10.なにそれおいしいの?
「お腹…減ってない」
こっちに来てから朝起きるとお腹減ってるのに。
今朝は全然お腹が減っていない。
昨日そんなに昆布(仮)食べてたっけ。
寝てる間に食べてたとか?!いやいや、減ってないし。
取りあえず身支度しに海底へ行き、髪を梳かしていると、
魚が寄ってきた。
「なぁ…」
あ、一昨日の要◯さんズか。今日は『あるよ』言ってくれるかな。
「こないだの歌…」
「歌ってくれよ…」
長文喋れたんだ…。こないだって…どれだっけ?
「えっと…どれですか?」
「ここで」
「踊りながら」
「歌ってたやつ」
あぁ。あれか。
アイドルの道が絶たれたとはいえ、
まだ有名になることを諦めてはいない。
お客さんは魚でも、私は歌う!
…だれもツッコんでくれないから声には出さないけどね。
「あぁ、あれですね。じゃあ、リクエストにお答えして!」
にっこりと笑ったあとにメタルアイドルの歌を披露した。
やっぱり途中で赤いメラメラとしたのが見えたけど、
すぐに消える。
アレ、なんなんだろう。
「ありがとうございましたー!!」
歌い終わってお辞儀をすると、要◯さんズは顔を見合わせて頷いた。
「恩にきる」
「巫女よ…」
と、言ってどこかにまた行ってしまった。
あーまた『あるよ』って言わなかった。じゃなかった!
「巫女?巫女ってなんです?」
まただよ!
フラッシュさんに続き、聞きたいことが聞けなかったパターン!
歌って踊ったらお腹減ったぁぁ。
岩場に戻って干し昆布(仮)味見しながら読書しよう。
岩場に戻って干し昆布(仮)を味見してみる。
美味しくできたけど…恐ろしく満腹になるのが早くなってる。
一口で満腹になったんですけど…。
よく噛むから…?
読書する前に満腹になったから読書に集中しようと思ったら、
最後の一冊は楽譜だった。
譜面…あんまり読めないんだよね…
そう思ったのだけど、なんか不思議とこんな感じの曲かなっていうのがわかった。
歌詞がついてるわけじゃないので、スキャットで歌っていく。
歌ってみるととても清々しい気分になった。
「はー。いい歌。」
歌うとお腹減る!
干し昆布(仮)を食べると、…はい満腹。
なんかこの昆布(仮)怪しいものなんだろうか…?
でも美味しいし、お腹いたくなったりしないしなぁ。
取りあえず、空腹を満たすものはこれしかないし。
この問題は保留。
初見の譜面をスラスラ歌えるということに気を良くした私は
干し昆布(仮)を補給しながらどんどん歌った。
この本に書かれている曲はいい曲ばかりだった。
「はー、歌った、歌ったー!」
「歌ったじゃないわー!!」
急に背後から頭をスパーンと叩かれた。
「痛〜い!!!」
振り向くと上半身裸のイケメンが腕組みしていた。
ブックマークしてくださった方々ありがとうございます!
巫女、なにそれおいしいの?
やっとこ会話ベースの話が出来そうです。