39.問題の先送り
シリルさんも私が定時巡回にでることを
許してくれるようになった。
外の世界を知る為と自活の訓練だと思ってる。
ニールさんにはこの辺を見て回るようにと
範囲指定をされた。
マーマンには会いづらいように
この辺と指定したのかもしれない。
会った場合は落ち着いて深呼吸して、
近くに寄らないで、見つめたりしないで遠ざかる。
イメトレは完璧だ。
「ホント、暇だなぁ…。
まあいいや。お散歩、お散歩。」
独り言を呟きながら泳ぐ。
もう少しでこの景色にもしばらくさようならだ。
…しばらく?
まあ、多分しばらくかな?
在学中はここにも帰ってくるはずだし。
巫女になったら、ここに来る暇もないかもしれないけど。
もしかしたら、魔法学校で帰る方法見つかって、
そのまま元の世界に帰るかもしれない。
…なんだろなぁ、この気持ち。
「はぁ…よくわかんないや。
帰る目処も立ってないし、
考えてもしょうがないか…。」
独り言をまた呟いて私は考えるのをやめた。
というより考えるのが面倒くさくなったの方が正しい。
のんびり泳いでいると、
フラッシュさんがいた。
「おーい、フラッシュさーん」
なんか某テーマパークの
アトラクションみたいだなぁ
と心の中で笑いつつ、
フラッシュさんを呼ぶ。
呼んだのはどうしても
聞きたいことがあったから。
「どうしたんだい?」
「突然だけど…
クラーケンとマーマンって仲悪いの?」
フラッシュさんは話すだけ話してどっかに行ってしまうので、
聞きたいことは単刀直入に。だ。
学校に行く前にコレだけは知っておきたかったのだ。
クラーケンの人たちに聞くにも勇気がない。
そしてマーマンに聞くのは論外だ。
こういうことは第三者に聞くのが一番だと思ったのだが、
今まで聞く機会に恵まれなかった。
「本当、突然だねぇ。
クラーケンとというより、
マーマンは他の種族と馴れ合わないという
言い方になるかねぇ。
選民思想っていうのかねぇ。
自分たちは優れているっていう考えの奴よ」
サ○ヤ人の王子さまみたいな奴って訳ね。
「中にはそうでもない人もいるみたいだけど、
小さな頃からそう教えられたら
大体そうなっちまうんだろうねぇ。」
そんな人たちの鼻っぱしらを
折ろうと私は考えてたのか…
無知って怖い。
「お前さん、ニールの嫁になったんだろ?
もう帰る必要ないんじゃないのかい?」
「あはははははは」
…ここはスルーに限る。
マーマンはかなりの難敵だということを
再確認してしまったけど、
とにかく目の前のことから。
先のことを考えてもしょうがない。
「フラッシュさん、ありがとうね。」
この言葉にあの優しい人たちに
出会わせてくれたことの感謝をこめた。
ブックマークしてくださった方々、ありがとうございます。
もうすぐ旅立つので、なんとなく話が湿っぽくなってます。
ジメジメ。