35.大陸へ行こう
今日はブレイ大陸まで遊びに行く。
距離はクラーケンの街と同じくらい。
ちなみに普通の人間の船で行くと半日ほど、
魔法使いが乗って補助するともう少し早いらしい。
こないだクラーケンの街に行った時は半日もかからなかった。
船にはルートというものが存在するらしいので
しょうがないのかもしれないが、
如何にクラーケンが早いのかがわかる。
先日のクラーケンの街で大変な思いをしたからか、
今回はニールさんも一緒だ。
変なのを追っ払うため
だそうだ。
定時巡回休んでいいのかなと思ったら、
「誰かさんは時々サボってるみたいやし?」
だそう。
ニールさんがジト目でこっちを見てくるが、
私はブンブンと首を横に振っておいた。
シャベッテナイヨ?
当日になってみると、シリルさんはしっかり
お兄さんのコールさんを街から呼んでいて、
お留守番要員として置くらしい。
出かける前に挨拶しておく。
「リリアです。しばらくお世話になっています。
今日はわざわざありがとうございます。
私のワガママでお仕事お願いすることになっちゃって。」
ぺこりと頭を下げる。
「礼儀正しいお嬢さんやなぁ。
コールです。よろしゅう。」
「自慢の妹やからな!」
とニールさんが後ろから言うと、
「じゃあ俺の妹でもあんな。
ニールと大違いで出来た妹や。」
とコールさんは笑っていた。
コールさんは金髪、茶色い目をしている。
がっしりしていて、ガテン系タイプだ。
この3兄弟全然似てないなぁ。
大きな手でワシワシっと私の頭を撫でて
「気にせんで、楽しんでおいで。」
と言ってくれる。
本当、この家の人たちはよくしてくれている。
ありがたい。
「じゃあ、留守番頼むでー!」
「おう!」
私達はブレイ大陸に出発した。
人目がない岩場に上がり、
服を着て偽証石を使う。
服が濡れてない。
なんで?視線をむけると
「折角ケイの作った服だから濡れないようにしておいたん。」
とシリルさんが言う。
なんでも、普段はバックにそのまま詰め込んで
乾燥をかけるらしいが、折角なので
バックに防水をかけて持ってきたというわけだ。
なにその便利魔法。
私も使いたい。
「今は時間ないから今度。」
確かに大陸に来ているし、やりたいこともたくさんある。
今はそれどころじゃない。
シリルさんに促されて、
私達はライザさん達との街合わせ場所に移動する。
街並はRPGの港街と行った風情だ。
実際に見たわけじゃないので、
現実で目の当たりにするとなかなか感動する。
なんでもこの大陸の魔法学校に行く船は
ここから発着するくらい大きい港街なんだとか。
魔法学校へは10日程度、
お隣のミナ大陸へも船で一週間ほどかかるそうだ。
小声でじゃあクラーケンは?とニールさんに聞くと
魔法学校へはカールさんが魔法の補助を使って2日程度だそう。
ミナ大陸は用事もないので行ったことはないとのこと。
そうだよね。
祭が開催されるということで、
市もあり、街の中心部は大にぎわいだ。
混雑を避けた港付近でライザさん達と合流した。
今日のケイさんはやや中性的なデザインの服を着ているが、
所どころ装飾がかわいい。
ライザさんも普段より少しおしゃれだ。
ラウルさんは…いつも通り。
「いらっしゃい、リリアちゃん。
シリルさん、ニールも。
今日は見るところがいっぱいあって困るくらいね。
どこからいきましょうか…?」
「布、見たい。」
「ケイはそうよね…。」
「あ、私も見たいです!
あ…でも。」
私も新しい服を作りたいと思っていた。
一緒に回りたいがお金がない。
「お祝い。」
ケイさんがいう。
「魔法学校に行くんでしょう?
お祝いにケイが買ってあげるって。」
「本当姉さんは自分の男に甘いのな!」
…なんかラウルさんがテンプレキャラみたいだ。
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