123.パーティーとその後
「「「「「「「おめでとうー!!」」」」」」」
たくさんの祝福の声が響く。
今日はエリーちゃんとエヴァルドルフ君の結婚式。
家族や親戚では大陸で済ませたらしいので、結婚披露パーティーといった方がいいのかな。
学校の友達や先生がほとんどだ。
巫女が祝福の歌を歌い、あとはみんなで立食形式で食事をする手筈らしい。
歌う曲は結婚式の某女性ボーカルの結婚式定番ソングにした。
ゆったりした曲調だし、リンも普通に歌えるようになったから。
手紙が来てから練習したのだ。私、こっちの祝福の歌、知らないしね。
嬉しいので気持ちこもる。すこーし魔力がこもってしまったらしく、
色とりどりの蝶が飛び回る。出席者から歓声が上がったからよしとして欲しい。
それだけエリーちゃんの結婚式は嬉しかったんだもん。
歌い終わって、エリーちゃんにお祝いをいいにいった。
「エリーちゃん、おめでとう〜。」
「エリー姉おめでとう!」
「エリー、おめでとう!」
「ありがとう。歌、すごく良かった。」
エリーちゃんはドレス姿で笑う。とても綺麗で、幸せそうだ。
ニールさんはエヴァルドルフ君と肩を組んでなにかひそひそと話をしていた。
何話してるんだろと思ったけど、レンが顔を赤くしながら困ってるから、
ロクでもない話っぽい。男子トークなようだ。
「ニールさん?エヴァルドルフ君?」
「ちょっと男同士の大事な話や…。」
といって視線を逸らしていた。
ほら、やっぱりロクでもないっぽい。
「せっかく正装しててカッコいいのに。ロクでもないなぁ。」
「え…?今なんて?」
ニールさんが赤くなる。
「ロクでもないっていったの!」
「いや、そっちやのうて!」
そんなやりとりをしていたら、
エリーちゃんとエヴァルドルフ君がニヤニヤしている。
「相変わらず仲良しの2人だね?」
そういって後ろからシャロンちゃんが声をかけて来た。
「兄妹だもん、ね?」
「お…おう。」
そうしどろもどろで答えると、シャロンちゃんもニヤニヤしていた。
今シャロンちゃんに色々聞かれるのは面倒なことになる。プリシラもいるし。
「今日はエリーちゃんとエヴァルドルフ君が主役だから!
色々聞くなら私じゃなくて、エリーちゃんの方にでしょ?」
「そうだったね!エリーちゃん、お手紙じゃ聞けないこと色々話してもらうよ?」
さすがシャロンさん。食いついたら早いわ。
「あ、私も聞きたい!」
「リンちゃんだっけ?私、シャロンっていうの!ここは共同戦線で色々聞いていこうか!」
「うん!」
早速意気投合した2人がエリーちゃんを質問責めにしているところを見て、
マリーダと笑いあう。
ふと見ると、ニールさんはプリシラから
「カッコいいっていって欲しいなら私がいくらでもいいますわよ?」
としなだれかかられ、困って逃げていた。
逃げた先でレンとともに学校の知らない同級生に捕まっていたけど。
…はい、はい。2人ともおモテになるよーで…。
ニールさんに逃げられたプリシラはいつの間にかエリーちゃんに
色々聞いている輪に加わっていた。
いつの間にかエヴァルドルフ君はリンダ先生と話している。
リンダ先生が言った言葉にエヴァルドルフ君が顔を赤くしていた。
なんの話だろう?
まぁ、リンダ先生が2人の背中を押したと言っても間違いじゃないからなぁ。
「リリア、一緒におって!あっち行くと色々面倒や…。」
モテ男、じゃなかった。ニールさんが避難して来た。
確かに私といれば知らない同級生達は声はかけてこない。
すると、マリーダが
「私、お邪魔かな…?」
と言い出した。
マリーダまでそんなこと言ってる!
「いや!そないなこと!なあ、リリア。」
「そうだよ!それにレンも呼んであげないと、かわいそうなことになってるから!」
レンは囲まれて困ったままだった。呼ぶと、レンがこちらに逃げてきて、
「助かりました…。普段、巫女ってこんな感じなんですね…。」
と、変な感想を吐いていた。
「お祝いを言いに来たのに囲まれてしまって…面倒なので、私もここに居ます。」
と言ってカールさんも話の輪に加わってきた。
この人も意外と女生徒に人気あるんだったっけ。
エヴァルドルフ君が私達に気づいてくれて、ちゃんとお祝いをいう。
「エヴァルドルフ君、おめでとう。」
「ありがとう。今があるのはリリアさんのいたずらのおかげだって、
さっきリンダ先生とも話してたんだ。」
「あの魔法は面白かったな!」
「どないなん?」
「ははは、興味があるなら、かけてもらうといい!」
「そんなこと言ってると、リンダ先生にかけますよ?」
「ぐっ!かけるならカールにしろ!コイツがかかったらどうなるか気にならないか?」
確かに…。マリーダが、
「カール先生、かからなそう…。なにかしたかとか言って。」
と呟いたらエヴァルドルフ君が確かにと頷いて、みんなが笑う。
そんなこんなあって、賑やかな結婚パーティーは夜まで続いた。
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今日はミナ大陸に向かうためにギザンの港へ向かう予定だ。
私は早くに目を覚ましてしまったようで、外はまだ暗い。
もう少し眠ろうと思い、目を瞑る。
すると、
「ハルカ。」
リリアの声だ。
「リリア!話しかけてくれるの、待ってた!」
「うん。時間かかっちゃってごめんね。エリーちゃんの結婚式、とても良かったね。
みんなとも話せたし。」
「そうだね。でも、それよりも…」
「うん。わかってる。ハルカは向こうには行かない。私もそれでいいと思う。」
「本当?!本当にいいの?私のワガママなのに。」
「ワガママなんかじゃないよ。
…私が消えれば…それが一番だと思うの。」
え…?今、なんて言ったの?
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