19.団欒。
御飯の後にダイニングで一息ついていた。
「はぁ…今日のは一段と地味やったな。」
「いつもこんな感じなんですか?」
「せやで。魔法のはな。もっと派手に練習したい言うても、
魔法乱発するんはあかんし、俺は元から乱発するほど魔力ないって。」
「今は平和やし、派手な魔法なんて練習せんでもええの。
平穏無事に過ごせるだけの魔法が使えればええの。」
シリルさんがお茶を持ってこちらに来た。
「最近の魔物は魔法使わんでも一発シバけば倒せるし。」
「それ、オカンぐらいやで…。」
「は?」
「スイマセンッシタ!」
…一発で倒すのは一般人には無理と。
危なく魔物の危険性を勘違いするところだった。
シリルさん、一体どこの武人ですか…?
「リリアちゃんも歌うたびに、魔力乗せすぎるんは
身体にも負担かかるから、ちゃんと練習しておくんよ?」
「はい。」
魔力乗せすぎて魔物発生とかしたら目も当てられないし。
「練習は大事やで。
少ない魔力でも上手に使えるようになるしな。」
「何事にも無駄使いはあかん!」
「あはは!そうですね!」
シリルさんがこちらを見ながらふっと息を吐いた。
「やっぱり、女の子が笑うと華やかやねぇ。
うちは男ばっかりやったから…。」
「ニールさん、兄弟いるんですね。」
「せや。にーちゃんが2人おる。
一番上のにーちゃんは中央で仕事しとる。
嫁さんも居るしな。
二番目のにーちゃんは魔法学校で先生しとるんや。」
「え…魔法学校って人間の学校じゃないんですか?」
「偽証石使うてるからな。それに、意外とおるんちゃう?
魔法の研究とかするにはええみたいやし。」
そこに行けば帰る方法見つかるかな。
まぁ、私の身体が生きててくれていれば、だけど。
「ニール、そろそろ定時巡回の時間。
そういえば、さっき魔物一発じゃ倒せんようなこと言っとったね。
明日は巡回代わるから、
午前中はリリアちゃんと一緒に練習!
午後は私と手合わせやんで!!」
「はぁ?なんでぇ?」
「返事は…?」
「はい…。」
「(妹と練習はええけど、オカンとの手合せ嫌やなぁ)」
だから、心の声だだ漏れなんだってば。
妹じゃないし。
「リリアちゃんはそろそろ休みなね?」
「はい、おやすみなさい。」
ニコリと笑って寝室に下がる。
ベッドの横になって考える。
「元の世界に帰れるのかな…。
お父さん、お母さん、元気かな。
私、死んじゃったのかな。
お父さんお母さんも悲しんだのかな。
クラスのみんなも悲しんだのかな。
……」
涙が出てきた。
今迄いっぱいいっぱいだったから、
しっかり考えられなかったけど、
少し落ち着いて考えられる時間ができたせいなのかな。
私、どうしたらいいんだろう…。
泣きながらベッドで丸くなった。
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