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121.不正解!

短期集中講座(仮)もひと月が過ぎようとしていた。

プリシラとはルーロウ先生が講義中などの時間を利用して、

踊りを合わせたり歌を練習したりということをしながら、

天の日の演目(ライブ)をこなした。

プリシラは短期職員ということになっているので、なかなか多忙らしい。


「あのジジイ、なかなか人使いが荒いですわ。」


と評していた。きっと丸投げされてるんだろうな、仕事。


リンも発声方法が良くなってきているのか、

声が安定して出るようになってきたらしく、練習は次の段階に進んだらしい。

今度はバケツをかぶってるらしく、


「本当に私何やってるか分からなくなってきたかも…。」


と若干モチベーションが下がっていたので、


「ちゃんとやってれば、次の天の日の演目では

 サビ歌っても大丈夫になるんじゃないかなー?」


なんて言ったら、少しやる気を取り戻した様子。よかった、よかった。


私はというと、1カ月素振りしかしていない。


「最初のひと月は素振りな?」


リンダ先生そう言われたのだ。

リンダ先生のところに行っても申し訳ないので、中庭あたりで素振りをしていた。

リンじゃないけど、私も少しばかり心が折れそうだったが、素振りならといって

交代で学校についてきているレンやニールさんが練習に付き合ってくれていた。

特にレンは素振りに付き合ってくれ、お手本にもなったので、本当に助かった。

ニールさんの方はというと普段剣など使わないのだが、

エヴァルドルフ君が昔やっていた剣舞を


「こうやったかな?」


とかいいながら、思い出しながらやっていた。

これだからチートは…。こっちは苦労してるのに。


そしてひと月が過ぎたので、今日は一人でリンダ先生のところに来ていた。


「リリア、まじめにやっていたか?」


「ちゃんとひと月素振りしましたよ。」


「で?弟君とはどうだ?うまくやったのか?」


あー、忘れてた。出発前に告白しろとか言ってたっけ。


「リンダ先生がそう思いたいならそう思っていてください。

 私とニールさんは兄妹ですから。」


感情をなるべく籠めず、答えた。動揺しちゃ負けだ。

一応剣舞は習ってはいるけどもう生徒じゃないし、少し強気に出ちゃおう。

散々イジられてきたし、実はちょっと気になってたこと。


「こないだの演目もカールさんと見に来てましたし、シリルさんにも会ったことあるんですよね?

リンダ先生、結構カールさんと仲いいですよね?」


「む…。カールは同期だからな。」


「実はいい仲だったりしません?」


「なっ!それは…ない!あのカールだぞ?」


牽制出来たっぽい。もうひと押し。


「それにリンダ先生だって、いい人の1人や2人いてもおかしくないでしょう?」


「ぐっ…。リリア、剣を習いにきたんだろう?さぁやるぞ!」


成功したな。これに懲りて私のことはイジらないで頂きたい。

実際のところ、ニールさんには告白紛いなことしたし、

今は探られたくない事情もある。そっとしといてほしい。


リンダ先生はいざ練習を始めるとちゃんと教えてくれたし、

横道に逸れるような話はしなかった。鬼のようにスパルタだったけどね。

もしかして、さっきの根に持ってるんだろうか…?


「今日はこれくらいにしておこう。今日は弟君は来てないのか?」


「今日はレン、獣人の男の子の方が来てます。多分外にいますよ。」


そんな話をしていると、カールさんが教室へやって来てた。


「今度の職員会議で使う資料を渡しに来ました。ほら、校長がそろそろ引退されるので。」


あぁ、本当にルーロウ校長変わる気なんだ。


「ちょうどいい!カール!手合わせしよう!」


カールさんが露骨に嫌そうな顔してる。


「座り仕事ばかりで身体が鈍ってると前に言ってたじゃないか!

リリア、浄化かけてから、獣人の子を呼んで来てくれ。私はカールとウォームアップしておく。」


カールさん、いいなんて一言も言ってないのに。

でも、ため息を吐きながら上着脱いでるカールさん。


「言い出したら聞きませんからね、あの人は。」


そう呟いていた。この2人お似合いだと思うんだけどな。

でもここはくっついたりしないんだろうなぁ。だってカールさんだもん。

そう思いながら、浄化を歌ってからレンを呼びに行った。

戻ってくるともう終わってたけど、どっちが勝ったんだろう?


「私はリンダという。魔法剣士だ。よろしく。」


リンダ先生はレンに挨拶した。


「レンと言います。見ての通り、獣人です。護衛をしてます。」


「手合わせ願おう。」


「よろしくお願いします。」


そういって手合わせが始まったのだが、高次元すぎてよくわからない。

見ててもしょうがないので、カールさんに


「さっきの手合わせどっちが勝ったんです?」


聞いておいた。気になったから。


「本当にウォームアップだけだったから勝敗までは…。

リリアちゃん、リンダ先生に何か言いました?」


「?何かありました?」


「『確認だが、私を女としてみることなんかないよな?』とか言ってました。

生物としては女ですよねと返しておきましたけど。」


カールさん、その返しは不正解です!!やっぱりカールさんはカールさんだった。


読んでくださってありがとうございます!

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