101.センターは争わない
翌朝、ダハテの街で演目を行うところを下見に行く。
キアバより小さいので派手に踊ると踊り場から落ちる心配があった。
それくらい狭い。もういっそ、通路作ってそこで踊ろうかな…でも、それいいかも。
身近に感じてもらえるし、臨場感出るし。客席ダイブまではしないけどさ。
それくらい度胸がないと知名度なんて上がらない気がする。
問題があるようなら後々対処で大丈夫だろう。
下見後、鍛錬をしているレン、ニールさん、自主トレ中のリンにざっくりプランを説明すると
「こういうのは一番リリアがわかっとるから、ええんちゃう?
なんかあったら俺らで対応するし。」
「私もリリアさんに賛成!」
「姉ちゃんがいいならそれで。」
と3人とも賛同してくれた。
そして、起きてきたプリシラにセンターのお願いをする。
「この大陸ではプリシラを真ん中でお願いしたいの。
で、途中、私達は踊り場から降りて下で踊ったりするから、
その間プリシラ一人で踊り場で歌ってもらうね。
上から見てて、私達に何かありそうだったら魔法で阻害するか、
ニールさんかレンに知らせてほしいな。」
踊り場で一人で歌えるってことは推しつつ、仕事も頼む。
何かあってもプリシラなら魔法で阻害などもできるだろう。
「わかりましたわ。私が踊り場を独占…うふふっ」
プリシラが黒い笑顔を浮かべているが、本人が乗り気になれば問題はない。
あとは3人で一緒に踊るところや、どこで踊り場から降りて踊るか、
その確認をして本番に臨んだ。
最初のダハテので演目はお客さんが少なく、
ステージから降りて踊る試みは概ね成功だった。
近くにいた人は間近で見れることに喜んでくれた。
ただ、安全対策はしっかりしないといけないこともわかった。
踊り場と違って時々ちっちゃい子がいたりすると不意に近寄ってきていたりして、
危なっかしい。間違ってぶつかってしまったら危険だ。
デパートの屋上とかでやるヒーローショーの気分になった…。
護衛も増やすことは不可能なので、なんか魔法でどうにかしなくっちゃ。
今回の課題がわかったところで、イグニスさんと今後の予定を話合いだ。
「反応は良さそうですが…如何せん人が少なかったですね。
もう一度天の日に演目をしたら、移動して他のところでやるか、
ロサッポ周辺に移動した方がいいかもしれませんね。」
「ロサッポには大踊り場以外ないんですか?」
「あるにはあります。が、あまり広くないです。ダハテと規模は変わりませんよ?
天の日を待たずに移動しますか?」
「一応やっておきたいことがあるので、天の日にもう一度演目をしたら、
私達もロサッポに向かおうと思います。
イグニスさん達は一足先にロサッポに向かうんですよね?」
「ええ。ロサッポの先の辺境へ案内してもらう予定です。
馬車ではなく、早馬で向かうので、そこまで時間はかからないと思いますよ。」
「3人でですか…?」
「ええ、そうですけど?」
エリーちゃん、エヴァルドルフ君が馬に乗れるのは意外じゃないんだけど、
イグニスさんが馬…なんか意外なんだよね。
でも世界巡ってるからそれくらいできておかしくないんだけど…なんかイメージと違う。
「そういうわけなので、よろしくお願いしますね。何かありましたら、手紙をください。
お二人がいるので、直接やりとりできますし、教会長にも手紙で許可いただきましたので。
大踊り場での演目のメドがついたらこちらからも手紙出しますので。」
相変わらず仕事早いな。そういうとイグニスさんは荷物を持って、出発の支度をし始めた。
ほんと身軽だな、この人。
エリーちゃん、エヴァルドルフ君達にまたしばらくお別れだねーなどと挨拶をしたら、
3人は馬に乗っていってしまった。
とりあえず、ロサッポの大踊り場での演目が早くできるように頑張らないと!
3人が行ってしまったので、宿も巫女3人で一部屋、護衛で一部屋に変更。
日が暮れる前に昨日言っていた、バク転の練習を外でする。
リン、レンが補助についてくれ、やってみるが後ろに飛ぶのは恐怖でしかない…。
とりあえず、初日はブリッジをして終わってしまった。
これもロサッポの大踊り場までの課題だし、なるべく早くできるようになりたいな。
翌朝、マリオからの手紙が。
お父様が中々捕まらず、会場を取る交渉が中々できなかったらしい。
どうせならお父様に紹介したいのでとか言って、半年ほど先のスケジュールを提案してきた。
クラリティ大陸の踊り場もどれくらいで取れるかもわからないし、
移動の時間も取られるから、都合はいいのだけど…
その土地の領主だから挨拶した方がいいのだろうけど…
男の友達から親を紹介されるって…なんか複雑な心境。
こっちの世界では当たり前かもしれないけど。
とりあえず、ラフィティ大陸の演目の予定ができたので、
ジャンさん、イグニスさんに報告の手紙を入れる。
そういえば、アイリからは手紙が返ってこない。
アイツ…返信遅いからなぁ…。
読んでくださってありがとうございます!