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106.活動資金

次の曲が最後の曲だ。

始まる前はあんなに緊張していたのに、終わるとなると、こんなさみしいなんて。

途中から本当に楽しかった。ちょいちょいミスはしたけどさ。

最後の曲はプリシラの故郷の曲だ。

最後にしたのはスローテンポの懐かしい感じのする曲だったから。

童謡のような雰囲気の曲で歌いやすく、心があったかくなる感じがする。

踊りもプリシラがつけた。簡単な手振りなので踊りもすぐ覚えられるものだったので、

同じところを繰り返し、みんなで歌うということにしてみた。

やはり参加できるというのは盛り上がる。

これいいなぁ。次の演目(ライブ)でも取り入れよう。


「「「ありがとうございましたー!!」」」


お礼をいって踊り場(ステージ)から降りる。

イグニスさんが寄って来て、


「この踊り場の客席半分が埋まってましたよ!本当、頑張ってよかったです…」


と少し涙目で言った。


「イグニスさんのおかげですよ。広報活動、ありがとうございました。」


「いえ、3人が2ヶ月ちゃんと活動して来たのが一番ですよ。」


そう照れながら言ったけど、本当に頑張ってくれてたし、自分でも自負はあるに違いない。

顔が嬉しそうだ。

ニールさんとレンもしばらくしてからやって来て、


「大成功やったなぁ。」


「姉ちゃん…」


レンは言葉少なに姉を抱きしめて泣いていた。リンも泣いていた。

なんだかもらい泣きしてしまいそうだけど、これで終わりじゃない。


「片付けしたら、反省会しなくちゃね!

5ヶ月くらいしたら、またラフィティでやるんだから!次の演目ももっといい演目にしよ?」


そうリンに笑いかけた。リンも涙を拭って頷く。プリシラも静かに微笑んでいた。

すると、私達3人に光が寄ってくる。


「わ!なになに!」


リンが焦ったが、きっとあれだ。


「あ、焦らないで大丈夫だよ。」


私はリンを落ち着かせて、3人とも光に包まれる。


「3人とも素敵な演目をありがとう。」


プミロア様だ。演目(ライブ)はしっかり見てたみたい。一体どこに行ってのだか。

ずっーと留守電状態だったし。聞きたいことは山ほどあるんだけど。


「…リリア、それについては後でお話しましょう?では次の演目も頑張ってください。」


それだけ言うと光は消えてしまった。


「プミロア様が…ありがとうと…嬉しいですわ…」


プリシラが涙目ぐんでる。普通はこういうリアクションが正解なんだろうなぁ。

リンはポカンとしている。


「プミロア様、あんなに喋る人なの?私の時、『はい。』だけっだったよ?」


あ…そうなんだ。それはひどいね。


「それに…リリアさん、後でって何があるの?」


「あぁ…あのね、今後の活動に関してとか色々聞きたいことがあって。

プミロア様、心が読めるから聞いたみたいな扱いになっちゃったんだよね。」


「え!そうなの!お腹減ったからこの光早くどかないかなとか失礼な事思ってた!

どうしよう!怒ってないかな?」


「大丈夫じゃないかな?多分。」


巫女の儀の返答を一言で済ませたくらいだからそれくらいで怒っちゃいけないと思う。

それに女神がそう簡単に怒っちゃダメ…な気がする。


「プミロア様も楽しみにしてくださってるみたいだし、次も頑張ろうね。」


とりあえず、適当に〆た。

エリーちゃん、エヴァルドルフ君もやって来て、労いの言葉をかけてくれた。


「エリー姉、お腹減った!」


「そうか、今日も食事行くか。お疲れ様ってことで。」


リンがエリーちゃんに甘えてる。

剣術ができて面倒見がいいエリーちゃんにすっかり懐いている。

一緒に長くいるはずの私にはそんな様子全くないのに…ちょっと切ないわー。

エリーちゃんとリンが約束してたため、その流れで片付けをしたら、

みんなで食事に行くことになった。

今回はイグニスさんも一緒だ。

エリーちゃん、エヴァルドルフ君との契約も終わりだから、かもしれない。

広報活動や会場整理を頑張ってくれてたので、一緒にお疲れ様会したかったからよかった。

食事するところはこないだお祝いしてもらったところだ。

こないだので慣れたので、みんなキョロキョロはしない。イグニスさんはいい大人だし。

みんなでワイワイと注文を決めていると、横から恰幅のいいおじさんが。

みんなの頭にハテナがついている。


「あの…何か御用ですか?」


「あぁ、やはり。先ほど踊り場で演目をしていた巫女さんでしたか。

当店のご利用ありがとうございます!私、先ほどの演目見てたんですよ〜。

いやー、大変いい演目でしたね。是非寄進をさせて頂こうと思いまして。」


あ、話の中身からいって、ここのオーナーさんっぽい。

寄進と聞いてイグニスさんが失礼にならない程度に食い気味に答える。


「それはありがとうございます!寄進はいつでも受け付けておりますので、

こちらの大陸の分社までお願いします。」


あ…分社なんてあるんだ。そういう情報あまり知らないんだよね、私ってば。

聞いてないっていうのもあるけど。


「ええ、是非そうさせていただきます。それとここで飲食代をサービスさせていただきますよ。」


「ええ!いいの?!」


リンが食いついたが、イグニスさんが手を出して待てのポーズをする。


「いえ、そういうわけには…。」


「いや、いや、そう言わずに!」


よく見る譲り合いが始まった。最後に手を挙げた人にどうぞどうぞってやる感じだよ?


「では女性達の飲食分だけで。男性分は私が出しますので。」


「そこまでいうのでしたら、そういたしましょう。」


「ありがとうございます。」


「「「「ありがとうございます!!」」」」


女性陣はオーナーにお礼を言う。

男性陣はイグニスさんに。


「「「ゴチになります!!!」」」


「人の奢りだからってたくさん飲んだり食べたりしないでくださいね。

そこまで持ってませんから…。私が払う訳ではないですが、リンもですよ。」


イグニスさんはそう苦笑いしながら言った。じゃあなぜ払うと言ったのか。

そっとイグニスさんに尋ねると、


「全部飲食代を払ってもらうと寄進して頂く分が減ってしまいます。

寄進が主な巫女や私達の活動資金ですから。私達が活動して行くには大切なことです。

それに私も教会から手当ももらってます。還元も行わなければ、ね。」


地域貢献と活動資金確保のためか。

しかも、男性陣は調子こいて食べすぎたりするような人たちじゃないし。

なるほどね。私達の活動資金にもなるなら私も少しにしとこう。

私はそこまで食事必要じゃないし、リンもたくさん食べたいだろうから。


そして、お疲れ様会は楽しく終わった。

プリシラがまた酔い潰れてめんどくさくなった以外は。

読んでくださってありがとうございます!

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