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煉獄の焔  作者: yukke
第七章 全てを託され前へと進む
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第二話 神楽家への訪問

 学園祭にて学校が襲撃された影響で、学校は1週間休校となっていた。

もちろん周りの人々は、不安な日々を過ごしている。

犯人は自害したとの報道だったが、こんな間近でテロみたいな事件が起きてしまっては仕方の無い事であった。


 それでも、久々の学校の為に周りの皆は友達と早く会いたい一心なのか、少し足取りが早かった。

そして、花凛もまた足取りが早くなっていることに気づいた。

あの3人に、早く会いたかったからである。

それは少なからず、友情というものが花凛の中に芽生えていたのは当然だが、神龍復活の為の鍵となる3人に協力を依頼したかったからである。


『全く、そんなに急いでも3人がまだ学校に来てなければどうするの?』


「別にいいじゃん!」


 そんなリエンの注意などお構いなしに、花凛は学校へと急いでいた。





 そして、学校に着くと花凛は急いで教室に向かい勢いよく扉を開ける。


「おはよう!」


「あっ、おはよう。神田さん」

「おはよう。学園祭は大変だったな~」

「あ、神田さんのせいじゃないからな」

「そうそう、気にしなくていいよ」


 しかし、花凛の挨拶に返してくるのはクラスメイトばかりである。

花凛は、慌てて教室を見渡すと。あの3人がいなかったのである。


「あれ? 夏穂と美穂と志穂は?」


「あ~、その3人なら休みだよ?」


「休み?! 何で?!」


 花凛は、思わず声を上げて聞き返してしまう。


「何でって言われても分からないよ」


 花凛の表情が一気に曇った。

「まさか、 他の龍に正体がバレた?」そんな事が花凛の脳裏を過ぎる。


『う~ん、念のために神田に連絡しといたら?』


「あっ、そっか。事件だとしたら、賢治さんに聞けばわかるよね」


 その時、予鈴のチャイムが鳴ってしまったので花凛は仕方なく、休み時間に神田と3人に電話をする事にして席に着いた。

なんだかんだであの3人とは転校してからずっと一緒にいたために、花凛は少し寂しく感じていた。








「花凛、言われた通り調べてみたが。捜索願いや事件等は起こってはいない。その3人が何かに巻き込まれた可能性は、現時点では低いな」


「ありがとう。賢治さん」


 昼休みになり、あれから休み時間の間にちょくちょく神田に連絡をしており、そしてようやくまとまった報告を神田から受け取っていた。

だが、やはり警察にはなんの情報もいっていなかった。


「その3人に電話したのか?」


「したけど出ないの」


 休み時間になる度に電話はしていたが、一切出なかったのである。

花凛の不安はますます募っていく。


『まさか、NECの連中に?』


「不吉な事は言わないで」


 花凛があまり考えないようにしていた最悪の事態を、リエンがサラッと言ってしまった為に、花凛の顔色は目に見えて悪くなっていく。


「花凛、心配なのは分かった。こちらでも調べてみる」


「うん。ありがとう賢治さん」


 そう言って、花凛は電話を切った。

お願いだから無事でいて欲しい、花凛はただ願わずには居られなかった。


『酷なことを言うようだけれど。最悪の事態は考えておくべきよ』


「……」


 花凛は、リエンの言葉を聞きただ無言でうつむいている。

頭では分かっていても、考えたくは無いことであった。

しかし、当然リエンも自分の考えが甘かった事に苛立ちを隠せなかった。

するとその時、花凛の携帯が鳴り響く。

すぐに画面を見ると、なんと夏穂からであった。

それを見た瞬間、花凛は急いで電話に出る。


「も、もしもし? 夏穂?!」


「……ん。ごめん、花凛。心配してた?」


 電話口には、少し疲れた様な声をした夏穂が出た。


「もう、そりゃ心配するよ。友達だもん」


「……うん、ごめん。それで、花凛にお願いがあるんだ」


「ん? 何? それって、今日休んだこ事と何か関係があるの?」


「あぁ、そうだね。実は、このままじゃ私達は学校に行けなくなるの」


 夏穂の言葉に花凛は驚いて聞きなおす。

そんな言葉が出るということは、普通じゃないことが起きているとしか考えられなかった。


「何? 何があったの? 何でも言って、力になるから!」


 花凛は必死である。これは、神龍復活のためとかではなくただ単純に、3人の安否を気遣っての事である。


「ありがとう、花凛。じゃぁ、明日学校が終わったら私達の家に来てくれない? 地図は後でメールで送るから」


「うん、分かった」


 花凛は、何があろうとこの3人を失いたくはなかった。

男の時には出来なかった親友。失いたくない想いは人一倍強かったのだ。









 そして翌日。学校が終わった花凛は、事情を話していた神田と共に神楽家へと向かっていた。


「ごめんなさい、賢治さん。今紫電達がいないから、何か起きた場合私1人では対処出来ないかもと思って」


「いや大丈夫だ。俺は、お前達の上司みたいなものだからな。ただ、戦いに関しては自信がないからな」


 そう、ショッピングモールの屋上駐車場で神田は龍の力が覚醒したのだが、自分の意思で力を発揮するまでには至っていなかった。

あの後神田の家系を調べたら、神田の父方の祖父が不思議な力を持っていた様である。

しかし、子供が誕生した直後に離婚をしており、その後の足取りは掴めなかった。

龍であるならまだ生きているはずだが、探す手段がなく自力で力を使えるようになるしかなかった。


『紫電達には、急ぐように言ってはいるけれどね。それより花凛。神田と距離があいてるわよ。まだ、あの事を意識しているわけ?』


 神楽家へは、神田のマンションから歩いて行ける距離であったために歩いて向かっているが、花凛はまだ恥ずかしいらしく神田から距離をとっていた。


「全くしょうがないな」


 神田がそう言うと、花凛に近づき肩を掴んでくる。

そのあまりの出来事に、花凛は更に顔を真っ赤にして逃げようとするが、ガッシリと肩を掴まれており逃げられなかった。


「はわわわ! 賢治さん、ちょっ。離して!」


「ダメだ、上司からの命令だ。俺から離れるな。何かあった場合、遠いと対処できんだろ」


 もっともな意見なのだが、肩を掴む必要がどこにあるのだろう。花凛の頭はパニックになっていた。自分でも分からないくらいに顔が熱くなり、神田を見ることが出来なかった。

キスをしてしまってからというもの、家でも神田と顔を合わせる度に、顔を赤らめて自分の部屋に引っ込んでしまうほどである。

こういうときに限って、謹慎中の神田は常に家にいるので心臓ご持たなかった。


『クスクス。可愛いわね~花凛』


「な、何が?! べ、別に緊張はしてないよ!」


 リエンのからかいの言葉も、今の花凛には冷静に返す事が出来ずしどろもどろになっている。


 そうこうしている内に大きな屋敷が見えてくる。

花凛は、地図を確認するとどうやらその屋敷が神楽家の様である。

伝統ある古い大きな日本家屋。その周りを中が見えないくらいの大きな塀で囲ってある。

花凛達は玄関の前に着くと表情を確認する。立派な表札に達筆で【神楽】と書かれている。


「ここで間違いないね」


 想像はしていたものの、ここまでの大きさとは思っていなかった。

神龍の巫女の力で発展していったと聞いていたので、豪邸に住んでいるのは容易に想像出来たからである。

花凛が、家の大きさに呆気に取られていると入り口の門の一部分に小さな扉が付いており、そこから夏穂、美穂、志穂が顔を覗かせていた。


「いや~お熱いねぇ。もう少しイチャラブしてからでも良いからね~」


「というより、花凛さんの照れている様子をもう少し眺めたいですね」


「同感」


 夏穂、美穂、志穂がそれぞれ今の花凛の状況を見て感想を言ってくる。

そう、花凛はまだ神田に肩を掴まれていたのだ。


「へっ? あっ! あわわわ……これは、ち、ちが!」


「こら、逃げようとするな花凛。最近、俺から離れてばっかりで何かあったときに守れんだろう!」


「ま、守られるほど弱くないです~」


「最近よくぶっ倒れているのにか?!」


「はうぅぅ、それは~」


 必死に、手をばたつかせて神田から逃れ様とする花凛を横目に、リエンはフワフワと神楽家の入り口へと向かう。


『ごゆっくり~』


「あ~!! リエン、待ってってば~3人もにやにやしていないでよ~」


「よし、行くか花凛」


「私を離して~!!」


 しかし、花凛の要望は聞き入られる事は無く神田に肩を掴まれたまま、神楽家の中へと入っていった。

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