58.校長
カール先生に呼び出された。
こないだの校長先生の件かなー。
嫌だなー。
担任からの呼び出し。
「お、きたな。」
ん?対魔戦のリンダ先生が一緒だった。
「リンダ先生がリリアさんの話を聞きたいんだって。
別に私を介さなくてもいいと
思うんですが。」
「一応担当教員を通すのがスジだろ。
それに身内みたいなもんなんだろ?」
「まあ、確かにそうですけど。」
そうですけど、はどっちに同意してるの?
担当教員の方?身内の方?
それとも両方?
身内の方だったとしたら意外だ…。
「お前の身内はバケモノじみてるのしかいないのか?
知ってたら見学でもさせてたのに…」
バケモノってひどいわー。
ん、身内は、って?
私はカールさんをみる。
「リンダ先生は母さんとニールに会ったことあるんだよ。」
あー、なるほど…って。
「比較対象おかしくないですか?!
シリルさんと一緒にしないでくださいよ。
あれは別次元です!」
「なーにが別次元だ!
あんな魔法打ちやがって!
魔物人形木っ端微塵とか見たことないわ!」
あ、その節はすみません…。
カールさん笑ってるし!!
ひどっ!
「笑ってるお前も大概だからな!
剣も使わず、素手のみで魔物倒すとか!」
「魔法は使ってますよ。
素手だけなら兄弟の中では一番弱いですよ?
私はただ剣を使ってないってだけです。」
「それがおかしいって言ってるんだよ!」
やっぱりシリルさんちの強さは異常。
クラーケンとしては普通なのかもしれないけど。
なお、シリルさんはクラーケンとしても
異常な強さだということはわかってるが。
「まあまあ、今日はその話をしに来た訳ではないのでしょう?」
「そうだったな…。
次の私の授業までにどんな攻撃と魔法ができるのか
私が確認したかったんだ。」
「火や水は生活魔法くらいならできるんですけど…
実は、攻撃魔法は苦手で。
天候とか、攻撃補助とか、そういった方が得意かなとは思います。
剣はできないので、戦い方としては
見たことないですか、
カールさ…先生と似た戦い方になるかと…。」
リンダ先生が眉間に手をやって考えこんでいる。
やっぱりダメ?
「弟君もそうだったけど、
キレイ顔してやることがエグいわ…。」
どこがエグいのかお聞かせ願いたい。
「そもそもなんですけど、
カールさ…先生は
どうして対魔物戦闘魔法学を
取れって言ったんですか?」
「うーん…リリアちゃ…さんは世界を巡る予定なんだろ?
最低限、魔物から逃げる術さえ
身につけてくれればなとは思ってたんだ。
何かあったら悲しいじゃないか。」
最後はちょっと小声だった。
「まさか6年の研究クラスに混じるとは
思わなかったんだ。
まぁ、魔物人形木っ端微塵に出来るんじゃ、
弱い魔物くらいなら心配ないと思うけどね。」
カールさんがカラカラ笑う。
やめて!思い出したくないんだから。
「私も予想外だったんだがね、
まさかそんなことをするとは思わなかったんでな。」
違うところから声が。
後ろを振りかえるとルーロウ先生が立っていた。
校長きた!!!
読んでくださってありがとうございます!
リリアはカール「さん」と「先生」混ぜて呼んでます。
兄としての感情が高い時は「さん」になってます。