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96.セルフプロデュース

衣装は全員膝丈のキュロットで私が赤、リンが黄、プリシラは青にした。

上は白いシャツだ。飾りでキュロットと同色のリボンをつけた。

寮でガーターベルトの説明をしたら、リンが大層食いついた。

護衛の時でも使えるし、スカートの時でも、靴下が落ちなくていいといって喜んでいた。

この世界の一般的な女性は短いスカートをあまり履かない。

護衛や魔物ハンターをする女性は時折パンツスタイルや短いモノを履くこともあるそう。

まぁ、滅多にいないらしいんだけど。

リンダ先生やエリーちゃんはピタッとしたパンツスタイルだったので、

私には違和感ないんだけど。プリシラは


「なんか恥ずかしいですわ。」


と言っていた。



曲はいつもの5人組アイドルの曲。

この曲なら、明るくて派手にも踊れる。

リーダーが回転蹴りをするところでリンにバク転しておうと思いついたのだ。

いきなりはっちゃけた選曲だとは思うが、

ブレイの人たちは新しいものが好きだと言っていたので、多少冒険だ。


ただ…プリシラが踊りについていけないらしい。

そのままのフリは辛いので、私が簡略化したフリで今回は乗り切る。

練習していってついていけるようになってほしいけど…種族的な問題で難しいのかもしれない。

エルフは体力がない。歌いながら踊るだけでも結構キツイみたいだ。

この曲は動きが激しいので余計だ。今後は様子を見ていこうと思う。


歌に関してプリシラは覚えるのは問題なかったが、


「『すっとこどっこい』っていうのなんです?」


って聞かれた時は困った。意味はわかるけど、説明ができない。


「んー、気にしないで。」


といって誤魔化した。

リンはBメロの最初のところとコーラス部分。

サビは全員で歌うが、リンには無理に声を出さなくていいと伝えてある。

つまり、遠回しに口パクを勧めた。まぁ…しょうがない。


シリルさんやシャロンちゃんにはジャンさんに言われた日に手紙を送った。

色々あって3人組になったことやオーサの催事に出ること、

そのあとブレイを出て、クラリティ大陸へ行くことも手紙に書いた。


シャロンちゃんは催事はおうちの手伝いで行くし、

演目(ライブ)の時は抜けさせてもらって見に行くよと書いてあった。

シリルさんも来られるらしい。

あの時、この2人とはもう一生会えないと思ったけど、また会える。

嬉しいけど、あの時の涙や悲しい気持ちはなんだったんだろう…。

会えることを今は素直に喜ぼう。私にはそこまで猶予はないようだし。





そしてオーサの催事の日がやってきた。

催事ということで人もそこそこいる。

リンもプリシラも緊張していて、私まで緊張してきてしまう。

踊り場(ステージ)に上がると観客がザワザワとする。

複数だからなのか、獣人の巫女がいるからなのかはよくわからない。

立ち位置は色々あって私がセンター。

本当はプリシラがセンターの方がプリシラがセンターの方が背のバランスが良いのだが、


「プリシラがセンターなんて納得出来ない!」


と断固反対したのだ。かと言ってリンはあまり歌わないのにセンターなのは変だ。

消去法で私となったのだが、2人共、


「「そっちがなるくらいなら、リリア(さん)の方がマシ。」」


変なところで息ぴったりに返事したので、よしとした。


一息吸って、歌い始める。歌い始めは私だ。2コーラス程度歌ってプリシラへ。

…声が出てない!サポートに入って歌う。リンは踊り始めたらエンジンがかかったらしく、

緊張している様子はない。コーラスは楽しそうに歌ってる。誤魔化せてる。

サビに入って私がトチって、本来の方の踊りを踊ってしまった。

私だけ違う踊りになってしまったが、そういうものだと思ってくれたらいいな…。

そして、Bメロのリンのところで数人が苦笑してるのが見えたのはご愛嬌だ。

プリシラもこれくらいには声が少し大きくなってサポートがなくても大丈夫になっていた。

そしてリンのバク転。

多いに盛り上がって、リンがアドリブで踊る。

予定にはなかったけど、お客さんが喜んでくれているのでよかった。


3人で正式な巫女としての仕事はドタバタではあったけど、無事に終わった。

でも、あとで反省会は必要だね。うん。私も含め。


「姉ちゃん、よかったね。」


レンが嬉しそうにいう。

尻尾がちぎれてしまうんじゃなかろうかというくらい振られていた。


「よかったでー♪」


とニールさんが近寄ってきたのだが、プリシラが


「緊張しましたー!」


と言ってしなだれかかってきていて


「お、おぅ…」


と困っていた。プリシラ、ガツガツいくね…。

あれ、ニールさん、挙動不振になってる。実は女子の扱い慣れてない…?

モテるんじゃないのかしら?


それを置いといて、シリルさん、シャロンちゃんがきてくれた。

シリルさんは


「今日の曲もリリアちゃんの曲やろ?可愛らしいわー。さすが私の娘やわー。」


と褒めてくれた。…私の曲じゃないし、親バカ?入ってますよ?

でもちょっと嬉しかったりする。

シャロンちゃんも


「可愛かったー!服も可愛いー!!その服どこで売ってるの?!」


と上々の反応だ。

ライザさんとケイさんもやってきて、


「評判も上々でガーターベルトのいい宣伝になりそうね。

今度ブレイで演目するときは衣装提供も考えておくわ。」


と申し出てくれた。

なんだか知らないおっちゃんも近寄ってきて、


「やっぱ、1年くらい前に盗人とっ捕まえた姉ちゃんじゃねーか!

いやー、あん時の歌もよかったけど、今日のもよかったな!」


と背中をバシバシ叩かれた。痛いけど、褒めてくれていて悪い気はしない。

慌てて、レンが飛んできて、「あー、すいません」と言いながらおっちゃんを剥がしていた。

ニールさんはまだ、プリシラに絡まれ?て困っていた。

あの…仕事してよね?


読んでくださってありがとうございます!

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