82.かしましい
食堂で御飯を食べながら、
シャロンちゃん、エリーちゃん、マリーダの3人に
卒業後に正式な巫女になることを報告した。
後期に入ってからというもの、マリーダは研究が忙しい。
あまり話す機会が減っていたので、
御飯の時くらいと少し前に一緒に食べる事を提案したのだ。
マリーダは人見知りっ子なので、
初めての内は緊張していたようだが、
シャロンちゃんが色々聞いて仲良くなっていた。
2人共薬学は得意なので、共通話題も多かったのもある。
「「「おめでとう!!」」」
「あ、ありがとう…」
照れるし、
みんなに会えなくなるという気持ちがあり、
祝福の言葉に喜ぶべきか少し戸惑う。
なので、エリーちゃんに振ることにする。
「エリーちゃんも
報告すべきことがあるのでは…?」
「え、何、何?」
シャロンさん、ナイス食いつきです。
エリーちゃんが顔を真っ赤にして口ごもる。
「エヴァルドルフに一緒に来てくれと言われた…
その…好きなんだとも…。」
乙女な顔になるエリーちゃん。
可愛いじゃないか。
「えー!!見たかった!」
「私から言うつもりだったから、
けじめとしてリリアだけでなく、
シャロンもちゃんと呼んだぞ。
来なかっただけじゃないか。」
あ、私が呼び出されたのは
エリーちゃんから告白するつもりだったから
立ち会って欲しかったのか。
シャロンちゃんは来なかっただけで。
「だってー手合わせ見てもつまんないって
思ったんだもんー。
カール先生もいないし。」
とぶーたれているシャロンちゃん。
「確かにエリーちゃんは説明してなかったけど、
それは来なかったのがいけないよ?
残念でしたー。」
私が言うとシャロンちゃんはうーっと唸っていた。
私達のやりとりを見て、マリーダも笑っている。
息抜きにはなってるみたいだ。
「その勢いでリリアにもニールさんに
告白させようとしたのだが、
逃げられてしまってな。」
エリーちゃんが思わぬ爆弾を投下して来た。
エヴァルドルフ君の告白が終わったあと、
エリーちゃんがお前は言わなくていいのか
という視線を向けてきて、
それに気がついたリンダ先生が、
ニールさんにリリアは本当の妹じゃないんだろ?など、
ニールさんをつついてみたりしていたのだ。
当のニールさんは
「ホンマの妹やないけど、
ホンマの家族以上に大切やで。」
などと、また誤解を生みそうな発言をした。
男2人はなんのことかわかっていないので、
今後の課題点などを話しあっていた。
その間、私はリンダ先生とエリーちゃんに
「アレは脈アリだろ」「ある意味告白だ」
だなんだの言われ、面倒なことになったので、
メタルアイドルのかくれんぼの歌を歌って、
隠れてその場から逃げたのだった。
今度みんながいる時に
お兄ちゃんって呼んでデレさせよう。
そうすれば、みんなわかってくれるはず。
そんな事を考えていると、
「いーなー。エリーちゃんもリリアちゃんも。
私カール先生となんもないよー。
ねぇねぇマリーダ、
カール先生ってどんな女の子が
好きなんだと思う?」
「んー。
女の子っていうより、
あんまり人に興味ない人だよね。
リリアみたいに身内ってなると
別みたいだけど。」
「やっぱりそう思う?
カール先生もリリアちゃんには
甘いよね。」
あ、他の人から見るとそうなんだ。
もっと甘い人達がいるから
そう思えないだけかな。
心配はしてくれてはいる思ってたけど。
「それに…リリアちゃんがそうなんだから、
カール先生も…そうなんでしょ…?」
きっと、カールさんも人魚なのか
って事を聞いてるんだろう。
人魚ではないけど、人間ではない。
そっか。
普通の人にしたらだいぶ問題だよね…。
「うーん、
カールさん、別に隠してないらしいから
本人に聞くといいよ…。」
こういうのは人から聞くもんじゃない。
本人から聞くべきだ。
マリーダも知っているので、
頷いている。
「……決めた!!
カール先生にその事を聞く!
その時、一緒に告白もする!!
エリーちゃんも覚悟決めて
言ったんだもんね!」
シャロンちゃんが覚悟を決めた。
健闘を祈ります。
読んでくださってありがとうございます!