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89.予想外です

「あの…端的すぎてわからないんですが。

アイリさんって千年前の巫女さんですよね?」


「ええ。」


「その身体がなぜここに?」


「正確には、アイリが転生した身体、なのですが。」


「転生?」


「千年前の戦争はご存知ですわね?

それを収めたのはアイリだということも。」


「ええ。」


「元々類稀な魔力と才能を持って生まれたアイリは戦争を収め、

その功績から半女神となっていました。

しかし、何を思ったか、女神になんかなりたくない、

普通に暮らしたいと言い出したのです。

なので、権能を全て無くして半女神になる前と同じ条件で、

また転生させることにしたのです。

私はてっきり普通に生活しているものだと思っていたんですが…。」


「中身が私になっていたと。」


「そうです。あなたはどこからきたんですか?」


「えーと。どこからと言われると…説明しづらいですが…

この世界とは全く違う、魔法や亜人というものが存在しない世界からきました。

所謂異世界というところから。

こっちの暦でいうと、多分1年と2ヶ月くらい前に、です」


「じゃあ、アイリはそちらの世界にいるんでしょうか…。」


「ええ、おそらく。説明がメンドくさいから、プミロア様に聞いてと。」


私、なぜ女神に状況説明してるんだろ?

どうやら、プミロア様が考えこんでいる様子。

苦労してきたんだろうな…。


「ええ…」


「やっぱり。」


「権能はないはずなので、時空間移動はできないはずなのですが…。

あの子のことですからね…。自力なんとかしたのかも…。

戻れないのか、戻ってこないのか。」


「そういえば、もう1人、私の前からこの体にいる子がいるんですけど…。」


「えぇ!!」


あ、それも初耳か…。


「えぇ。」


「知らないのに丸投げされてたんですね…。」


お気の毒に。


「……。えっと、その子はいつから…?」


「それはわかりません。

私がここに来た時に自殺を図って死にかけていたみたいってことしか。

後は夢の中で3度ほど話をしましたが、アイリさんとは違うと思います…。」


「そうなのですか…。」


「その子が異世界に代わりに飛ばされたと思い込んでいて、手紙を書いたんです。

そしたら面白そうだから勝手にしろだの、メンドくさいからプミロア姉に聞けだの…」


「あぁ…明らかにそっちがアイリですね。

ただ、あまりいい状況じゃないですね…。」


「それはどういった意味で?」


「1つの身体に2つの精神が入っている、

ということは何らかのひずみが出てもおかしくありません。

アイリの身体だから今は大丈夫ですが…。

長期間そのままというわけにはいかないでしょう。」


「ですから私を元の世界へ…戻していただけませんか?」


「私もできることならアイリには戻って来てほしいのですが…

それは…今すぐできないのです。」


「え?なぜです?」


「実は…アイリとは手紙自体はやりとりしてたのです…。

最近変なこと言い出すなーとは思ってはいたのです。

でも、その情報が異世界のものだと思ってなかったので、

居場所までは確認していなかったのです…。

【ごだいどーむつあーとか楽しそう!

きっと新しい巫女見習いが来るはずだから、その人にやらせてみたら?】

っていう訳がわからない手紙を最後に連絡が取れなくて…。

手紙が送り返されて来るんですの。どうやら妨害されているみたいで。」


「それはつまり?」


「アイリが入っているであろう身体がないとあなたを戻すことが出来ません…

アイリは身体が無くてもまた女神化させれば問題ありませんが、

あなたはそのまま戻すというわけにはいかないのです。

居場所が今はわかりません…。」


女神に会ったのに戻れない!!!

予想外!!


「本当、スミマセン…。」


「それ、いつ頃ですか…?」


「最近としか…私達、神は時間感覚があまりないもので…。」


なんか…この女神様、大丈夫…?


「大丈夫です…とは胸を張っていえないんですよね…。

アイリがいないとまともに人と話せませんし…。」


「私と今喋ってますよね…?」


「あなたは外見がアイリですからね…。

アイリの勧めで仕方なく巫女を探してましたが、

あなた以外の巫女とはまともに喋れていないのですよ…。」


「…しばらくの間、私が他の方にも伝える係もやりますから…。

それで…私が帰るにはどうしたら…?」


「とにかくアイリが面白そうって言ったことをやるって知らせれば、

連絡が取れるかと…。 私からは無理そうなので、あなたが手紙を送ってください。

その…どーむつあーっていうのは何ですか?」


「向こうの世界で大きな会場5箇所で演目を行うことなんですけど…。

あ…もしかして…この世界の五大陸に大きい規模の踊り場、

1箇所づつありますか…?」


「え…えぇ…。ありますよ。」


「それを回れってことですかね…でも有名な巫女さんじゃなきゃ難しい気が。」


「新しい巫女見習いにやらせてと言っていましたから、

あの子はあなたにやらせるつもりみたいな感じでした。」


新人にやらせるとは…無理だろ。


「無理ならあなたは帰れないでしょうし、その身体がいつまで持つか…。」


いきなり脅しですか…。


「脅しではありません、事実ですよ?」


心読んでくるから厄介だな!オイ!


「…っわかりました!!で、具体的には何をすれば?」


「私もわかりません。あなたが頑張ってみてください。

では、私はこれで…。」


さっさと消えようとするので、これだけは言っておかないと!


「偉い人たちには話通してほしいんですけど!

いきなり下っ端が言っても信用してもらえないので!」


「あ…努力はしておきます…」



私を包んでいた光は消え、プミロア様の声は聞こえなくなった。

アイリさんも大概だが、プミロア様も大丈夫か…?

元の世界帰るの寂しいと思ってたけど…帰れないし、

そうも言ってられなくなってきた…。






















読んでくださってありがとうございます!

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