88.今会いに行きます
ここから終章です。
すみません、もう少しお付き合いください。
キリがいいので、更新時間、文章量を変更します。
プミロア様の総本山はブレイ大陸のバナンにある。
シリルさんちから近い港町、オーサから1日ほど。
午前中に出て、着くのが夜だ。他大陸に比べたら、移動は少ない。
いよいよプミロア様に会える。
ただ…神様に会うってどんな感じなんだろうか。緊張する。
馬車の中で、イグニスさんにプミロア様について聞いてみる。
「なんか、気難しい方だからって以前友人が言ってたんですけど…」
「うーん、気難しい…のかな…。
確かにあまりおしゃべりは得意な方ではないですね。」
おしゃべり…
そう聞くとなんか神様感が薄いな。
「あと、最近になって巫女を探し始めたって聞きましたけど…」
「それについては私達にもわからなくてね。私も当時のことは知らないし。
ここ10〜20年くらいの話らしいんだけど。
なんか思う所があったんじゃないかな。」
「プミロア様って妹さんいないですよね…?」
「妹?聞いたことないですけど…どうかしました?」
「いえ、ちょっと気になったものですから…」
やっぱり妹はいない。
姉っていうけど、エリオットみたいな感じなのかな。
直接血の繋がりはないけど、姉様って呼ぶ感じかな。
「妹がどうかしたんか?」
ニールさんが小声で囁く。
馬車内なので顔が近い。ちょっと…顔が赤くなる。
「あ、いや、これから巫女になるんだからさ、 知っておかないと…
あと、その…プミロア様の…
近親の人が私の探してるものを知ってるっぽくて…」
「さよか…。あんな、リリア…」
「ニール君、今後のことなんですけど、」
「はい、なんでしょ?」
イグニスさんに呼ばれて話は中断してしまった。
真面目な顔してたけど、なんの話だったんだろう?
プミロア様へ挨拶後、しばらくバナンで簡単な研修の様なものを行い、
まずはオーサの港町での催し物での演目を行う予定でいるらしい。
その後、各地を巡ることになっているとのこと。
ニールさんは護衛兼マネージャーみたいな仕事になる様だ。
「ただですね、君達2人だけで世界各地を回るのは…色々心配があります…。」
「腕には自信あるんやけどなぁ…。」
「それだけじゃないんですよ、巫女の護衛っていう仕事は。
聞いてませんか?」
「あぁ…なんとなくは聞いたわ…
(心配ないと思うんやけど…)」
なんの話だかわからないが、
イグニスさんは2人だけで回らせるのは少し不安の様だ。
「まぁ、その話は追い追いしていきましょう。
そろそろバナンにつきます。」
バナンに到着した。もう夜だ。
「今日の所は宿に泊まりましょう。プミロア様へ挨拶は明日にしましょう。」
いよいよ明日、プミロア様に会う。
もうこの世界とはお別れかもしれない。
なんだか寝付けないまま、夜は更けていった。
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朝になった。
イグニスさんに連れられて、プミロア様のところに行く。
プミロア様の総本山はこじんまりしていた。
アイリさんが巫女をしていたこともあり、プミロア様自体は人気?の神様だ。
しかし、最近は色々な所の巫女が活躍しているので、昔ほどではなくなったらしい。
巫女の数も少なく、寄進もそこまで集まらない。
よって、建物もこじんまりとしていると。
所属アイドルもあまりいないが、老舗の事務所ってとこか。
イグニスさんに小部屋に通される。
「ここでこれに着替えてください。正式な巫女になる儀式をやるので。」
ニールさんとイグニスさんは
もちろん外で待っている。
白い、トーガの様な服。ザ・巫女といった衣装だ。
…下着透けないだろうか…。靴下も履いたままでもいいのかな…。
あ、もう履かなくても大丈夫だったんだっけ…。
もう習慣化してるから忘れてた。
着替えが済んで、イグニスさんに声をかける。
「これでいいですか…?」
2人は一瞬固まった。
どうした?変だった?
「あぁ…結構です。こちらへどうぞ。」
案内されてる間、ニールさんに小声で聞いておく。
「ねぇ、なんか変?」
「い…いや、変やないよ…。」
「2人とも固まってたから、変なのかなって。」
「そうやなくて…。」
「つきましたよ。」
また中断されてしまったが、変じゃないならいいや。
通されたのは白い部屋だった。
天窓がついてるだけで、何もない。
「ここで歌をささげてください。私達はこれ以上入れません。」
後半はニールさんに向けての言葉だ。私だけ部屋の奥へ進む。
「なんでもいいんですか…?」
「構いません。」
でも、この格好でこの空間。なんか…厳かな歌の方がいいな…
浄化の歌にしとこう…。あれならこの空間でも合うし。
ひと呼吸吸って歌い始める。今日は魔力オフだ。
歌い始めると光が身体に集まってくる。
その光がどんどん大きくなって、
身体を包み込む。
「リリア!!」
「…ダ…ダメです!」
ニールさんが部屋へ入ろうとして、イグニスさんに止められる。
部屋中に光が溢れる。
すると上の方から声が聞こえてきた。
「やっと捕まりましたか…。」
え?捕まったってどういうこと?
「プミロア様…ですか?」
「はい。」
声は優しい感じだ。
「リリアと言います。
今度から巫女を務めさせていただきます。」
「本当、中身は別人ですわね…。」
さっきから話が見えません…。
「あの…さっきから言ってることが、わからないんですが。」
「私もよくわかってないのですよ…。」
女神がよくわかってないって…どういうことだ?
「私にもどういうことだか…。」
ん?心読まれれる?
「読みますよ?女神ですし?」
「じゃあ、わかってること教えてください。」
「ええ、わかりました。
端的にいうと、その身体はアイリのです。」
……………え?
読んでくださってありがとうございます!