53.レーザービーム
今日は対魔物戦闘魔法の日。
フルで言うのが面倒なので、
対魔戦とでも呼ぼうかな。
…通じないか。
心の中だけにしよう。
6年生の授業に混ざる訳だが、
この授業が中々すさまじい。
研究という名の、ほぼ実践。
さすがに魔物はいないけど、
みんなの目は真剣だ。
魔物生態の基礎を並行して取っている私は
なんだわからないことが多い。
分かっていることは、
新たな魔物を発生させる訳にはいかないので、
魔法を乱発しない、魔力を使いすぎない、
という制約の中、いかに効率よく仕留めるか。
これが最大の目的だ。
この授業自体が乱発なのでは?と思ったのだが、
その点は安心らしい。
ホーリーテイルは魔力量の薄い土地であり、
なおかつ、先生が魔物が湧く前に浄化をかけているらしい。
浄化は難しいらしいけど、そこは魔法学校だから。
もしかしたらルーロウ先生あたりが使えるのかもしれない。
…ありうる。
先生はリンダ先生という女性の先生だ。
赤毛で、帯刀している。
魔法剣士なのかな?
そして、この授業を受けている人は
今後、魔物の駆除などを行う仕事をするのを希望しているよう。
エリーちゃんやエヴァルドルフくんもそうらしい。
エリーちゃんは騎士だしね。
でも、なんでこれ取れって言ったのかな、
カールさん。
確かに世界は回ると言いました。
でも戦うとは一言も。
危ない場所には行くかもしれませんけれど。
でも私が戦う必要ある?
教えて、カールさん?
先生が魔法で造形した魔物人形に弱点となる核を入れる。
核に効率よくトドメを刺すといったわかりやすい方式だ。
私は他の生徒たちが一通りやった最後でいいとのこと。
みんなの攻略法を参考にしていいってことね。
みんなの戦い方を見ていると、
だいたい、火の魔法で怯ませる、
氷で足元を凍らせるなど妨害を行う。
剣に魔力を乗せ、トドメと言った流れだ。
エリーちゃんやエヴァルドルフくんも
流れ的にはだいたい一緒だったが、
動きが違っていた。
段違いに早くて正確にトドメを刺している。
体重移動の仕方が上手いんだろうか…。
真似しようにも問題があった。
私は剣に不慣れだ。
そして、氷魔法は使えるが、
火の魔法は焚き火程度しか出来ない。
詠唱がキャンプファイヤーの歌だから。
強力にしたら火力調節できるかわからない。
結局、みんなのは参考にしづらいので、
自分で考える他なかった。
考えてるうちに順番になってしまった。
リンダ先生が
「剣を」
と言ってきたので、
「いいえ。
普段から使っていないので大丈夫です…。」
と答えておく。
どの方法でも、私は剣という選択肢はなさそうだし。
攻撃魔法ってあんまりないんだけど、
唯一浮かんだ歌を歌う。
なるべく魔力を乗せないように気をつけて。
威力がわからないし。
使った事なんてないから。
集中して歌った歌は
テクノアイドルの歌。
そのままレーザービーム
という単語が出てくる歌だ。
弱点にめがけて打てばいい気がする。
……………。
結論からいうと、やりすぎた。
魔物人形が木っ端微塵だ。
先生ですら引いてるし。
もう、この魔法は封印しよう。
そう心に誓った。
エリーちゃんも、
「あれは、反則だな。」
といっていた。
うん、私もそう思う。
…アイドルから遠のいてる気しかしない。
読んでくださってありがとうございます!
もちろん目からビーム。