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83.失恋

結論から言っておく。

ダメでした。

何がって?もちろん、

シャロンちゃんだ。

カールさんはクラーケンという事は

あっさり教えてくれて、

告白は、

「付き合うとか、結婚とかメリットがわからない」

という女心を粉々に打ち砕く発言で終わったらしい。

クラーケンとか云々関係なかった。

告白した日の夜、シャロンちゃんは泣いて、


「もっといい人見つけるもん。」


と、ぐしぐししながら言ってたいた。

見つかるといいね…。


そして、打ちひしがれている人がここにも。

今は歌の授業なのだが、

横でエリオットがまたHP0状態で座っていた。


前期の時点でエリーちゃんに剣を習い始めたエリオットは

エヴァルドルフ君の存在を知ってはいた。

しかし、エリーちゃんの前では猫を被っていた手前、

激しい拒否行動を取れずにいたらしい。

言ってもイヤミ程度だが、

エヴァルドルフ君には通じなかったようだ。

そして状況は一変した。

エリーちゃんもそろそろ卒業なので、

久々に剣を習いに行くと、

2人の間に漂う甘い雰囲気が。

エリオットは

もうエリー姉様は自分に振り向く事はないと

気が付いてしまったようだ。


今日は作曲の授業をやっていたのだが、

今の気持ちを即興で歌う。

という中々キツイ授業だった。

エリオットが当てられたのだが、

多分話を聞いていなかった。


「今の気持ちを即興で歌にだって。」


小声で耳打ちすると、

エリオットは勢いよく立ち上がって、

半ばヤケになりながら大きい声で歌った。

いつもより声が出て、感情が乗った歌は

中々良い歌だった。

エリオット、音痴って訳じゃなかったみたい。

堂々と歌えば普通だった。

今迄は自信がなくて声が上ずっていただけで。


「いい歌でしたね。」


カミラ先生に褒められて照れるエリオット。

着席した後に私も


「今の歌、すごくいい歌だった。」


と褒めておいた。まぁ、事実だし。


「まぁな!」


ちょっと元気出たみたい。

よかった…と思っていたら、

次は私が当てられてしまった。

今の気持ち…

みんなの失恋の傷が

ちょっとでも癒えますように

そんな気持ちを込めた歌を。

今気が付いたけど、曲作っちゃえば

いろんな魔法使えるようになるのかな…。

乾燥とか。

乾燥のイメージで曲とか…やっぱ無理だ。


「…やはりリリアさんは

素晴らしい歌を歌いますね。

巫女になられても頑張ってくださいね。」


さらりと巫女になる事を暴露した発言に

ざわつく教室。

先生、なんで知ってるの?


授業終わりに先生の元へ行くと、

カミラ先生はニコニコ笑いながら


「あら、まずかったかしら?

ルーロウ校長のご紹介でニール君と

お話してたものですから。

私も昔、イミージン様の巫女だったので

お話を聞かせてほしいって

色々話していたんですのよ?」


巫女さん!

元だけど、こんなところに。

灯台下暗しとはこの事か。

にしても、ニールさんは何聞いてたんだろう?


「頑張ってくださいね。

意外と体力のいる仕事ですから、

体には気をつけて。

後、ふた月切りましたけど、

授業の方も。」


そう言ってカミラ先生は行ってしまった。

もう私も戻ろうと後ろを見たら、

エリオットが他の子達に囲まれていた。

もう元気そうだから、放っておこう。






もうすぐ卒業だけど、

私が帰ったら、

リリアは巫女の仕事続けてくれるかな…。

リリアと卒業までに話せたらいいのにな。

そうしたらお願いしておけるのに。

みんなが応援してくれるから

大丈夫だよって伝えたいんだけどな。

その晩、リリアのことを

強く思ってから眠った。

でも夢は見られなかった。

やっぱり、そう簡単には行かないらしい。






読んでくださってありがとうございます!

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