23.家族?の反対。
「 巫女は各地に布教しに行ったりするし、
行く先々で危ない目に合うかも分からん。
そんな危険な職業、お兄ちゃんは反対やで!」
ますます巫女=アイドルだわ。
地方巡業するんでしょ?
でも、各地回れるなら各地で情報も集められるし、
来た当初はそのつもりだったんだし。
「でも、巫女になれば、
探してるものが見つかるかもしれないの!」
「巫女になんかならんでも、
俺も一緒に探したる!」
ニールさんは私が何を探してるか知らないし、
明かせる訳もない。
でも、一緒に探せないなんて、なんとなく言いたくない。
なら別の理由で。
「それに…好きな歌も歌えるし。
自分の出来ることで、探してるものを見つけたいの… 。
ずっとここにお世話になるわけにもいかないし。」
「……」
ニールさんは黙ってしまった。
「リリアちゃん、お母さんも反対やで。」
「え?なんで?さっきはなれるかもって…」
「じゃあ、リリアちゃん、
どうやって巫女さんになるか知っとる?」
「えっと…わかりません…。」
「せやろ?私らもよう分からへん。
私ら以上に世間知らずのリリアちゃんを
私らでもわからんへんところへやりたないんよ。」
2人の反対は心配からくる言葉だったようだ。
お世話になってるだけなのに。
「それに、巫女は資格はいらんけど、
誰にでもなれるんちがうんよ?
飛び出していって、なれませんでした。
どうやって生活していくん?」
「……」
シリルさんの正論にはぐうの音も出ない。
実際ぐうと言った人は見たことないけどね。
やれやれと言った顔でシリルさんは続ける。
「『 歌が好きやから巫女になりたい。』
素敵な目標やん?
リリアちゃんのやりたいことやし、 応援すんで。
でも、それは今すぐやない。」
「なんで…ただの居候をそこまで…」
「ただの居候やない!
お母さんって思ってくれてかまへんって言うたやろ?
こうして知り合ったのも何かの縁。」
「…ありがとう…」
なんか、泣きそう…
昨日からなんか涙腺緩いみたい。
シリルさんは私を抱きしめて、
背中をポンポンとした。
「巫女になりたいっていう目標を応援するんも条件があるん。
一つ目は ちゃんと魔力の調整が出来るようになること。
リリアちゃんが歌う上では、一番大切なことやね。
二つ目は魔法学校に通うこと。
学校に行けばいろんなことも分かるやろ?
巫女になる方法も分かるかもしれへん。
最悪巫女になれんでも、
魔法で生活してく選択肢も増える。
それならお母さんもリリアちゃんのこと、
安心して送り出せる。」
…本当にお母さんみたい。
私は頷く。
「はい、ええ子、ええ子。」
シリルさんが私を優しく撫でる。
ニールさんが安心したような顔をしてこちらを見ている。
「(オカン、中々ナイスな時間稼ぎありがとう!)」
心の声漏れてますよって…ん?
「ニールさん、どういうこと?」
「あ、聞こえとった?
だって、魔法学校もすぐ入学出来るんでも無いし…。」
…マジか?!
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今回はツッコミ不在。