17.母は強し。
「あれ、そういえばニールさんは?」
「あぁ、アレなら今定時の見回りにでてるんよ。」
ちゃんとお仕事してるみたい。
本当、一瞬でもニートさんとか思ってごめんなさい。
一回くらい、お兄ちゃんって呼んであげようかな。
でも、あの綺麗な顔が崩壊すると思うと呼びたくないな。
…とりあえず、保留。
「リリアちゃん、疲れてない?
クラーケンは丈夫だからあまり休む必要もないんやけど、
人魚さんはそうやないでしょう?」
「えーと、よくわからなんですけど、
習慣みたいになってるので、休もうかなと思います…。
もっとお話し聞きたいんですけど…。」
「体は大事にせなあかんよ。話だったら明日でもできるんやし。
ほな、寝るとこ案内するわ。」
「ありがとうございます…。」
寝室に案内するシリルさん。
ちゃんとベッドがある。久しぶりにまともな場所で眠れそう。
「もう、そんな気にせんといてね。
うちだと思ってくつろいでくれてかまへんから!
なんなら「お母さん」って呼んでくれてもええから!」
この母だからあの息子なんだな。納得。
「じゃあ、おやすみなさい。」
「はい、おやすみ。」
久しぶりのベッド。横になるとすぐに眠りに落ちた。
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「…ぎゃあ!」
目がさめるとタコ足が目の前をウネウネしていた。
犯人はドアの外からこちらを伺っている、
変態…ではなく、ニールさんである。
「ただ起こそうと思っただけなんやけど…」
タコ足使ってイジけないでほしい。
ちょっと怖いから!
「大きい声聞こえたと思ったら、
なにしたんじゃ!このバカ息子!!」
ニールさんの頭をスパーンと叩く。
かなり威力ありそうだけど、大丈夫??
「そりゃ、かわいい妹を起こそうと…
一応レディの部屋には入ってへん!!」
あ、無事だ。キリッとした顔で言われても言ってる内容が残念。
「魔法まで使ってなにしてんの!
…ちなみにこちらの魔法の詠唱はなんやろねぇ…?」
シリルさんに黒い笑みが浮かぶ。
「オカン、酷い…!!」
泣きながら逃げて行くニールさん。
母は強い。
「リリアちゃん、お腹減ったやろ?
サラダ食べる?」
「はい、お腹減りました。でも、魔法使ってませんよ?」
「偽証石使うたままやったからね。
これは常時魔力を使うんよ。少しやけど。」
シリルさんについてダイニングに移動。
しれっと着席してサラダを食べてるニールさんがいた。
「オカン、お茶!」
「お茶く・だ・さ・い・やろ!」
「…お茶ください。」
「よろしい。」
…もういいや。
「ところで、偽証石使いっぱなしなんですか?」
「オカンには俺がお願いして常時使うてもらってん。
本人も陸では足がコンパクトな方が動きやすいって言うてるし。
建前では急な来客がない事はないからな。」
「建前?」
「大きい声では言えんけど、オカンに足の方で毎回どつかれたら
俺でも体が持たん。」
お茶を入れ終わったシリルさんが笑顔で言う。
「なんか言うた?」
「「…イエ、ナンデモアリマセン…」」
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残念イケメンのところで「ズボン」を「下」に変更しました。
そういえばズボンは日本語だった。