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102.御乱心

あれから2カ月、私たちはロサッポや周辺で演目(ライブ)をやり続けた。

毎日ではないけど、多い週は4回。少なくても2回。

最初は宿も中級ランクぐらいの宿に泊まっていたが、

節約しないと路銀も心もとなくなってくることもあり、ランクを下げて泊まっていた。

どうせ宿には寝にしか帰らないし、人魚はあまりお腹が空かない。

空いてものど飴や持ち歩いている乾燥リーブラでなんとかなってしまう。

ランクが低い宿はごはんはあまり美味しくないのだが、耐えられなくないのだ。

獣人は魔力が低いため食事を沢山取る必要があるので、

リンとレンには大変申し訳ないとは思っている。

しかし、当人たちは


「お腹が減ったら狩ればいい。」


と大変逞しい発言をして、狩りや釣りをしていた。器用だなと思っていたら、


「獣人は成人を迎えると嫌でも里から追い出されます。

そのためには狩りや釣りも出来ないと生きてはいけません。

所帯を持って子供を産むときか、年老いてどうにもならなくなった時しか

里には戻らないんですよ。

僕たちはちょっとだけ早く里を出た。ただそれだけで他の獣人と何も変わりません。」


と14歳にしてはデキた発言をレンがしていた。

私、14歳の時、そんなしっかりしてなかったわー。

プリシラは、そんなレンを見ながら、


「本当、エルフと真逆なのね…。

エルフはなるべく里からの出ないようにって教育されるもの。」


と独り言とも取れるような感じで呟いていた。

そんな真反対な種族が揃って巫女をやっているのだから不思議だ。

私達は

巫女(アイドル)として踊り場(ステージ)に立ちたい。

それしか共通点はない。だか、その一つの目的で繋がっていた。


演目(ライブ)は何度もやるうちに安全対策や問題点の改善を見つけは直しを繰り返した。

子供対策には、通路に通る人間を指定できるの壁のような魔法をプリシラにかけてもらった。

私達はお客さんにほうに出れるが、お客さんはこっちにはこられない。

ガラスにようなものにしたらぶつかった時痛かったので、

ラップのような壁してもらった。

ラップといっても通じないので、だいぶ苦労したけど。

ただ、ここはホーリーテイルと違い、魔力量が多い。

なので、演目(ライブ)の前に私が浄化の歌を歌うことにした。

ここ最近はそれが演目(ライブ)開始の合図のようになっていった。


プリシラは踊り場(ステージ)に一人だけ上がっている時間は

手を抜いても派手に見える動き方を習得していた。

リンに皆目線が行きがちだから、彼女なりに工夫したらしい。

3人で踊る時にちゃんとついていけるように一人で踊るところは体力温存もしている。

リンは注目されればされるほど、燃えるタチらしく、自主練に力が入っていた。

私はというと、もうすぐバク転が完成するところだ。

もちろん自主練も欠かさず行うし、演目(ライブ)がない日はみんなでの練習もした。

そんなある日。


【今どこにいますか?ロサッポにいないようでしたらすぐ戻って来てください】

なんだか切羽詰まった手紙がイグニスさんから送られて来た。

ちょうど、ロサッポにいたので、


【ロサッポにいますが、どうしました?】

と送り返した数時間後、イグニスさんがロサッポの拠点としている宿にやって来た。

息もきれぎれだ。


「どうしたんです?何かあったんですか…?」


あまりに慌てているので、エリーちゃんやエヴァルドルフ君の身に何かあったのかもしれない。

恐る恐る尋ねた。


「…たんです!取れたんですよ!」


「何がです?」


プリシラが眉間にシワを寄せながら聞く。


「ロサッポの踊り場が取れたんですよ!!!」


「「「えーーーー!!!」」」


リンも驚きの声をあげる。普段は「まだ取れないのか」とか文句を言ってたくせにだ。

エリーちゃんとエヴァルドルフ君が遅れてやって来た。


「イグニスさん、馬も繋がず走り出して…危ないですよ?」


エリーちゃんが呆れ顔で言う。


「いや、一刻も早く伝えたくて…。

それに、あまりにあっけなく許可が降りたものだから…。」


イグニスさんもテンションがおかしくなることってあるんだなぁ。

いつも冷静な感じがするけど。人は見かけによらない。


「今日、初めて交渉に行ったんですが…。すぐ許可が降りました。

なんだか、王族の方の口添えがあったとか…。」


私はすぐエリーちゃんの方を見る。しかし、エリーちゃんは首を横に振りながら、


「私は何も?知らないぞ。」


本当に知らないのかはエリーちゃんのポーカーフェイスからは全くわからない。

私には王族の知り合いなどいないし。

リンやプリシラの顔を見るが二人も首を振っている。

演目(ライブ)見たとか?いやいや、そんな感じの人はいなかったし。

お忍び…できるほど安全な大陸じゃない気もするし…

そうなると、王族の知り合いなどいそうなのはエリーちゃんぐらいしか…

あ…もしや…エリオット…?知り合いに王族なんかいたのか…。

10歳の子供だからって舐めててごめん。今、謝っておこう。心の中で。

お礼の手紙でも書いておこうかな。でも調子のられるのもな…。


「ただですね…取れたのが来週の天の日なんです…。」


「「「「えーーーー!!!」」」」


ちょっと!

時間がない!!!早くできるの嬉しいけど、早過ぎない?


読んでくださってありがとうございます!

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