18.特訓。
今、私は正座しています。
2時間が経過したあたりでしょうか。
偽証石も使っているので、足は人間ver.です。
果たして人魚も足は痺れるんでしょうか…。
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遡ること、3時間前。
サラダを食べ終わり、
シリルさんに入れてもらったお茶を飲んでゆっくりしていた。
「そういえば、3日ほど寝起きしてた場所で、
商船かなんかが落とした積荷が落ちてたんですけど…」
「あー、どうせいらんもん捨ててっただけやろ。
積みすぎてスピードでぇへんとかで。
どーせ取りにも来ぉへんから。
欲しいのあったら持ってきてええんちゃう?」
ざっくりだなー。
確かに人間は取りに行くのは難しいだろうな。
海にあっても朽ちてくだけだし、いいか。
「本、持ってきたいんですけど、
濡れずに持ってくることってできたりします?」
「できるでー。お兄ちゃんがついて行ったる!」
「お願いします。…あの、あとドレッサーが海底に沈んでて。
厚かましいお願いなんですけど、
それもできれば持ってきて置きたいんですけど…
大丈夫ですか?
シリルさんと一緒に使いたいんです。」
ここにも鏡はない。
鏡があればシリルさんも嬉しいはず。
「リリアちゃんありがとうねぇ。
お母さん、嬉しいわぁ!
親孝行やなぁ〜。
ニール君にも孝行してもらお。
今日巡回ついでにリリアちゃんの荷物を全部1人で持ってきてな。」
「はぁ?!なんでぇ?!」
「リリアちゃんは今日はお母さんと魔法の練習するんよ。
使えはするけど、ちょっと危なっかしいし。
ちょっとしたコツが分かれば大丈夫!!」
「そ、そういうコトなら…ショウガナイヨネ…
リリアチャン、バショハドコカナ?」
ニールさん、しゃべり方変ですよ?
「歌ってた岩場に本があって。
すぐ近くの海底にドレッサーがあります。
よろしくお願いします。」
ぺこりと頭をさげると、いつものデレデレフェイスに一瞬なった。
でもすぐに気の毒そうな目を向ける。
「…頑張りや…」
…?なんだろう。
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というわけで、
初日だから魔力の流れを知るってことで、
偽証石を使ったままひたすら正座。
恐ろしく地味。
そして、
「ニールが帰ってくるまでがんばるんやで!!」
と満面の笑みでシリルさんは行ってしまった…。
本当地味でキツイ。
日が高くなって、しばらくした頃。
ニールさんが帰ってきた。
「シンドかった…。まぁ、オカンの特訓よかマシや。」
やっぱドレッサー1人で持ってくるの重たかったか。
よく持ってきてくれたなぁ。
ニールさん帰ってきたし、これで終わりだよね!
「あぁニール、おかえり。
じゃあ、リリアちゃんの隣で座って、リリアちゃんの魔力読む練習。
リリアちゃんは自分の魔力の流れがわかってきたところで、
自分のと他人の魔力の違いを感じること。
御飯できるまでかんばるんやでー。
あと、おしゃべり禁止!」
シリルさんはタコ足を出してドレッサーを担いで行ってしまった。
「…ほな、頑張ろうか…」
涙目のニールさんが隣に正座する。
「…はい。」
正座は御飯ができる2時間後まで続いた。
ブックマークしてくださった方々、ありがとうございます!
人魚、足は痺れません。
クラーケンも。
魚は痛点ないって話ですし。