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111.権利をやろう!フハハハハ!

「そのままの意味です。」


「ちょっと…順を追って説明してもらえますか…?」


「どこから説明したらいいですかね…。

えっと、まず、その体がアイリのものだというのは説明済みですよね?

なんでかは知らないんですけど、アイリは3年くらいしかその体にはいなかったようです。」


「それで、そこに入ったのがリリアなのでは?」


「それがそういうわけではないのです。

そこに入ったのはなぜか異世界から連れてこられた転生予定の魂、

つまりあなたです。」


「え、じゃあ私は存在してるじゃないですか!あれ…でも15年前くらいから?」


私の記憶があるのは2年くらい前からだ。計算が合わない。


「そう、あなたはリリアとして、

15年ほど前にこの世界に記憶も何もない状態で転生した。 生まれ変わっていたのです。

それはつまり…向こうのあなたはすでに…。」


「15年も前に死んでる…。」


「残念ながら、そういうことです。」


「……………。じゃあ、私が存在しないっていうのは?

ほら、現に私は…今話してます。」


「何らかの強いショックで前世の記憶が出て来て人格を形成したのでしょう…。

1つの魂が分化した存在なんです。

本来存在しないのはあなたの方と言ったのはそういう意味です。

中の子が言っていたという生まれたときから一緒というのも

元々は1人だったという意味でしょう。

この間お話しした通り、アイリの身体ですから今問題ないですが…

その状態では長くは持たないと思います。」


「長生きできないってことですか?」


「えぇ…10年持てばいい方でしょう」


「じゃあ…私は………。本来邪魔な存在?」


「いえ、一概にはそう言い切れません。

あなたがいなければ…中の子はとっくに心が死んでしまっていたでしょうし。

時々あなたと話しているということは、心は戻りつつあるのでしょうね。」


「でも、私のせいで…この子、リリアは死んでしまう。」


「同時にあなたもですよ…その子だけではありません…。」


プミロア様は悲しそうな声で言った。


「私のせいでもあるんですよ…あなたたちが生まれたのも…死んでいくのも…」


沈黙が流れる。





「お困りのようね!」


急に別の声が降ってくる。私と似た声。


「アイリ!戻って来たんですね!」


「お姉、邪魔。」


「あぅ…久しぶりなのに冷たいものですね…。」


「えーと、ハルカって言ったっけ?いい提案してあげる!

あんたの身体ね、あるのよ。あ、あんたが死んでないわけじゃないのよ?

身体が死んでないってだけ。そこに戻る権利を、あげてもいいわよ?」


「ア、アイリさん?えーと…順を追って説明してもらえますか?」


「順を追って?うーん、面倒だけど、特別にしてあげるわ!

お姉がポンコツすぎて説明しないとわからない状況みたいだからね。

まず、私は女神になりたくなかったから生まれ変わることにしたのよ。

普通の女の子として過ごしたかったのよね。人魚とか、美少女とかじゃなくて!

ごくごく普通の!なのに、なに勘違いしたのか、

このポンコツ女神がまた美少女人魚にしてくれちゃって!

3年くらいは意識体で異界を覗いたりして暇潰してたんだけど…

時間がそんなに長くいられなくてさ。」


「ポンコツって…。久しぶりなのに相変わらず容赦ないです。」


「だからお姉は黙って。ぶっちゃけ人魚には飽きてたし、面白そうだから

他の人魂をここに入れて、がっちり異界に遊びに行こうって思ったのよね〜。

そしたら丁度あんたの魂が転生を待つ場所へ向かってたからさ、

その人魚の身体に入れて異界へ飛んだってわけ。

なんかね、こっちの1カ月が向こうの1日なのよね。

だから飛んでったら魂を失ってすぐの身体が目の前にあったの。

知ってる?死んですぐだと身体だけは生きてるのよ?」


「いえ…知らないです…。」


向こうの1日はこっちの1カ月…。

こないだプミロア様が帰ってくるのが遅かったのはそのせいなのか。


「だから早く帰って来たって言ったじゃないですか。」


「お姉は黙ってる!」


「はい…。」


「で、普通の生活っていうのも堪能したし、もういいかなーって思ってて。

あんたが面白そうなことしてるって手紙読んでちょこっと覗きに来てみたってわけ。

こないだはお姉に追い回されてたから見に来られなかったんだけどさー。

異界との繋がりも全部切っちゃうのもつまんないとは思ってたところで今の話聞いてね!

あんたにあの身体に戻る権利をあげるって言ってるのよ!

説明してあげたわよ!どうする?」


「それは…えっと…」


情報が多すぎてついていけないんだけど。


「つまり、今のあなた、つまりハルカさんでしたっけ?が

元々いた世界に戻れるってことです。元々の人格、リリアさんでしたね、

別々の身体を持つことで、通常通りに生きることができるってことです。

状況としては、一番最初にあなたが望んだ状況に戻っただけでですよ?」


「早く決めてくれる?」


このままこちらに留まれば、10年生きられない。戻ればただ元に戻るだけ。

でも…


「そっちではどれくらい経ってるんですか?」


「えーと…半年程度よ。あんた普通すぎて正直飽きたわ。

だからちょっーとイジらせてもらったけどね!」


ちょっと待て!元通りじゃない!


「どちらにしろ、一度死んでしまってますから、完全に元通りってわけではないですし。」


「プミロア様、それはフォローではないです!それに…」


それに…こっちのみんなとお別れなのか…。


「…ふーん、迷ってるのね。じゃあ、猶予をあげるわ!向こうの日付で2週間。

こっちで言ったら大体1年ね。

丁度2週間後のライブのチケット取ってるから、それまでは待ってあげる!」


今、心読まれた?


「お姉にできて私にはできないと?」


「私、一応女神ですよ?あなたは今は一応女神ではないんですから…。」


「まぁ、神ではないけど、私だからね!じゃ、そういうことで!」


「あ、アイリ!待ってください!」


2人は消えてしまった。


戻ることを望めば、元の世界には帰れる状況になった。状況は良くなったとも言える。

でも…私は…

私はベッドに座り、膝を抱えながら、自分の中に存在するリリアに話掛けた。


「ねぇ、どうすればいいと思う?」


もちろん、答えは返って来なかった。



読んでくださってありがとうございます!

なんとなく、ドラ◯エの

「世界の半分をやろう!」を思い出しましたので。

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