8.チュートリアル①
ミナシーの表記を読んだが、明らかにここには該当しなかった。
『穏やかな海。岩場は少なく、魚類が豊富。
漁をするには最適でたくさんの漁船を見かけることができる。
ホーリーテイル付近の魚は美味。』
だもん。
岩場もそこそこあるし、漁船なんて一艘も見てない。
魚は喋るし。
とりあえず、ここらはクラーミストっていう海で、
人間は滅多に来ないみたい。
そしたら、この積荷を落とした船ってなんなんだろう?
わざわざ商船が危険海域通るって…。かなり訳あり?
まさか…海賊船?
ありうる…。元の世界にもまだ海賊って中東地域にはいたし。
これじゃ人に会えたとしても平和的にってわけにもいかなそう。
ましてや人魚。捕まって売り飛ばされても不思議じゃない。
ジョ◯デ似のイケメン海賊なら捕まってもいいけど…
って違う、違う。
そんな頻繁に人が通らない、通る人間の素行も怪しいってなったら、
ちょっと引っ越し考えないと…。
でも、折角手に入れたこの世界の情報を置き去りにして引っ越しするのは
得策ではないと思う。
そんな毎晩船が通るわけじゃないだろうから、しばらくここにいても大丈夫。
なはず。
数冊の読める本を読んでから引っ越ししても遅くない。
本を読むスピードはそれなりに自信があるんだよね!
暗くなる前にこの世界紀行という本を読み切ることにした。
陽が傾き、黄昏時にようやく世界紀行を読み終わった。
滲んで読めないページは飛ばしながらだけど。
どうやらこの本がチュートリアルだったのか、
わかったことがたくさんあった。
元の世界と違って文明が発達してない。
よくあるRPGゲームの世界って感じのようだ。
SNSもテレビもないんじゃ、アイドルなんて職業はないんだろうなぁ。
そして魔法使いも希少。
使える人は少なくて、ホーリーテイルっていう陸地に学校があるみたい。
亜人は存在してることは確認されているんだけど、
あんまり目立つことをよしとしないのか、本に記述は少なかった。
獣人とか、エルフとかこの辺にこの民族が住んでるらしい的な記述はあったけど。
魔物的な存在はいるようで、亜人と違い、話が通じないとのこと。
滅多に出ないみたいだけど。
「ちょっと凹むわー。」
暗くなったので、もう寝ることにした。
折角美少女になったのにアイドルって職業がないなんて。
某大手アイドルグループが初めてチャート1位を取った曲を、
これも試練なのかなと思いながら歌ってから眠った。
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