1.どうやら転生した様子。
「はぁっ…」
目が覚めた。苦しくない。
なんだ夢だったんだ…。と思いながら周りを見回す。
「はぁぇ?え?」
周りの景色は海の中だった。
なんで?なんで?苦しくないわけ?
と思いながら、ジタジタしていると、魚のキラキラした鱗が目に入る。
自分の足の辺りに。
恐る恐る自分の足を見てみる。
一度遠い目をした後にもう一度確認。
自分の足が魚になっていた。
落ち着け、私。
手だってあるし、顔も触った感じ普通だ。
目鼻口全部ある。声は?
「あー、テステス。」
あ、喋れる。海の中だけど。
足、動かしてみる。
…やっぱり私の足?らしい。
「これは…人魚ってやつ?」
どうやら私は人魚になったらしい…
ってそれで済ませられるわけない。
一旦頭の中を整理してみることに。
えーと、夏休みに美人に誘われて浮かれて海に行ってぇ、
美人の横にいるのがいたたまれなくなったから海に逃亡。
美人が絡まれてるのを傍観してたら、波に呑まれて溺死っと。
なんか情けなくなってきた…。
つまり人間 結城遥は死んだ…?のかな?
じゃなきゃ足が魚になってるわけないし。
でもなんで人魚?
転生?にしても、神様が出てきて「望む力をやろう!」って言われて
俺TUEEE!的なチートになるとか、
悪役令嬢になってガンガン活躍するとかじゃないの?
なんで人魚?大事なことだから二回言った!
…もしかして最期に泳げたら死ななかったのにーとか思ったから?
「…はぁ」
とりあえず、ここで考えてても埒があきませんから、移動だね!
と、思ったら自分の近くに文字の書いた何かが浮遊していることに気がついた。
日本語ではないけど、不思議と読める。
きっと転生だから読めるのね!と思うことにした。
「えーと、なになに。先立つ不孝をお許しください…ってまさか!」
これ、遺書だね!
大変だ!止めないと誰かが死んじゃう。
文面の最後に『リリア』と書いてあったので、
私は急いでリリアさん?を探すことにした。