72.新年を迎えて
休みの間はケイさんのところに
ガーターベルトを習いに行ったり、
街からコールさん、ルルさんの夫妻が来て、
学校の話をしたり、色々忙しかった。
もちろんお仕事もお手伝いした。
覚えた浄化魔法をかけて魔物を湧きづらくしておく。
あとはカールさんの地獄の特訓を見学したり、
私も稽古をつけてもらったり。
新年のイベントは特になかったが、
みんなで過ごす年越しは楽しかった。
…オトンはやはり帰って来なかったけど。
オトン、いつ帰って来るんだろう?
休み期間にコールさん夫妻がシリルさんのところに
引っ越して来ることになった。
なんでも、子どもが生まれるんだとか。
おめでたい。
コールさんが、こちらの仕事に戻ることになったんだそう。
子どもが生まれてもお姑さんである
シリルさんもいるので、安心らしい。
嫁姑問題はないのかな…。
でも、シリルさんだもんね。
私ですら、娘扱いなのだ。
きっと、大丈夫なんだろう。
シリルさんも
孫が生まれてるのを楽しみにしているようだ。
あっという間にお休みが終わり、
戻る日が来た。
今回もシリルさん、ニールさんは
大陸までお見送りのようだ。
港で街合わせをしていたシャロンちゃんと合流。
シャロンちゃんは
「カール先生のお母様!わわわ。
挨拶しなきゃ!」
と言いながら慌てて挨拶していた。
シャロンちゃん、外堀から埋める気なの…?
船に乗りこみ、
今回は笑顔でお別れだ…
ん??
ニールさんもこっちに来る。
え、なんで?
はてながいっぱいの顔で、
ニールさんとカールさんの顔を見ていると、
「言ってなかったか?
コール兄さんが戻って来たので、
ニールは職探しをするんだと。」
「言うてなかったかもな!」
とニヤニヤしながら言うニールさん。
カールさんは本当に言い忘れてただけと思う。
もっとはてながいっぱいなシャロンちゃんに
ニールさんを紹介する。
「えーとね、こちらはニールさん。
カール先生の弟だよ。
似てないけど。」
「よろしゅう〜♪」
ニールさん、軽い…。
腹立ったから軽く殴っといた。
「リリア、俺の扱いひどない?」
いつも通りのやり取りをしてると、
カールさんが咳払いをして、
シャロンちゃんの方を見遣る。
あ、シャロンちゃんほっといてた。
「シャロンです。
魔法学校の6年で
カール先生の研究室に所属してます。
よろしくお願いします。」
キラキラした笑顔での
自己紹介が済むとシャロンちゃんが、
私をヘッドロックして連れ去る。
…痛いです、シャロンさん。
「なに?カール先生の弟さんと
お付き合いしてるの?
ずいぶんといい感じじゃない?」
ニヤニヤしながら聞くシャロンちゃん。
えーと、なにやら勘違いなさってる?
「あれは兄!
残念な兄なの!」
「どうだか〜?
カール先生と対応が随分違ってないー?」
詰め寄るシャロンちゃんと私のところに
「どないしたんー?」
と軽くやって来るニールさん。
一緒に弁解して!と思ったら、
シャロンちゃんがパッと手を離して、
「お二人でごゆっくり〜。
私、カール先生とお話して来まーす♪」
と言って、いってしまった。
誤解は解けなかったな…。
「そいうや、リリア、
自分、船酔いするん違うか?」
「あ、そうだった!」
私は慌てて身体強化(乗り物酔いと戦うんだZ)を
歌っておく。
「あ、いつものと違うんや。
その曲聞いたことないから
歌ってほしいわ。」
ニールさんの言葉に気をよくして
私は魔力オフでサビ部分を振り付きで歌う。
歌い終わると拍手が。
ニールさん以外にもう1人。
誰?
と思ったら、キアバの街でよくみる人だった。
名前は知らないけど、
巫女さんを観に行くと、必ずいる人だ!
読んでくださってありがとうございます!
ニールさん復帰です。
彼がどこまで出て来るかは気分で決めます。