71.帰省
ブレイ大陸に着き、
シャロンちゃんは馬車に乗り継ぎ、
私達はまた船を乗り継ぎということにして、
別れる。
「戻る時も同じ船で学校戻ろうね!!」
とシャロンちゃんが意気込んでいるので、
約束をして別れた。
進展したのかな…。
残念ながら、
してるようには見えなかったけど。
シリルさんちに戻る前に、
ケイさん達に会っておく。
ガーターベルトの件だ。
事前にやり取りしていたので、
今日は試作をしたものを
見せてもらうことになっている。
「やー♪可愛いー♪」
「試作でも、よく出来たと思うわ。
長い靴下を履くなら欠かせないものになりそうね。
ただ、長い靴下を魔法なしで編むのは大変だし、
こちらもあまり安価にはならないと思うわ。
貴族向けね。」
そっかー。
私には手が出せないシロモノになってしまった。
買うのはムリか。
がっくりした顔を見て、
ライザさんが付け足す。
「発案者なんだから、
ケイに習えばいいじゃない。
自分で作れば。」
「え、いいんですか?」
「うん。」
ケイさんが頷く。
今日はツッコミ役?のラウルさんはカールさんと
店外にいるので、ツッコミはない。
売れるかどうかはわからないが、
利益の1%程度が入るらしい。
売れるといいな…。
契約料の方は辞退した。
代わりに作り方を教えてもらう。
商売だし、十分甘えさせてもらっているので。
最初はお小遣い稼ぎのつもりだったけど、
ガーターベルトが手に入ることに満足してしまった。
よって、お小遣い問題はガーターベルトが売れない限り、
未解決のままなのだが…。
カールさんが待っているので、
習うのは休みの間に来ることにした。
シリルさん達も家で待っている。
人目のない岩場に行って、泳いで帰る。
半年ぶりのシリルさんち。
「ただいま」
「おかえり」
シリルさんが笑顔で迎えてくれる。
その横で気にせず、偽証石を使って
全裸のカールさんと
手慣れた感じで布を巻くニールさん。
コンビ芸のようで可笑しい。
「にーちゃん、リリアもおるんやから、
ちゃんと服着ような?」
「細かいことは気にしない。」
わかってたから、
海から上がる前からカールさんの方は
あんまり見てないけど。
そして、シリルさんに即捕まるカールさん。
すぐにでも地獄の特訓が
始まるに違いない。
でも、その前にちゃんと服着てね?
そんな様子を見て笑っていると、
後ろから声。
「おかえり、リリア。」
私を見て、優しく笑うニールさんがいた。
出発の日のことを思い出して、
ドキリとしてしまう。
きっと、気のせいだ。
残念な兄だもん。
こないだのもきっと何かの間違いだ。
「ただいま、お兄ちゃん」
…ほら、やっぱりデレた。
やっぱりあの時のは気のせいだったんだ。
読んでくださってありがとうございます!
一時、ラウルさんの裏設定話を書こうか迷ったんですが、
やめました。おっさん、意外とお気に入りなんです。でも空気。