65.文通
この世界に来た最初の時、
この事で悩むとは思いもしなかったよね。
どうやって帰るかとか、
アイドルになろうとか。
ホント浅はかでした。
お小遣い問題。リターンズ。
ついこないだ悩んだけどさー。
また悩んでますわー。
やはり、毎週の様に街に行くと
それなりにかかるのだ。
そして巫女さんの演目自体は
フリーの日が多い訳だが、
街に行けばそれなりに誘惑はある。
前の世界では、
可愛い服や美味しそうなお菓子だったけど、
最近は可愛い布、糸や変わった薬草になった。
お菓子の誘惑は強くなったけど、
今はどうやって作ってるのか、
何を使って甘くしてるのかが気になって
買ってしまったりはする。
お腹にはたまりづらいんだけどなー。
美味しいからいいけど。
いや、よくない!
無駄遣い!
というわけで、お小遣いを稼ごう!
アルバイトをしようと考えた。
誰に相談しよう?
と思ったのだが…
友達たちはみんなアルバイトはしていない様だった。
理由は簡単。
学校から出なければ、
ほとんどお金は使わないからだ。
カールさんに相談したら
シリルさんから増額したお小遣いが送られてくるだろうけど、
それはできればしたくない。
あまり心配はかけたくはないし。
あとは相談できる人というと、
魔法学校の先輩であるケイさんしかいなかった。
なので、ケイさんに手紙を書いた。
【作った小物とかを売ってみたら?
それか、いいアイデアがあったら
ライザが買ってくれるよ。】
というお返事が返ってきた。
そこで私は思いついた。
ガーターベルトだ。
結局、探しても見つからなかったのだ
あの靴下とセットで
ガーターベルトを売ればそれなりに売れるのでは?
と考えた。
その旨をケイさんに伝えると
【面白いアイデアだと思うよ。
一度、現品の靴下とデザイン画を送ってもらえるかな?
ライザが見て良かったら買いたいと言っているよ】
との事。
やった!
ガーターベルト、私1人じゃ作るの無理だったし、
ケイさんに言ってみて良かった。
相談した理由はこれが目的じゃなかったけど。
ガタガタ、と窓がなっていた。
ケイさんからまた手紙?
と思ったら、あの羽型の手紙だった。
リリアからの返事だ!
窓を開け、手紙を室内に入れる。
机に落ちて紙となった。
【面白いから勝手にすれば?】
どういうこと?
面白い?
勝手にすればって!
ホント人が真剣に考えてたのに!
腹が立つ!!!
こんな人の為に考えてたのかと思うと
なんかバカらしくなってきた。
もうマーマンのことはどうでもいいや。
私は私のために元の世界に戻る方法を考えよう。
こんな人、もう知らないわ!
その晩、私は夢を見た。
私はハルカの姿だった。
向こうにいるのはリリアだった。
何か喋っているが、声は聞こえない。
なんだったんだろう?
でももういいや。
リリアなんてもう知らない。