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煉獄の焔  作者: yukke
第七章 全てを託され前へと進む
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第四話 共に過ごす一夜

 夕飯時になるまで、花凛はひたすらに神田との事を問い詰められていた。

だが、知られるのが恥ずかしい為に、花凛はそれを上手くごまかしていた。


「全く、花凛はバレバレなんだよ~」


「何が?!」


 花凛なりに上手くごまかしていたと思っていた様だが、3人は見抜いてしまっていた。


「ふふ。あっ、そうそう。リエンさん、いつまで隠れているんですか?」


 すると、突然美穂が姿を隠しているリエンに、姿を見せるように促してくる。


『何よ、私は姿を見せない方が良いんじゃ無いの?』


 無言で花凛の近くをふわふわと浮いていたリエンが、美穂に返事をする。

その時に、どうやら姿を見せたようで3人はリエンを眺めている。


「あら、昔のあなたならそんな事を気にするような方ではなかったはずよ」


『む、昔は昔よ』


 リエンは、あからさまに顔を背けている。

何やら、恥ずかしがっているところを見ると、昔の自分の行動を恥じている様である。


「花凛と会い、花凛と過ごす事で。あなたの性格も変わってきた」


 その様子を見た志穂が、リエンに話しかける。

それがトドメとなったようで、リエンはそそくさと部屋を出ようとする。


「あら、今のあなたは嫌いでは無いですよ。だから、姿を消さなくてもいいわ」


『……』


 その言葉に、リエンが途中でピタッと止まった。

そして、ゆっくりと花凛の近くへと戻って行く。


「よかったね、リエン。昔何があったかは知らないけれど、今のリエンが、私にとって大切な友達なんだからね」


『わ、わかったわよ』


 リエンはごにょごにょと恥ずかしそうに呟きながら、花凛のそばで浮いていた。


 すると、お手伝いさん達がやって来て夕飯が出来た事を伝える。

いつの間にか、そんなにも時間が立っていたようで、辺りは少し暗くなっていた。



 そして、1階のある1室へと花凛は通されると、そこにはまるで宴会でもするのかといわんばかりの、大量の料理が並んでいる。

上座にはもちろん3人の父親が座っている。


「え、えっと。これは、いったい?」


 花凛が不思議そうに、亮蔵に確認をする。

この歓迎ムードにはさすがに面くらっているようである。


「何、そちらが龍であるとは関係無しに、娘達が初めての友達を連れてきたのだ、お手伝いの人達が歓迎したいと言いだしてな。私は不本意ではあったが、あいつらがあそこまで強く主張するとは思わなくてな。こちらが、折れることにしたのだ」


「皆……ありがとう」


 3人はそれぞれ思い思いに、お手伝いさん達に礼を言っている。

父親といるときは全くの別人のようだが、恐らくお手伝いさん達といるときは学校で見せる、あの態度なのだなと花凛はそう感じていた。








「あ~美味しかった。でも、あんなに沢山ご馳走になってよかったのかな?」


 様々なご馳走で歓迎された花凛は、お腹も満たされ満足していた。


「宜しいのです。お嬢様達のあんな楽しそうな顔は、久しぶりに見ましたから。あなた様が、普段からお嬢様達によくしてくれているお礼です」


「そんな、私は何もしていないよ」


 お手伝いさんが片付けをしながら、花凛の質問に丁寧に答えている。

花凛は、逆にお世話になっている感じだったので、お手伝いさんの返しに手を横に振り否定する。


『そうね、逆におもちゃにされているものね』


 リエンが横から余計な事を言ってくるが、今のリエンは姿を消している為に、それに反応するのは不味かった。


「そうそう、お風呂の用意も出来ていますので。お嬢様達と一緒に入って来て下さい」


「はい、分かりました」


 いつもなら、ここは「よし、私がいっぱい洗ってあげる!」と言いそうな所だが、父親の前である為に夏穂は静々と答えている。

花凛はその姿に、普段の夏穂とのギャップを感じていた。


「さ、行きましょう。花凛さん」


 美穂がそう言うと、夏穂と志穂と共に花凛を担ぎ上げる。

さすがに、そんなことをされるとは思わずに花凛は目を丸くしていた。


「えっ? あれ? な、何コレ?」


『あらあら、たっぷりと可愛がられてきなさい』


 リエンがにやにやと、小悪魔の様な笑みを浮かべ、花凛にトドメの言葉を浴びせてくる。


「あの、3人共。別に逃げないからね。生贄みたいにして連れて行かなくてもさ」


 そう言うが、3人は無言のまま浴室へと連れて行く。

ほんとにここに居る時の3人は、いつもと違う為何か調子が狂う花凛であった。




 そして、浴室に着くと花凛を下ろす。すると、3人の目がいつも通りの目に戻っている。


「ふっふっ。いつも通りだと、絶対に逃げると思ったからね」


「さ、もう逃げられないですよ」


「うんうん、こんなに羽目を外せるのは花凛だけ」


 夏穂、美穂、志穂のいつも通りの反応に、花凛は少しだけ微笑む。

3人が、別人の様になっているのは少し怖かったようである。


「ふふ、だから私は逃げないって。さ、一緒に入ろう」


 そう言うと、花凛は制服を脱ぎ出す。だが、3人がそこで花凛を止めてくる。


「あ~!! だめ! 花凛の服をぬぎぬぎさせたかったの!」


「そのために、担いで連れてきたのですよ!」


「そうそう、私達に脱がさせろ」


 3人の真剣な目に、花凛は少し後ずさる。


「い、いや。さすがに、それは自分でやるから。恥ずかしいから」


 花凛は、服に手をかけ3人の魔の手から逃れようとするが、既に脱衣所に連れてこられている為、逃げ場がなかった。


「観念しなさ~い!!」


「あ~! ダメぇ!!」


 しかし、花凛の抵抗むなしく夏穂を筆頭に、次々と服を脱がされてしまう。

そして再び担ぎ上げられ、浴室へと連れられていく。


「ちょっと、待って体も自分で洗うからぁ!」


 もちろんそ、れも聞き入れられなかった。3人共嬉々としながら、花凛の体を何ともいやらしい手つきで洗っていく。







「ブクブクブク……」


 一通りの事を、3人にお世話され花凛は顔を真っ赤にして、広い浴槽に顔の半分まで沈んでいる。


「いやいや、可愛いかったよ。花凛」


 夏穂が、花凛の隣に浸かり満足そうにしている。

最近、気の休まる時間がなかったのか、3人のはっちゃけっぷりは相当であった。


「いや、あなた達が楽しければそれで良いけどさ」


 3人の事を聞かされた後なので、尚更花凛は3人の絡みを無下にする事が出来なかったのは、事実である。


「ふふ。普通こんな事をされたら嫌がりそうなのに、私達に気をつかってます?」


 夏穂の横に浸かっている美穂が、花凛の心中を察したような事を言ってくる。

その言葉を聞いた花凛は、少しばつの悪そうな顔をする。


「正直だな、花凛は」


 夏穂達の反対側、挟む様にして花凛の隣にいる志穂が、嬉しそうな顔をしながら言ってくる。


「だって、3人共。楽しそうだもん」


 花凛は、素直に思っている事を口にした。

その言葉に、夏穂達は満面のエミレーツ浮かべる。


「ありがとうね。花凛」


『私も、それくらいの仲になれば良かったのかな』


 その様子を見ていたリエンが、遠慮がちに隅っこにいながら過去の自分を悔いていた。


「リエンさん、あなたはまだまだこれからでしょう? 花凛さんとこれからも一緒にいてあげて下さい。そうしたら、あなたは変われるわ」


 しかし、美穂のその言葉にリエンは難しい顔をして呟く。


『もう、無理なのよね……』


「えっ? 何か言ったリエン?」


 しかし、リエンは顔を俯かせたまま、目線は美穂の胸にいっていた。


『それより、その大きさは卑怯よね。浮くなんて』


 どうやら、美穂の浮いてる豊満な胸を羨ましがっている様子である。

それに同調するかのように夏穂の目が光ると、美穂の胸を突き始める。


「そうなのよねぇ。美穂のこの胸は、同じ血筋とはとても思えないわ」


「ちょっと、夏穂。止めなさい!」


「もしかして、美穂にだけ多めに神龍の力をもらっているんじゃないの?」


「そんなわけ無いでしょう!」


 しかし、その後ろから志穂も加わるように胸を鷲づかみにしている。

楽しそうなその雰囲気に、花凛もさっきの仕返しとばかりに、美穂に近づいて行く。


「ほんとほんと、どうやったらこんなに大きくなるの?」


「ちょっと、花凛さんまで?!」


 どうやら、意外な伏兵だったらしく美穂は慌てて胸を隠そうとする。

しかし、もちろん後ろから志穂が両手を掴みそれを阻止する。


「ふっふ。ちょっと、どうやったら大きくなるか調べさせてもらう」


「おぉ、花凛が珍しく乗り気に! よ~し、花凛に続け!!」


『お~!』


 最後にはリエンまでも同調し始め、皆で一斉に美穂を取り囲む。


「ち、ちょっと、待って下さい。花凛さん、さっきの謝りますから。だからね、止めてくれます?」


「だ~め~」


 何だか、美穂の困惑している顔が凄く可愛くて、花凛はちょっと嬉しくなっていた。



 ささやかながら、幸せな一時が過ぎてゆく。

そんな中、花凛はずっとずっとこの時間が続けば良いのにと願っていた。

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