43.黒髪少女
「リリアちゃ…さん、寮のことは
シャロンさんに聞いておいて。
シャロンさん、よろしく。
私はこれで。」
学校についたら、さっさと行ってしまうカールさん。
丸投げしたね、これは。
シャロンちゃんはカール先生に頼まれた!
とご機嫌な顔をしている。
両者が幸せならいいか…
「じゃあまず、寮母さんのところに連れて行くねー。
ところでさー、リリアちゃん、
普段カール先生に『リリアちゃん』って呼ばれてるの?
羨ましいなー。はっ!もしかしてリリアちゃんも
カール先生のこと好き?!」
…そういえば、カールさん船ではリリアちゃんって言ってたな。
手紙でシリルさんがそう書いてるんだろうなぁ。
だから自然と「リリアちゃん」になったっぽい。
でも学校では生徒だから「さん」で呼ぶと。
しっかりON、OFFしてるんだ。
あ、シャロンちゃんほっといてた。
「好きじゃないよ〜。
年の離れたお兄さんみたいな感じかなー。
私の好みのタイプとはちょっと違うし…」
「よかった〜!
リリアちゃんがライバルじゃ、勝ち目ないもん!
でも先生人気あるからライバル多いんだよぉ?」
話ながら寮に向かう。
魔法学校は教会の様な建物だった。
学校と寮のは歩いて10分くらい距離があるようだ。
なんで微妙に遠くした?
運動させるためか?
中庭らしきところを通過していると、
何やら騒ぎ声がする。
見ると数人の男子生徒がひとりの女子生徒と
言い争っていた。
「年上だからって偉そうにしやがって!
別に関係ないだろ!」
「いや、それは禁止行為だ。
そして、年は関係ない。」
「見られなきゃ別にいいだろ!
おい、やっちまおうぜ!」
あ、やばい。
しかも、走ってっても間に合わない距離。
私は歌を歌う。
テクノアイドルの以前ダンスをハミングで練習した
あの歌で目眩しすることにした。
ただ魔法練習と武道訓練毎日やってたわけではない。
一節くらいで発動できるように短縮もできるように
工夫してたんだから。
「わ、なんだ!?」
男子生徒達が戸惑っている間に
某幼児番組の体操の歌を歌って、
ぐるぐると巻いてからどかんと落としておいた。
これでしばらく動けない。
シャロンちゃんに先生を呼んできてもらって、
絡まれていた女の子から事情を聞く。
「こいつらが薬草園から薬草を無断で取ろうとしていたので、
注意しました。そうしたら絡まれましたので。」
「そうか…こいつらは入学して日が浅いからな。
こってりとワシが絞ってやろう…。」
ご老人の先生だったが、最後、めちゃくちゃ怖かった… 。
あの先生は怒らせちゃいけない人。
覚えとこう… 。
先生は男子生徒達を引きずって去っていった。
「私はエリーという。6年生だ。
先ほどはありがとう。助かった。
1人でもなんとかなっただろうが、
互いに無傷とはいかなかっただろうから。」
この黒髪の少女、
あっさり物騒なことを言った。
でも、この子強いんだな。
「エリーちゃんはねー、
クラリティ大陸の貴族さんなんだよ!
王族の騎士のお家だから強いの。
エリーちゃん、
この子はリリアちゃん。ブレイ大陸から来たんだ。
今日から同じ6年生だよー。」
「リリアです。よろしくお願いします。」
貴族と聞くとどうも緊張してしまう。
「堅くなる必要はない。
今日から同学年だ。
よろしく、リリア。」
「うん、よろしくね。」
エリーが手を差し出したので握手をした。
それにしても、私、
面倒なことは見ないふりするタイプだったはずなんだけどなー。
こないだのひったくりの件もそうだ。
わざわざ首を突っ込む必要なかったのに
身体が動いたんだよねー。
この世界に来てから優しい人に
助けてもらってたからかな…?
ま、いっか。
おかげで友達増えたし!
読んでくださってありがとうございます!
学校なので登場人物がどんどん増えてきます。
名前間違えそうです。
無いように努力はしますが、間違ってたら活動報告の方にお願いします。