45.返信
しばらくして、物音で目が醒める。
まだ明るい。夕食には早いはずだ。
窓に羽がぶつかってガンガン音を立てていた。
手紙?
しかも、あの羽、どっかで見たな…。
窓を開けると机に降りて、紙に戻った。
【誰?】
それしか書いてなかった。
…誰って、あんたこそ誰だ!
どっかでみた羽…羽…?
思い出した!
私が私と交換で飛ばされたであろう、
魂に宛てた手紙と一緒だ。
じゃあ、この手紙はリリアから…?
誰だけじゃあ、誰からかわかんない!!
あ、でも私も差出人書いてなかったかも…。
同じ状況だったら分かってくれるもんだと。
思い込み、イケナイ。
今度は自分の状況をちゃんと書くことにした。
【私の名前はハルカと言います。
リリアさんの身体を借りている異世界人です。
きっとあなたも同じように私の身体に入って
生活しているのかと思ったのですが、どうですか?
私は元の世界に帰る方法を探しています。
ついでにリリアさんが戻ってきても大丈夫なように、
お母さんとの和解方法も考えているところでした。
でも、リリアさんのが苦しい思いをしたのを知ったので、
里には帰らず、別の道を探す方が良いのかなと勝手ながら
思っていたところです。
リリアさんはどうしたらいいと思いますか?】
出来るだけ詳しく書いたし、これで大丈夫だろう。
返事が帰ってきたんだから、きっと大丈夫。
戻る方法も見つかる。
でも心に引っかかる何かがある。
なんだろうこのモヤモヤ感は…。
前にもこんな時あったっけ。
とりあえず、手紙を送るために
浜辺と同じように魔力を許容量ギリギリ、
巨大雪だるまを作ったくらいまで乗せて歌う。
羽が空へと消えて行く。
手紙送ったらお腹減った…。
御飯食べに行こう。
外の料理は初めてだ。
船の時はほとんど食べなかった。
というより、食べられなかったし。
まぁ、食べてても乾燥リーブラだっただろう。
種族変わっちゃったせいか、
本当食べ物に執着心がない。
あれが食べたい、これが食べたいというのが薄い。
乾燥リーブラだとさすがに味気ないから
ちゃんと食事してたし、
シリルさんとニールさんで食べる御飯が楽しかったから
食卓を囲むということは好きだったなぁ。
…これは…ホームシック?
あの家はホームじゃないけど、
実家みたいなもんだ。
食堂に行ってみると、普通の学校の学食だった。
「リリアちゃん、こっちこっち!」
シャロンちゃんが手を振っている。
エリーちゃんも一緒だった。
促されるまま、空いている席に座る。
メニューは日替わり。
今日の夕飯はシチューらしい。
お肉、久しぶり。
執着心はなくなっても、美味しい物を食べるというのは
やはり楽しい。
「美味しい。」
「寮の料理美味しいんだよ。
食べすぎて太っちゃうのが悩みなんだけど。」
シャロンちゃんは細くはない。
でも、太ってはいない。
適度に肉がついている感じだ。
出るとこは出てる。
痩せなくてもいいと思うんだけど。
「食べた分動けばいい。」
バッサリいうエリーちゃん。
確かにそうだけど。
「えーだってぇ…面倒なんだもん。
痩せる魔法ないかなぁ。」
「研究してみたらどう?」
「え、そうしようかな…」
やる気になるシャロンちゃん。
どこの世界でもダイエットは共通話題。
こうやって、友達と喋りながらの夕飯も楽しいな。
しかし、シチュー1杯じゃお腹が収まらず、
3杯もお代わりし、
「リリアちゃんって…すごく食べるんだね…」
と若干引かれてしまった。
でも、私は聞き逃さなかったよ?
シャロンちゃんが
「私も2杯ちょっと食べる時あるけど…」
と小声で言ってたのを!
読んでくださってありがとうございます!
授業まだ始まってない…。っていうか、まだ初日…。