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93.仕事早い

昨晩はとりあえずアイリさんに向けて手紙を送った。

ちゃんと送れたっぽい。あと、マリオにも【踊り場使いたいんだけど】

とお伺いのお手紙を。許可出るといいんだけど。


朝になって、プミロア様にお祈りをする。そのついでで話かけるも不通だった。

「ただいま対応中です」って音声が流れるだけ。留守電か!?


しょうがないので、ジャンさんを捕まえようとしたけど、ジャンさんも捕まらない。

ニールさんのところに行って、イグニスさんに話すことにした。

ニールさんに聞くと、イグニスさんは寮ではなく、宿屋に泊まっているらしい。

宿にはさすがにお邪魔できないので、教会の小部屋を借りてお話する。


「リンを巫女に…?」


イグニスさんは怪訝そうな顔だ。確かにあの歌だとしょうがないかも。


「本当は巫女志望っていうのを聞きまして。本人も踊りは得意だって。」


昨日、少しだけプリシラの踊りを見せてもらった時にリンの踊りをみたのだが、

キレッキレだった。身体能力の高い獣人だからというのもあるのだろう。

アクロバットも出来るのでとにかく派手だ。ショー向きな踊りだった。


「でも歌が…」


やっぱりそこだよね。そこでだ。


「リンは歌をメインじゃなく、踊りをメインでやってもらって、

私と一緒に回るっていうのはどうですか?!」


そう、ユニットにしてしまおうと思ったのだ。

歌は私がメイン、踊りはリンをメインに据えて。

最悪リンには「ラー♪」とか台詞調のコーラスとかを担当してもらおうと

思っている。リンなら踊りでごまかしが効く。

護衛もニールさんがいるので問題ないはず。

しかし、イグニスさんが考えこんでいた。


「それとも…獣人はダメなんですか?」


今まで獣人の巫女はみたことがない。この世界ではダメとか言われる可能性だってある。


「いや、獣人の巫女がダメってわけじゃないが…

プミロア様はそこまで気になさる方じゃないはずので。」


そうだよね。私も人魚だし。プリシラだってエルフだ。

プリシラの件はプミロア様気づいてるか不明だけど。


「元々、ニール君とリリアさんの2人だけで出発させるのはやや心配があると、

教会長にも伝えていたから、誰かが同行することは賛成です。」


いつの間に?まぁ、昨日のうちにだろうけど。


「そうなるとプリシラの護衛がいなくなってしまう。」


やっぱりそこに行き着くのか。


「リンが言うには双子の弟をプリシラにつければいいって言うんですけど。」


イグニスさんがさっきよりもっと微妙な顔をする。


「レンをプリシラにつけるのはないです。

レンは姉命だから、リンと離れるなんて以っての他でしょう。」


村を飛び出した姉についてきたくらいだもんね…よく考えたらそうだわね。

そうなると…


「プリシラも一緒にして3人組にするとか…?」


つい思考が声にでてしまったが、これは悪手だった。

元々、プリシラとリンは別で行動させた方が互いのためであって、

リンの巫女になる夢を叶えるのはついでみたいなものだった。

これでは結局一緒回るのは変わりない。私が間に入るってこと以外。

しかし、


「そうか、その手もあるか…。

ニール君は御者も出来るし、馬車を借りれば御者もいらないから移動も安く出来る。

宿も2部屋あれば十分だ。巫女不足なのは変わりがないけど、

リリアさんが大きい踊り場で演目をやるんだし…。」


とイグニスさんが脳内でそろばんを弾き始めてしまった。

かといって、イグニスさんに獣人とエルフだからなんて言えないし…。

などと考えていたら、イグニスさんが


「そうしましょう!私が教会長にお願いしてきます!

リリアさん達の出発まで私もここに留まろうかと思ったのですが、

巫女も不足してますし、教会長の許可が出たら私は新しい巫女を探しにでますので。」


といって立ち上がって行ってしまった。


「ちょっと…」


と言う声も虚しく響くだけで、イグニスさんの姿はもうない。

でもジャンさん忙しくて捕まらないんじゃないかな。

その間に私はプミロア様を捕まえて事情を話してこの話を一旦止めてもらおう。

そう思ったのも束の間。イグニスさんがジャンさんを捕まえてきた。

仕事早いな、おい。

ジャンさんがやって来て、


「リリアさんの発案した計画、良い案だと思う。

なので、他の皆も呼んでもらって話をしようと思う。

午後、皆に集まってもらって今後の計画を発表する。」


「あの、プミロア様に確認しましょうか?」


一応ダメなんじゃないかなーと確認するが、


「大きい踊り場を押さえる方法は我々に任せると言ったのだろう?

だったら確認は必要ないのではないかと。」


と一蹴されてしまった。いちいち上司の許可は取ってられないとな。

確かに現場はこっちだしね…。


「というわけで、午後に皆をここに集めてくれ。

イグニスは明日にでも出発が出来るように支度も。では頼んだ。」


話が進んで行ってしまった。

なんかもうプミロア様にいって止めてもらえる雰囲気ではない。

諦めてリンとプリシラとうまくやっていく方法を考えよう。

リンも巫女になれるなら、もううるさくしないといいんだけど…。











読んでくださってありがとうございます!

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