挿話〜エヴァルドルフの決意〜
本編には関係ありません。
エリーちゃんの話をかいたら、
なんとなくセットかなと。
俺はとにかく強くなりたかった。
たまたま見かけた同郷の女の子に
剣術を教わろうとするほど、
とにかく早く強くなりたかった。
なぜ強くなりたかったのか。
憧れの魔物ハンターになる為だったと思うが、
今思うと何をそんなに焦ったのか、
今となるとよくわからない。
焦っていたおかげで、
彼女と出会えたのだ。
よかったのかもしれない。
そんな俺に彼女は教えてくれた。
強さとは日々の積み重ねだと。
「己の強さに奢るなかれ。
常に磨くことを忘れるな。
そして、助けを求めるものの力となれ。」
そう彼女は言っている。
俺1人で鍛錬していたら、
今ほど強くなっていないし、
きっと俺は調子に乗っていたと思う。
彼女は強い。
常に己の強さに磨きをかける。
俺は彼女に「強い」と認められていたら、
磨き続けるなど無理だったかもしれない。
彼女に認められたい。
今はその一心に鍛錬をしていた。
最初は夢の為だったが、
いつの頃からか、
彼女が目標となっていた。
先日、リリアさんのイタズラで彼女を抱きしめた。
鍛錬の時の接触と全く違う。
温かく、柔らかった、エリー。
その温もりが忘れられない。
…卒業したらきっと二度と、
触れることも…
会うことすら難しいかもしれない。
俺は気がついてしまった。
先送りにしていただけなのだ。
卒業すれば今のようには会うことも、
一緒に鍛錬することもできない。
…それは嫌だ。
俺は彼女といたい。
とても自分勝手な理由だと思う。
俺はエリーが好きだ。
彼女のそばにいる為、強くありたい。
彼女を守る。
そんな烏滸がましいことは言わない。
せめて彼女が安心して背中を任せられる存在。
俺はそれになりたいんだ。
卒業まで時間がない。
好きな女の為に強くなる。
ただ、それだけだ。
「情けないと笑いたければ
笑うがいい!
俺は、俺が思うことをするだけだ!」
誰もいない中庭で、1人叫び、
俺は剣を振る。
空には小雪が舞い散り始めた。
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