33.兄、来る
あれから定期巡回はニールさんと
一緒に数日に一回ペースで行くようにした。
もう少し覚えたら1人で行きたいと言ってある。
問題はシリルさんの許可が下りるかどうか。
戦闘力に不安があるのもあるかもしれない。
魔法の練習と武道の訓練は毎日欠かせない日課となった。
最初はダンスの練習のつもりだったんだけどな…。
まぁ困ることじゃないし、いいか。
ある日の武道の訓練中。
突然波が高くなる。
ジャバーと水柱が上がると、海岸に人が立っている。
全裸で。
…変態だ!
と思ったら、
手際よくニールさんがトーガを着せている。
「…にーちゃん、いつも言ってるやろ?
偽証石使う時は先に服着ろって…」
は?にーちゃん?
「そんな細かいことは気にしない。」
気にして?周りが困るから。
「帰って来るたび、にーちゃんの全裸見ることになる
コッチの身にもなってほしいわ…」
ほら困ってる。
…そうじゃなかった。
「リリアです。
こちらでしばらくお世話になってます。」
ぺこりと頭を下げる。
「カールです。
魔法学校で教師をやってます。」
あちらもぺこりと頭を下げた。
あんまりニールさんに似てない。
茶髪に茶色の目。
線もどちらかといえば細い。
学者さんって感じ。
「実に面白い!」って言ったら似合いそうなタイプだ。
「おかえり。来るたびオトンに似てくるね。
そんなオトンはいつ帰ってくるのやら…」
「今日はリリアさんの確認に来たんです。
どれくらいの適正があるのか。
どれくらい使えるのか。
それによっては入学できませんからね。」
オトンの話題バッサリいった!
ここのお父さん未だに謎なんだよなー。
今更過ぎて聞けないんだけど。
それより、自分の心配が先だった。
入学できないとなるとちょっと困ってしまう。
魔法学校入学はシリルさんとの約束なんだし。
「あの…試験みたいのやるってことですか?」
「簡単にいえばそうだね。
じゃあ、まず一番使いやすい魔法をお願いするよ。」
んー、一番使ってるのアレなんだよね。
ウォーターサーバーかメタルアイドルのアレ。
どっちがいいのかな。
迷っていると、シリルさんが
「身体強化付与の歌が聞きたい」
というので、そちらにした。
「うん、素質としては申し分ないよ。
きっと入学には問題ないね。
あとはどれくらいできるのかなんだけど、
ここではあんまり乱発できないから
あと一つ二つ小さいのを見せてもらって
今日は終わりにしよう。」
あとは調整して某大手アイドルの歌で風を吹かせて、
ウォーターサーバーで水を出して終わりにした。
「さぁ、続きやんで!
カールも!
リリアちゃんは休憩な。」
身体強化付与したので、
シリルさんは続きをやるとのこと。
カールさんもニールさんも死んだ目になっていた。
私は夕飯の支度でもしとこうかな…。
ブックマークしてくださった方々、ありがとうございます!
カールさんの喋りは普通です。学校暮らしが長いので。




