挿話〜ケイの師匠〜
本編には直接関係はありません。
男の娘、ケイさんの話です。
ある日、私は公私ともにパートナーである
ライザとともに装飾に使うコラキュの買い付けに
小島に来ていた。
コラキュは発色に個体差があり、
イメージ通りの物を得るには
直接見て買い付けを行った方が良い。
それに何よりピンク色がかわいい。
直接見てみたいが、
人目の多い場所でメガネをかけたくない。
大陸よりも人目が少ない産地に足を運ぶことになった。
小島につくと
威勢のいい女性と陽気な男性が迎えてくれた。
いくつかコラキュを見せてもらうと
良いものがあった。
ライザに
「コレ」
とだけ伝えて購入してもらう。
すると、
「ちょっとイタズラするのに
俺の衣装を作って欲しいんや。」
とライザに男性が聞く。
「ちょうどケイが作れるわ。
今は作れるものならすぐ。
できなものならひと月時間を頂戴。」
「時間かかるんなら、いらんなぁ。」
「どんなものが欲しいの?」
商機を逃すまいとライザが聞く。
「人魚の女装。」
「…どんなイタズラをするのかは聞かないわ。
ケイ、できそう?」
「材料、
足りれば。」
「ちょっと待って。」
ライザは材料を取りに戻る。
「コレでいいかしら?」
「十分。」
小人さんに手伝ってもらって服を仕上げていく。
「サイズ、
確認して。」
「お、おう。」
着用するとちょっと大きめな女性にも見えなくはない。
この人が似合うなら…
私がかわいい服を着ても似合うのではないかとふと思った。
男性の服は可愛くない。
着ていて楽しくないといつも思っていたのだ。
「お代はコラキュ代から引いておくわ。」
「ん。」
2人がやり取りしている横で
私は小人さんと服を作る。
そして着用してみる。
「ライザ、
ダメ?」
ライザに伺いをたてる。
「…似合ってるわ。着ていたいの?」
私は頷く。
「…宣伝になりそうだからいいわ。」
「師匠…」
私は男性に尊敬の眼差しを送る。
「師匠やない!ニールや。」
それからというもの、
私はここに来るたび、彼にかわいい服を提案し、
断り続けられることになったのだった。
ブックマークしてくださった方々、ありがとうございます!
以上、ケイさんがニールに付きまとう理由でした。
40でもそうでしたが、ラウルさんが空気です。