67.暴走
「なんですの?
なぜ、リーブラがここにあるのです?
私が一番最初に運搬に成功するはずだったリーブラが!!」
え、どういうこと??
「しかも、なぜあなたが!
劣っているあなたが!!
なぜ!なぜ!なぜ!」
彼女は私に掴みかかる。
みんなが止めに入るが、
彼女は止まらない。
いつの間にか魔法を使ったらしく、
力が強い。
気がつけば、首を絞められていた。
なんか嫌な気配もする…
浄化を詠唱しなくちゃ…
あぁ…ダメだ…苦しい…。
だ……め…。
私は意識を失ってしまった。
目が覚めた。
部屋ではないベッドに寝かされてれていた。
「…気がついたか。」
リンダ先生だ。
「カールさんは?!
みんなは?!
ミアッキ…さんは?!」
ガバっと起きて、
リンダ先生に掴みかかるように聞く。
「一応、皆、命には別状ない。」
「よかった…。」
みんな無事。
それは安心した。
「何があったんですか…?」
「…魔物が発生した。
私もその場いたわけではないからアレだが。」
カールさんがいうには、
私が気を失った後、
ミアッキも気を失った。
その後、魔物が発生したとのこと。
気を失った生徒2名、
あまり戦闘魔法が得意でない2名を守りながらのため、
さすがのカールさんも苦戦したらしい。
異変に気がつき、駆けつけたリンダ先生が加わり、
すぐカタがついたようだ。
「被害を受けたのだから、
多少事情を話しておく。」
そう言ってリンダ先生は今回の話をしてくれた。
彼女は魔力量も多く、
無詠唱で魔法が使えるかなりの実力の持ち主だったらしい。
才能があったため、周りが彼女を特別扱いした。
それゆえ、少々?助長した性格になってしまっていたらしい。
多少の問題はあったが、退学になる程のものではなく、
気をつけていく他なかったようだ。
先生たちは彼女が助長しないよう、
なるべく特別扱いしないようにしていたが、
あまりにうるさくて多少折れてしまい、
あの扱いになっていた。
そして、彼女が研究に設定していたのはリーブラの流通。
今迄流通はブレイ大陸止まりだったリーブラを
魔法学校や自分の故郷であるラフィティ大陸に持ち帰ることを
目標としていた。
自分が目標としていたことが
自分の預かり知らぬところでもう行われており、
今年入学したばかりの私が
それを持っていた。
既にイライラしている状態で
それを見て、感情が暴走。
嫉妬と魔力が結び付き、
魔物発生につながった。
「私達がちゃんとしていれば…
こんなことには…。
すまない…。」
リンダ先生は私に頭を下げた。
「いえ…私は大丈夫です。」
確かに彼女からの直接被害は受けたが、
先生のせいではないと思う。
「ところで、
彼女…ミアッキ…さんは?」
「まだ意識は戻らないが…
魔物に体を乗っ取られた訳ではないので、
命に別状はない。
ただ、魔力は…
以前と同じとはならないだろうな…」
プライドの高い彼女が
それを良しとするのだろうか…?
私にはわからない。
「今回の件は他言無用だ。
他の2名に既に伝えてある。
実験中のに事故が起きたということで処理される。
後…リリア、
お前自身のことも他言無用と言ってある。」
「え…?」
なんのことだか
全くわからなかったのだが、
自身の足を見て気がついた。
偽証石の効果が切れていた。
「お前もクラーケンだと思っていたよ。
人魚だったんだな。」
リンダ先生はカールさんのことは知っていたようだ。
「他の2人もお前ことを心配していたから、
顔を見せにいくといい。
今度、職員用の湯浴み場使いに来いよ。
私が許可を取っておくぞ。」
リンダ先生は少し気遣ってくれたようだ。
私は少し緊張感しながら
マリーダ、マリオの両名に会いにいくことにした。
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