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97.ガッツなエルフ

演目(ライブ)を終えた夜、リリアの夢を見た。

卒業の夜以来だ。ひと月程度しか経っていないのだが。


「初らいぶ?おめでとう」


リリアが笑う。


「ありがとう~。でも、リリアもおめでとうだね!」


「そうだね。」


2人で笑い合う。プリシラにはひやひやしただの、やっぱりリンの踊りはすごいけど、

歌がね…などと2人でワチャワチャ話をする。リリアとこんな話をするのは初めてだ。

同じ身体で同じ体験をしたもの同士だからこそのシンクロ感があり、余計盛りあがった。


「あ…そろそろ時間みたい。」


リリアが薄くなる。


「帰るまでにもっとお話できたらいいのにね。」


というとリリアは曖昧に笑った。なんでだろ…?



―――――――


そして、クラリティ大陸へ出発する。

いつものごとく、シリルさんがお見送りにきてくれた。


「次ブレイに帰って来たときにはルルの子が生まれてるからね。

家に寄れたら寄るんよ?」


次にブレイに帰って来たときは、時間があるなら是非寄りたい。

お祝い何がいいんだろう?他の大陸で、いいものがあればいいなぁ。


ジャンさんは活動に関してはイグニスさんの従うようにと指示を出した。

イグニスさんとはキアバで合流する予定でいる。


クラリティ大陸へは、キアバを経由して陸路で1日かけてノエウへ移動。

そこから船で10日程度。


学校で習ったクラリティ大陸の情報は、

魔力量が多いため、魔物の発生率が高い。

寒い時期は雪がたくさん降り、暑い時期は暑いがカラッとしている。

山が多く、人が住める場所も限られている。

住める場所を貴族達が領地として治め、その上に王様がいる。

通常の王政が行われているらしい。

王都、ロサッポは港町ダハから7日かかる。

エリーちゃんが行って帰ると休みが終わると言っていた意味はこれだったのか

と漠然と休み明けの授業で思っていたのだが…

実際自分が移動するとなると大変だ。

さらに活動しながらとなるため、どれだけ時間がかかるんだろうか…

なるべく早く大きな会場を借りられるように頑張らないと。

そうだ、どんな演目(ライブ)が受けそうかエリーちゃんからも情報を得ておこう。


出発前にエリーちゃんには手紙を書いて送る。

演目(ライブ)が無事終わり、最初はクラリティ大陸から回る事になった事、

大きな踊り場(ステージ)でやる必要ができたので、

どんな演目(ライブ)がクラリティでは人気なのか教えて欲しいと書いて送る。

エヴァルドルフ君との婚約もどうなったか気になっていたので、

そのこともしっかり手紙に書いておいた。移動中にでも返事が届くだろう。

魔法でのやり取りは本人のところにくるので便利だ。

現代人にはスマホという文明の利器があったから当たり前だったけどさ。

この世界では当たり前じゃないもんね。


オーサからキアバへの船旅はプリシラが船酔いした以外は平和だった。

船酔いも私が自分用に念のため調合してあった船酔いの薬があったので、

それで事なきを得る。ちなみにプリシラにいつもはどうしてたのか聞いたら、


「薬代の節約の為、耐えてましたわ。」


とのこと。ガッツだな…。


「自分では調合しないの?あと、身体強化使うと酔いづらくなるよ?」


「は!その手がありましたのね!」


時々抜けてるんだよなー、プリシラって。魔法も使えるし、魔力高いのに。

カールさんにエルフにも薬が効いたよって手紙書こうかな。

でもあんまりエルフって言っちゃいけないんだっけ。エチケットとして。


護衛の2人は船の上でも鍛錬をしていた。

エヴァルドルフ君と同じ感じで、ニールさんが稽古をつけてあげてる感じだけど。

ふと疑問に思って、


「ねー、レンってどれくらい強いの?」


と聞いたら、


「リンダよりちょい弱いくらいやないかなぁ?」


と恐ろしい回答をもらった。獣人おそるべし。レンは14歳。まだまだ伸びる。

リンもそれだけの素質があるってことだよね…。

ちょっと思ったけど、この巫女チームは普通にクラリティ大陸で

魔物ハンターとしてやって行けるレベルじゃなかろうか…

プリシラも魔法使えるし、リンがアタッカーになればトドメもさせる。

いや、やらないけどさ。戦うのはちょっと…ね?

でも、クラリティ大陸は魔物が多いみたいだから、

そのうち魔物にも遭遇することもあるかもしれない。多少は覚悟しておかないと。


「ニールさん、私も少し鍛錬やっとく!

クラリティ大陸に行ったら魔物と戦うかもしれないし!」


「え?踊りの練習の為やないのか?」


「それもあるけど…いざとなったら戦わなきゃならないかもでしょ?

一応、カールさんに言われて授業も取ってたし!」


そう意気込んだら、


「いざとなることがないように俺らがいるんやで?それが護衛の仕事やからな。

なぁ、レン?」


「そうですよ、リリアさん。」


と最もな返しをされてしまった。


「リリアは踊りの練習に集中や。」


そう言って頭を撫でようとしたが、手を引っ込めるニールさん。

…肩透かし。

なんだか寂しい気持ちになった。…私、撫でて欲しかったんだろうか?

うーん、なんだろな、この気持ち。



読んでくださってありがとうございます!

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