挿話〜密かなブーム〜
本編に全く関係ありません。
今、ブレイ大陸の女性達の間で密かなブームが起きているものがある。
噂が広がり遠方から貴族が買い付けにやってくるとかこないとか。
真偽は定かではないが、その発端はある巫女達が着用していたと言われている。
ただ、『それ』自体は魔法で作られていることが多く、おいそれと買える値段ではない。
乙女達はケースに並ぶ『それ』とその値段を見てため息をつくのだとか。
『それ』とは、もちろん、ガーターベルトのことだ。
長い靴下を手製で作るのはもちろん時間がかかるため、量産が出来ず、
魔法による製作は製作者が限られるため高値である。
それに使用するものなので、セットとなるガーターベルトも必然的に高くなってしまった。
リリア達の演目を見て、巫女に憧れを持っている女子達の中には、
斬新なあの衣装にも憧れを持った者もいたわけだ。
もちろんその商機をライザが逃すわけもない。ここぞとばかりに売り出した。
貴族向けの素材ではなく、少しランクを落とし、一般的な着用に耐えうる素材に変えて。
それでも生産コストのかかるものなので、少々高い。
一般庶民は少々頑張らなければ買えない程度のお値段設定だった。
しかし、自分で作るのは難しい。だったら少々頑張って買うという選択肢になる。
最初は巫女に憧れを持つ女子にだけに売れていたが、
使ったものから長い靴下のため足が冷えないで済む。
靴下がずり落ちないので、スカートをたくし上げて直すこともない。
という実用的な話が広がり、密かにブームが起きた。
ブームが起きても生産量が限られるため、早々広まるものではない。
そして高値のため、劣化版というものが出回った。
もちろん劣化版のため、すぐダメになったり、壊れたりする。
やはり本家の方が良いということになり、ガーターベルトが欲しい女性はお金をためて、
本家であるケイの店で購入できるように頑張るのだった。
このように少しづつ自分のお小遣いが増えていることなど、リリアは知る由もなかった。
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