って行った人たちと出て来る人数があまりにも違う日があるから変だって噂を聞いたのよ。あくまで噂だから、実際に入ってみるまで確信はなかったんだけど……」

 足で情報を集めるとは、まるで刑事ドラマも顔負けなことをやってみせた丹花に、貴翔は素直にこの時ばかりは感心する。

「あ、あそこです!」

 ダナンの機体であるアズライールに乗り込んだアリスが声を発した先には、鉄骨の立体格納庫に詰められ、横並びに配置された宇宙開拓同盟の主力量産人型兵器、ジュダス。そして、それよりも性能が上とされているイブリーズが七対三ほどの割合で大量に確認出来た。

「これだけの数を、都市と砂漠の下に……」

 ざっと目の前に見えた数だけでも百体以上ずらりと並んだその姿に悪寒が走る。この数は明らかにここで製造自体も行っている事を示唆しているのだ。

 出雲との対戦で海から次々と現れたあの恐ろしい光景を、嫌でも思い出してしまう。

「こんなの、早く爆弾仕掛けて無くしちゃおうよ!」

 偃月が毛を逆立て、叫ぶように提案した直後であった。

「皆さん! 奥にっ!」

 レニーの言う方向を見据えると、そこには見覚えのある機体の影が佇んでいた。


「おやおや……随分と大きなネズミの気配がするから、誰かと思えば君たちか」


 相手のアンジェクルスの外部スピーカーからは、相変わらず厭味ったらしい声音が、怪しい含み笑いと共に鳴り響く。

「……ピーター・ラップビート、こんなところに隠れていましたか」

 地球共同連邦の裏切り者は、自身の愛機、マガツヒに改良を加えたのであろう、前に見たものとは明らかな変化を遂げている強大な砲塔をこちらに向ける。

「くくく、ダナンは元気かい? 折角裏切り者同士仲良く出来ると思ってたんだけど、どうやら彼は真面目を通り越して馬鹿だったみたいだからねぇ……」

 挑発であるのは明らかであったが、親友を罵倒する言葉は確実に貴翔の耳を蝕んでいく。

「彼、まだ生きてるんだって? 実に残念だよ。生にしがみつく人間は浅はかで見苦しいものだからねぇ。君もそう思うだろう? “役立たずは死んじゃえば良いのに”――ってさ」

 操縦桿を握る手が震えそうになるのを辛うじて止めると、貴翔は深く息を吐き出しながら、眼鏡のブリッジ部を軽く中指で押さえる。

「……言いたい事はそれだけですか?」

 言うが早いか、ラファエルの腰部に装備されているチェーン状の手榴弾を投げ放つ。

 マガツヒの目の前で炸裂したそれは爆風を激しく上げながら、立体格納庫の骨組みもいくつか倒していく。

「丹花、アリスっ! ここにある敵機を出来るだけ多く破壊してください! レニーっ! 貴女は戻って隊長たちと共に絶対に敵を表に出さないよう出口を――っ!」

 灰色の煙の中から、砲撃が放たれる。辛うじて避けたラファエルに、次いで繰り出された近接戦闘用のヒートウィップが襲いかかる。

「――くっ!」

 超硬質薙刀の柄で受け止めるが、気を緩めればすぐにでも奪われてしまいそうな力強さだ。

「瑛っ!」

 丹花は動揺の色を隠せず叫ぶ。

「こちらは私が引き受けますっ! 貴女は貴女たちの為すべき事を早くっ!」

「自分たちごと閉じ込めて、背水の陣ってやつのつもりかい? 確かにここで皆して暴れまわれば、君たちの当初の目的は果たせるかもしれないね。けど、それは自分たちの命とも引き換えだってこと分かってる?」

「それは……っ!」

 ざっと巻き取るように一気に引き、薙刀の先端を返すように相手の武器を叩き斬る。


「やってみなくては分かりませんっ!」


 貴翔の咆哮は固く頑丈な施設内に響き渡った。

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