4.腹が減ってはなんとやら。
目標はできた。
有名になって、帰る方法を探す。
「よし!そうと決まったら…」
…なにしたらいいんだろう。
有名になるって言っても、ここらへんには魚しかいない。
さっきのフラッシュさんも人間の伝承がなんとかって言ってたし、
人に出会って情報を得るのが一番かも。
生活圏も移動範囲も広そうだし。そうに違いない。
決して人が恋しくなったわけじゃない。
そんなこと、ないんだからっ!
誰得なツンデレだよっ!
あー、ぼっちだと1人ツッコミも上手くなるわー。
1人漫才をしているとふと気がついた。
「そういえば、なんも食べてない。
お腹…減ってるな…。」
人魚ってなに食べてるんだろう。
まさか、人とか食べないよね?
いやー、無理無理!
想像すらしたくない。
「とりあえず〜♪」
鼻歌まじりに周囲を見回す。
魚が泳いでいるけど…意思疎通が取れるものを食べるのは気がひける。
「魚はトモダチ、食べ物じゃない」なんてセリフが聞こえてきそう。
それに、刺身は食べられるけど、生魚丸かじりなんて
現代日本のもやしっ子にはなかなかハードルが高い。
そもそも海の中で調理なんて無理だろう。
「そうなったら、やっぱこれだね!」
ロ◯テの◯ッポと続きそうなセリフを吐きながら摘んだのは
「海藻!」
見た目も昆布みたいだし、美味しく食べられそう。
小さく裂いて食べてみる。
「あ、美味しい…。」
一枚も食べきる前にお腹がいっぱいになった。
お腹もいっぱいになったし、
当面の食料はこの海藻でいいとして…
あとは寝るところの確保かー。
暗くなってきたっぽいし。
広場っぽいところで寝てもいいけど、
潮に流されたらどこに行くかわからないし、
寝てる間に半魚人のおっちゃんにもらった石がどっか行っても困る。
急いで寝るところを探すか、寝ないの二択だろう。
ウロウロしているうちにどんどん暗くなって行く。
怖くなって、少しの灯りを目指して水面に上がる。
「あ、月だ。綺麗だなー。」
暗いなかにぽっかりと浮かぶ月と星がやたら綺麗だ。
月灯りを頼りにキョロキョロ見回すと
せり上がった岩場を見つけた。
小さい頃みた映画の人魚はこんなとこにいたなと思いながら
岩場に腰をかける。
ここなら流され無いし。
星を眺めながら、岩場に寝そべり歌を歌う。
小さい頃に聞いたまっ暗い森を題材にしたトラウマものの歌をなんとなく歌いながら、
その日は眠りについた。
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