75.カミングアウト
翌日。
なぜか中庭で手合わせしている
エヴァルドルフ君とニールさん。
なぜ?
「自分、やりおるなー。」
「いえ、まだまだです…。」
「ニールさん、なんでいるの…?」
「リリア、知り合いか?」
「リリアー♪おはようさん。」
…カオスな状態になったので、
状況を整理。
昨日、ルーロウ校長と話込んで、
結局職員宿舎に泊まったニールさん。
朝一からエリーちゃんとエヴァルドルフ君は
デー…鍛錬をしていた。
そこにニールさんが通りがかり、
なかなか骨がありそうなやっちゃなーとか
なんとか言いながら、手合わせを願い出た。
そして今に至る。
エリーちゃん曰く、
「別次元だった」らしい。
だよね。
魔法は、なしだったんだろうけど。
アレと私は一緒にされたのかと思うと困る。
男2人は反省会中だった。
「また、手合わせ願えますか?」
「ええでー。
しばらくはこの辺りに居るしなー。」
なんか約束してるし。
エリーちゃんが微妙な顔してる。
2人でいる時間が邪魔されるから?
「きっと毎朝ってわけじゃないと思うよ?」
と言ったらそういう問題じゃないと怒られた。
…なぜだ。
-----
朝、食堂でシャロンちゃんとエリーちゃんに話をする。
シャロンちゃんは巫女になりたいことは知っているが、
エリーちゃんは知らなかったはずなので、
これから巫女になるために活動しようと考えていることを
話しておくことにした。
でも、これは前置きにすぎない。
彼女の件で、
私が人魚だとマリーダはともかく、
マリオも知っている。
なのに友達の2人が知らない。
なんか私の中で腑に落ちないのだ。
言ってしまったら、2人は困るかもしれない。
離れてしまうかもしれない。
そんな葛藤もあってすぐ話せなかった。
休みのうちに覚悟を決めて、
休み明けには話すのだと決めていた。
「あー、でね、
2人とお風呂に一緒に入ろうと思ってねー。」
「急だな。」
「リリアちゃん、どうしたの?
無理しなくてもいいよ?」
「いきなりいっぱい人が居ると
恥ずかしいから、リンダ先生にお願いして
職員宿舎の借りさせてもらおうかと。」
2人ははてなが頭についていたが、
お風呂のが貸し切れるいうことで、
なんとなく頷いていた。
リンダ先生は
「女性職員は多くはないからな!
かち合うことは多分ないだろ。
空き時間に入る方がよりいいだろうな。」
と言っていたので、
3人とも空いている時間に待ち合わせをして
職員宿舎のお風呂へ行った。
「6年間通ってて職員宿舎に
入ったのは初だな。」
「ねー。なんでここ借りれたの?」
「んー、見てもらった方が
説明するより早いかな。」
脱衣所に入って、
私は靴下を脱ぐ。
「「鱗?」」
2人は声を揃えて言う。
そりゃ驚くよね。
「こういう事情でここ貸してもらったの。
私ね、人間じゃないんだよ…。」
緊張する。
2人は帰ってしまうかもしれない。
「獣人とかそういった類ってことか?」
「そうだね…私、人魚なんだ。」
「だからか。対魔物戦闘の授業で
なんとなく人とは違う何かは感じていたんだ。」
エリーちゃんはなんとなく
納得がいったという顔をしていた。
シャロンちゃんはパクパクして私を見ている。
「あの…無理なら私、帰るから…。
大丈夫。2人でお風呂入って帰ってね…。」
といって帰り仕度をしようとした。
そうしたら、シャロンちゃんが
ガシッと私の手を掴んだ。
「…大丈夫。
ちょっと混乱しただけ。
帰らないで。
一緒にお風呂入ろうよ。」
少し手は震えていた。
ごめんね…シャロンちゃん。
読んでくださってありがとうございます!