表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

義父母と鬼嫁のドリフな毎日~おやつ編~

作者: まおちゃり

 義父の退院からまもなく2か月になろうとするある日、義母がうれしそうに言った。「お父さんね、体重5キロ増えたが。」「な~にぃ!?」思わず胸中にクールポコ的セリフがこだまする。

 入院中、義母と義姉は義父が痩せてきたと心配していた。たしかに入院前と比べると、顔も肩も足も細くなった感があった。

 だがそれは、もともと義父が肥満ぎみだっただけのこと。若い時から腎臓を患っていた義父は、蛋白質を1日あたり45グラム、塩分を6グラム以下に抑えた病院食を提供されていた。加えて毎日のリハビリ。食事と運動の相乗効果で、言わば入院中に5キロの減量を叶えていただいたのだった。

 身長が165cmなので、体重57キロならBMI20.9で基準値以内。不自由な体を支えるには軽量な方が負担が少ない。チームを組み、緻密な食事メニューや運動プログラムを組んで下さったスタッフの方々に、私は心から感謝していた。

 それが体重62キロとなればBMIは22.7に跳ね上がり、さらに5キロ増えれば上限の25ギリギリになってしまう。スタッフのみなさんのご努力が水の泡だ。

 リビングでは私たちの目がある手前、間食は控えめにしているように見える。だが寝室の掃除に入ると、ごみ箱から出てくるのは大福の包装、カステラの包装、ビスケットの包装……。最近、心なしか顔が丸くなったような気がしていたが、まさか5キロも増えていたとは――「だめだこりゃ。」

 「いいですか、5キロ増えたということは、常に5キロのおもりをしょっているのと同じことですよ。私たちでさえつらいですもん、お父さまにとってはなおさらだと思います。おやつを少し控えられた方がいいと思いますよ。」黙り込む義父。「な~ん、おやつちゃあんまり食べとらんがだけどねぇ。」と義母。どこがじゃ!!

 そういえば最近、体の動きが鈍り、転びやすくなった印象もあった。入院中は毎日だったリハビリが週3回に減り、家では座って過ごすことが多いせいだと思っていたが、原因はそれだけではなかったようだ。

 不自由な体を抱えた義父にとって、食べることが唯一の楽しみなのはわかる。けれどツケは自らに回るのだ。おやつによる蛋白質や塩分の過剰摂取は、腎臓への負担も大きくする。むくみは体重増加を加速させる。

 食べたがる義父と、言いなりになってしまう義母。夫唱婦随……でもだめなものはだめ。せめて鬼嫁が防波堤にならなければ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ