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126.大事なこと

ミナでの活動はなかなか難しく、

結局大踊り場(ステージ)を借りることができたのは1年半後だった。

ミナの活動中はミナだけでなく、ラフィティ大陸でのマリオの結婚式にも

巫女の仕事として呼ばれたり、他大陸での仕事もあったので中々の忙しさだった。

特にブレイとホーリーテイルはミナ大陸から船で7日程度なので、

スケジュールが合う限り仕事を受けていた。


カミラ先生が体力のいる仕事と言っていたのを思い出す。

プリシラが持ったのが不思議なくらい。

ルーロウ校長の特別講義がなかったら、途中で挫折してたんじゃなかろうか。


ミナでの活動後、ホーリーテイルで半年程活動し、

キーヨートの踊り場(ステージ)演目(ライブ)することになった。


私はこの演目(ライブ)を最後に巫女を辞めると決めていたので、

友達たちには手紙で知らせていた。


マリーダ、カールさん、リンダ先生はもちろん、

シャロンちゃん、シリルさんもブレイからわざわざ駆けつけてくれた。

エリーちゃんは残念ながら来られなかった。赤ちゃんが生まれたからだ。

会いに行きたいなぁ。


キーヨートの演目(ライブ)は今までの曲を色々入れたセトリにした。


1曲目はブレイで初めてやった曲、2曲目は剣舞を入れた曲。

3曲目は紙飛行機の歌を歌い、4曲目はラフィティ用に練習した曲。

5曲目、これが最後の曲。

いつもならプリシラの故郷の歌なのだが、私のワガママでこの曲にしてもらった。

リリアが私のために歌った、あの歌だ。

やはり感極まって感情がこもり、少しだけまた魔力が乗ってしまう。もうお約束だ。

そして私にだけ聞こえる声で、


「ハルカ、良かったね。」


と聞こえた。


「「「ありがとうございましたー!!!」」」


そう言って、踊り場(ステージ)を降りた後、

巫女を辞める寂しさと、リリアがきっと見てくれたという嬉しさ、やりきった達成感、

色々な感情が爆発して思わず泣いてしまった。

いつも泣いているはずの、リンが今日は私の背を撫でながら


「リリア、お疲れ様。」


と言った。出会った頃はもっと小さくて可愛い感じだったのに。

すっかり背は伸びて、美少女然としている。


「リリア、もう一緒に歌うことはないのですわね。寂しいです。」


プリシラは目を伏せていう。プリシラの外見は全く変わらない。

きっとこの先何十年も変わらないんだろうと思う。


そして光が集まってくる。プミロア様だ。


「みなさん、ありがとうございます。リリアさん、お疲れ様。

そして王子様とお幸せに。」


そう言って光は消えた。


「お疲れ様っていうのはわかるけど、王子様とお幸せにってなに?」


リンが首を傾げた。…プミロア様め、ぶっこんだね!?

プミロア様が消えてしまうと、ジャンさんとイグニスさんがやって来て、

私にいう。


「お疲れ様。これにて巫女の任を解こう。」


「リリアさん、お疲れ様です。約3年でここまで…ありがとうございました。」


イグニスさんは少し涙目で言った。


「ジャンさん、イグニスさん、お世話になりました。

こちらこそありがとうございました。」


「最初はニールとどうなることかと思いましたけど、

暴走もせず…よく3年も…」


「イグニスさん?!」


イグニスさんのほうが暴走してるってば!


「暴走ってどういうことです?」


プリシラはそこに食いつかないで!


「…ところで、リンとプリシラはどうするの?」


「「私達は2人で活動することにしたの(ですわ)!!」」


大丈夫かなぁ…。心配。喧嘩しないといいなぁ。

でも、この3年は喧嘩しながらだけど、なんだかんだ仲良くやってたから大丈夫か。


「頑張るんやで、レン。」


ニールさんがレンに声をかけた。レンは力強く頷く。

この3年で、外見が一番変わったのはレンだった。

背は伸びてもうイグニスさんと同じくらいになっていた。

レンはきっちり仕事をする子だから心配してない。きっと一番苦労はするけど。


「ニールは残ってくださらないの?」


プリシラが言うと


「俺はリリアの護衛やもん♪」


と言って私を後ろから抱き寄せた。


「ちょっと!まだみんないるでしょ?!」


「もう巫女やないからええんやろ?イグニス?」


「いくら我慢したからと言っていきなりガッつくと嫌われますよ?

だから少し発散してこいと言ったんです…花ま…」


「ちょ!イグニス!?」


なんかイグニスさんがロクでもない発言しようとしてニールさんに止められた。

今日は腹黒メガネの暴走が酷い。


「え?え?もしかして?そういうこと?!」


「あー、そうだったんですか。おかしいとは思ってたんですよ。

随分昔にいつか紹介するって言ってたけど、その頃からですか?」


「どういうことです?」


プリシラだけがわかってない…そしてごめん、プリシラ。


「そういうわけや。俺はリリアと一緒に行くで。みんな元気でな!」


「ブレイに演目しに来るときは教えてね!見に行くから!元気でね!」


私はみんなに手を振りながら言う。


「ほな、行こか!」


ニールさんは私の手を引っ張る。


「ちょっと待って、行くってどこへ?」


「うちやでー。」


私はくすっ笑って、


「困った人魚を保護してくれるんだよね?」


と言ったら、


「せやな。大事な仕事やからな。」


そう言って、ニールさんは優しく笑った。



読んでくださってありがとうございます!

引っ張った割に結末これかよっていう感じですが。

これが最終話ですが、プロローグ書いちゃったんで、エピローグもあります。


別枠で番外編作りました。今晩から更新開始します。

そっちは2人がいちゃらぶします。

なんで本編でやらないかというと、本編がR15じゃないからと、

文書力不足で盛り込めなかった話を回収したいがためです。

興味がございましたら、そちらもよろしくお願いします。

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