70.それぞれの休み
「以上で前期の授業を終了とする。
休みに入るが、
皆気を緩めすぎぬように!」
前期の最後はルーロウ先生の一般倫理の授業だった。
学校内での魔物発生があったせいか、
後半の方は一般倫理の授業もなんとなく
厳しかったような気もするが、
厳しくしたところで、
どうにかなるんだろうか…?
疑問はさておき。
しばらく学校はお休みだ。
ほとんど皆、家に帰る。
エリーちゃん、エリオット両名は
大陸には戻るが、
自宅に戻らず、保養地で過ごすそうだ。
さすが貴族。
そう言ったら、
「自宅にまで戻っていたら、
行って戻るだけで休みが終わってしまう」
と言っていた。
同じ大陸出身の
エヴァルドルフ君は家に帰らないらしい。
遠い上に、そう休みの度に帰れない。
と言った後、
「休みの間にリンダ先生に
指導をお願いしているしな。」
だって。
あれ以来、気合の入っているエヴァルドルフ君。
頑張って強くなってエリーちゃんと早く
くっついて欲しいものだ。
いい加減まどろっこしいから。
私はシリルさんちに帰ることにした。
カールさんも一緒だ。
今回の休みは帰るらしい。
校長に帰ってのんびりするようにと言われたが、
のんびりできるのかは疑問だけど…
とのこと。
それは主に地獄の特訓が待っている
とかそういうことだろうか…。
ブレイ大陸まではシャロンちゃんも
一緒に帰ることになった。
事故の責任を負っての休職ということで
お休みだったカールさんに
ここぞとばかりに絡んでいる。
代替の先生ではわからないところが
あったとか言いながら、
あれこれ質問をしていた。
カールさんはなんの疑問も持たずに
答えている。
実際、休職していた間、
シャロンちゃんはかなりぶーたれていたのだ。
「カール先生は悪くないのになんでー?」
などなど。
怪我をしたなどと言ったら
見舞いに行くというだろうし、
ましてや足を生やしている最中だなんて
口が裂けても言えなかった。
「本人が校長先生にお願いしたみたいだよ。
休み明けには復帰するみたいだし。」
と言っても構わない情報と適当な理由をつけて置いた。
シャロンちゃんは
「カール先生はやっぱ優しいなー。」
と言って無理やり納得したようだ。
…嘘ついてゴメン。
代わりに今たっぷり絡んで、
カール先生を独り占めしてください。
私は空気に徹するから。
道中はほぼ空気、
もしくはこっそりいなくなってみたりして、
シャロンちゃんの応援に徹する。
船酔いしないように身体強化をかけながら。
暇だから靴下でも作ろうかな…。
酔うかな…?
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