114.ヤキモチ?
「やぁ、よくきてくれたね。リリア。今日も一段と美しいね。」
「ひさしぶり、マリオ。お願い聞いてくれてありがとう。」
「君のような女性の願いは叶えるためにあるようなものさ。
この方々が一緒に活動している方々かい?
リリアとはまた違った麗しさだね。」
私達あのあとすぐ、ラフィティ大陸へ移動した。
ラフィティへはキアバを経由して馬車でシジュクへ移動後
港町チーアまで船で4日かかる。
船の中では毎日のように寝る前にリリアに話掛けてみたが、夢を見ることはできなかった。
プミロア様はまた留守電になってしまっていた。
またアイリさんを追いかけて行ってしまったようだ。
ニールさんはいつも通りに仕事をこなしていた。
アレは夢だったんじゃないかと思ってしまうくらい普通だった。
少し残念な気持ちになったのは秘密だ。妹らしくしてないとね。
マリオはチーアの港町まで迎えにきてくれていた。
街は年末で賑わっていたが、ゴナヤ領主の息子がきていると言うことで、
ちょっとした騒ぎになっていた。
挨拶はそんな野次馬に囲まれた状態で行われていた。
「こちらがプリシラで、こちらがリンです。2人とも私の大事な巫女仲間。」
「お褒めいただき光栄ですわ。プリシラと申します。」
「えーと、お会いできて?嬉しいです。リンです。」
「僕はマリオと言います。ゴナヤ領主の息子です。
父はゴナヤについたらちゃんと紹介するよ。忙しいものでね。
麗しいお二方と知り合えて僕は幸せものだと思うよ。
あぁ、リリア、もちろん君も美しいよ。」
そう言うとマリオは私と手を取り、手の甲にキスをした。
あー、マジか。実用してる人初めて見た…。
ドン引きだけど、表情に出したら失礼だから、冷静に対処しなくては。
「えーと、ありがとう…。」
後ろの方でミシって音が。野次馬整理に当たってるニールさんのほうからだった。
棒切れか何かを粉砕する音だった。その様子に野次馬はドン引きして退散し始めた。
レンに
「確かにしつこい方もいましたけど、そこまで怒らなくても…」
と呆れられていた。
「あぁ、すまん。つい力加減間違えてしもて。」
間違えないで!なんかイライラしてるみたい…。
「こちらがイグニスさん。現場責任者みたいな感じかな?」
イグニスさん肩書きがよくわからないけど、ちらっとみながらマリオに紹介する。
「今回は尽力いただきありがとうございます。」
イグニスさんは仕事だからだろうけど、一回り以上、下の子に躊躇なく頭を下げる。
自分ならできるかなと思うと…尊敬する。
「頭を上げてください。ただ僕はリリアの願いを叶えただけですから。」
なんか大人な対応が終わったので、
「護衛の2人、私の兄のニールさんとリンの弟のレンです。」
2人は黙礼した。
「あぁ、リリアのお兄さん。と言うことは…僕の命の恩人の弟さんと言うことか。」
マリオは小さく呟くと、ニールさん達に黙礼を返す。
「大切な客人だと言ってあるからね、宿も用意させてもらったよ。
さぁ、行こうか。」
マリオが私の手を取り、エスコートすると、また鈍い音がニールさんの方から…
もしや…不機嫌の原因って…。
「ニールさん、馬車は壊さないでくださいよ?」
「あぁ…すまん…ついな…」
レンが困ってるよ!
「マリオ、私だけエスコートすると、他の2人に失礼だよ?」
角が立たない方法で手を離しておく。
「あぁ、そうだったね。僕の手も2本しかないしね。仕方がない。」
…ニールさんと話したいけど、こないだのことは話題には出せないし…。
「チーアの年末の祭りを見てからゴナヤに移動するのがいいと思ったから、
そのように手配させてもらったけれど、よかったかな?」
「問題はありません。何から何までありがとうございます。」
イグニスさんとマリオは話中だ。ちょっと声だけかけておこう。
「ニールさん、何怒ってるの?」
「べ…別に?何も…」
「さっきからちょっとおかしいですよ?」
レンも困り顔で言う。これくらいなら問題ないね。よし。
「レンもそう思うよね?」
「ええ。」
「うっ。じゃあ、レン!なんとも思わんか?」
近くにいたリンの手をガシっと掴むニールさん。
「なに?!」
リンが急なことに驚く。
「いえ、別に。普段からそれくらいしますし。」
「なに?なに?面白い話?」
「リンは黙ってようか…。」
「あぁ!リン、ずるいですわ!」
ニールさんがリンと繋いでる反対の手をプリシラが掴む。
私の方を見るニールさん。これはコメント求められてますね。
「プリシラが酔った時はいつもそれ以上してるから手ぐらいは。」
そう答えていたら横からレンが、私の手を掴んで繋いだ。
「どうです?イライラしますか?」
「いんや?」
「僕がイライラしないのと一緒ですよ。
僕達以外の男性がリリアさんと親しいのに見慣れてないからでしょうか…?」
そういうもんかな?
「というわけですが、プリシラさんはニールさんの手、離してくださいね。」
「どういうわけで?別にかわまないでしょ?」
「あの、一応、街中ですし、みなさん巫女としての節度を守ってください。」
いつの間にやらイグニスさんが横にいて、プリシラに言う。
「巫女としての節度?」
プリシラの頭にハテナがついた。私は補足として説明する。
「建て前上、巫女は恋愛禁止ってことでしょ?私も最近知ったんだけど。」
「あ、この残念な巫女には説明してなかったかも。」
リンが付け加える。
「なんですって?!」
プリシラの声を上げた。
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